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私が剣道を指導している子どもの中でとても嬉しく思っている事例をお知らしたいと思います。
一人の6年生の女の子の長足の進歩についてです。 その子は3年生のときから私が受け持っている道場に来ています。動作が鈍く、落ち着きが無く、集中力がありません。ただ下級生にはやさしく面倒を見ようとするのですが、指導するほうとしては人のことはともかく、自分のことに集中して欲しいと思うことが度々ありました。ただ彼女の良いところは稽古日にはだれよりも早く来て道場の準備や掃除を率先してすることでした。 彼女は小さいときに4階のベランダから落ち、頭蓋骨陥没のほか舌をかみきり皮一枚を残す殆ど絶望という状態でお医者さんの懸命の手術のお陰で一命を取りとめたということです。剣道を始めたときも頭痛が続き、痛まないときは稽古をしても良いとお医者さんからいわれていた状態で幾度か休み、舌の縫合の影響か言葉もややままならない具合でした。 わたしのところでは、準備運動、稽古前の竹刀の素振り400本などを毎回やっていますが、これを6年生で最初に道場に来た人の号令でさせることにしています。これは小学校を卒業するまでに6年生全員が正しく、適切に同級生や下級生を指揮できるようにすることが目的です。実際に適切な時期に、適切な位置で、適切な号令をかけて全員を統率することは簡単ではありませんが、わたしはこのやり方を教えません。5年生の間に6年生のやっていることを見習って覚えることを要求し、身に付けさせます。剣道で言う見取稽古を体得してもらう機会にしたいからです。 彼女はいつも一番に来るので、その号令を彼女は稽古日数の半分近く行いました。時には後から来た別の6年生にゆづらせたこともあります。その彼女が2段になるまでは頑張ると母親には言っているということを聞きましたが、稽古の方は相変わらずで、どうしたものかと困っていました。注意をして動作を直させるとその時は出来て、分かりましたというのですが、10分もすると元のもくあみになります。ところがその彼女が大変身したのです。 今年7月15日から17日まで大人25名、少年少女37名で2泊3日の合宿を行いました。その合宿では目立たなかったのですが、翌18日の稽古で驚きました。彼女の稽古が変わったのです。積極的に打ち込み、打ち込んでも姿勢が崩れないばかりか、崩れないことから応じ技もあざやかに決まるのです。一瞬目を疑うような変わりようです。思わず「よくなったと」声をかけました。今日は火曜からの暑中稽古が終わり、昇級審査会でしたが、彼女は良い成績をもらいました。 私の剣友会では原則3年生で始め、小学校卒業までに1級をとれるように指導し、中学2年で受審することになっている初段に備えることが目標です。彼女は今年の冬の審査会での1級は間違いなく、このまま稽古を続ければ中学2年の初段も恐らく間違いないと思へるところまで来ました。 指導者にとってこんなに嬉しいことはありません。2段までは頑張ると言っていた事は本気だったのです。注意を受けても出来なかったのはその時の彼女の能力がそこに達していなかっただけだったのです。一生懸命にやっていれば必ず上達する。どんなに不器用でも、指導者は本人が続けている限りあきらめてはいけない。それを私は彼女を通して学びました。この彼女が恐らく2段を手にしたら3段、4段と生涯剣道につなげていってくれればこれに勝る喜びはありません。
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2006年12月26日
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わたしのBlogを整理しました。これまで書庫の概念がよくわからず、フォルダと同様に思っておりました。しかしBlogを開くと全て表示の状態で開かれ、過去の関連記事を見たいときは書庫をクリックするとその記事だけが出てくることがわかりました。過去の記事を分類し新たに作った書庫に格納いたしました。 |
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