コンピュータ・書評・お仕事の記録

少しでも毎日、少しだけどきっちり。(のんびり、しっかり)

全体表示

[ リスト ]

継承


 恩師の話で知ったのだが、この知的財産権の起源は農耕社会にあるという。

農耕社会における所有権概念の発生の基礎は、所有権者個人を保護することによって、まず社会構成員のそれぞれに農耕、農業投資へのインセンティブを与え、究極的にそれを通じて社会全体の農業生産の極大化をはかることにあった。また、農業社会が工業社会へと発展すると、特許権等の知的財産権が観念され、特許権者等の権利者個人を保護することによって、個別の社会構成員に発明等、新規テクノロジーへの投資のインセンティブを与え、究極的にそれを通じて社会全体の工業生産の極大化をはかることになった。このように考察をめぐらしていくと、近時脚光をあびている知的財産権概念も、基本的には、土地所有権概念とその構造はパラレルであって、同じ社会的な基礎を有していることがわかる。

 問題は「人の作ったモノでお金を稼ぐ」という行為だ。このアナロジーでいえば他人の畑でとれた野菜を売るようなモノである。
 といっても海賊版やデッドコピーが無くなれば皆特許を取らず情報を公開するとは考えにくい。考えにくいが社会の発展は加速するだろう。
 宮台真司氏が言うように「これ以上資本主義が発展するにはみんながいい人になるしかない」という言葉が思い出される。 

言葉尻をとらえるようで、少々気が引けるが、しかし、この文章の次の部分には、別のニュアンスで理解したい衝動を抑えられない。

「問題は「人の作ったモノでお金を稼ぐ」という行為だ。」

「問題は」の部分に、否定的なものを感じるのだが、考えてみれば、われわれは純粋に「人の作ったモノ」でないモノでなにかをするなどと言うことは現実的にあり得ないのではないか。

先輩方の蓄積したノウハウや成果の上に自分のわずかな力でほんの少し増し加えることが出来ればおんのじではないか。

先祖(先輩方)の耕した畑で作物を作り、その畑を子に渡していくことが仕事ではないか。

いろんなアナロジーが可能だと思うが、私たちは自分一人で何かを生み出すことなど基本的に不可能な存在だと思うのだ。そこで、大きな進歩をなしとげたある努力家のために、いくらかの特別な成果保証をしてあげようじゃないかという紳士協定が、知財関連の法律ではないだろうか。

ずるをする人を規制することに注目して理解するのではなく、がんばった人をほめてあげると言う視点でとらえていきたいのだ。

この記事に

閉じる コメント(4)

顔アイコン

世の中、生まれ持って持たざる者と持って生まれる不公平さがある。
しかしこれは仕方がない。それも祖先の頑張りとしてみるしかないでしょう。
その持たざる者が何とか知恵を絞って理屈を作り上げたのが知的財産という考え方だと思います。
確かに人の知識はゼロから生まれないわけで、それに至るまで相当な知識の盗用があると思います。
小説やCDやDVDという物理的な要素を含むものは別に整理すべきですが、それを一緒にしているあたりも策略かと思います。
まーアイデアレベルのものであれば皆で共有して、発案者に一時奨励金でも上げればいいんじゃないかと思いますね。

2009/2/3(火) 午後 0:55 TimeTripper 返信する

顔アイコン

いわゆる学会で発表された”知識”というものは、その発表者を尊重しつつも、その後は引用・利用が可能ですね。厳格なルールの下で、自由な知を体現しているのが学会活動なのでしょう。

これに対して、私たちの暮らす資本主義経済の中では、ある知識無しには存在し得ない製品があります。知識=具体的なものとも言える場面があります。
このことから、産業と知財とくくった場合には、安易に処理できない問題・課題が無数にあることが容易に想像できるでしょう。

文学・絵画の著作権、産業的な知財の特許・意匠などといった広範な法体系がありますから、私もなかなか全体を理解できていません。

中学生・高校生の段階からこの知財の考え方を浸透させていくためには、利害よりも発案者・創作者・製作者への敬意から始めるのがいい、という意見を先日頂きました。まことにそうだなぁ、と思ったのでした。

2009/2/3(火) 午後 1:55 mummykinoi 返信する

顔アイコン

最近の「無料」や「フリー」という言葉に感覚が麻痺してきていると感じました。情報を生み出すにも、情報を入手するにも、コストがかかります。また、決して「情報は共有されるべきもの」ではありません。

そのため、著作も、特許も、学会の発表も、要したコスト以上の対価が得られるという動機のもとに成されているはずです。真に「無料」のものは、ありえません。本当に必要なものには、しっかりと対価を支払うという文化が必要です。

もちろん「コスト」と「対価」が具体的な「何か」を一意に指しているのではありませんので、誤解無く。 削除

2009/2/3(火) 午後 3:37 [ noritan ] 返信する

顔アイコン

著作に関しては印税
特許は特許料
学会発表では学位
という対価が考えられますね。

フリーソフトウエアの公開では、満足感、自分のスキルアップ、フリーソフトウエアがきっかけとなった出会いや新しい仕事・・・など、いろんな対価が考えられます。私は、フリーソフトウエアは、"JustForFun"のスピリットで行きたいと思っています。

2009/2/3(火) 午後 3:45 mummykinoi 返信する

コメント投稿

顔アイコン

顔アイコン・表示画像の選択

名前パスワードブログ
絵文字
×
  • オリジナル
  • SoftBank1
  • SoftBank2
  • SoftBank3
  • SoftBank4
  • docomo1
  • docomo2
  • au1
  • au2
  • au3
  • au4
投稿

開く トラックバック(1)


.


みんなの更新記事