コンピュータ・書評・お仕事の記録

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チャンスは意外なところからわいてきました。
教材研究のために参加させていただいていた技術教育研究会で、機械工業に関するシリーズ書籍執筆者の募集があったのです。
代表は既に多数の専門書籍を執筆している東京都の工業高校教諭。まさにスーパーティーチャーです。
自分の身の程を思うと、とても実現可能とは思えませんでしたが、チャレンジせずに後で後悔するのは嫌でした。
時を移さず、すぐさま申し込みました。

有り難いことに参加を許され、共同執筆という形で機械材料に関する書籍の執筆を始めました。
当時、工業材料に関する学科に勤務していたため、多少は執筆のネタがあり、不明な点は大ベテランの先生方に質問させていただくことができました。
執筆開始当初は「なんとかなりそうだ」と感じていたのです。

原稿がある程度の量になりました。書籍一冊分の分量はゆうにありました。
しかし、何かまとまりません。
バランスが悪いのです。
異様に分量の多い章と、全く文章にならない章がありました。
私はまとまった書籍を書く構成力に欠けていたのでした。

章ごとにある程度書き上がると、シリーズ書籍執筆のリーダーに原稿を送付していました。
問題があればアドバイスがあるだろうと「勝手に思い込んで」いました。
連絡が無いのは、大丈夫だ、このまま頑張れというサインだと勘違いしていました。

しかし、現実は異なっていたのです。
リーダーとしてはご厚意で、その書籍を私の単著にして下さるつもりだったようです。
私を信用して下さっていたのでした。

ここで学んだことがありました。
仕事で困ったときには声を上げること。それも早い段階で。
常に、リーダーが自分を見、状況を深く理解してくれていると「思い込む」のは危険です。
場合によっては困っていることにさえ気づかれません。
仕方がありません。みなそれぞれ本業があり、ギリギリのところで頑張っているのですから。

この時がまさにその状況でした。

やがて出版社は組版の時期に入り、私の不十分な原稿で組版に入りました。
組版という作業が始まると、原稿の大きな変更はできません。
当時の私はそのことを理解していませんでした。
まだまだこれから修正が利くものだと思っていました。

そしてシリーズ書籍リーダーの所に出版社から苦情が入りました。
組版作業に入ってからの頻繁な変更は困ると。
ここで初めてリーダーは状況を認識。
私のところから原稿を引き取り、改めて執筆。
ほぼ全て書き直しをして下さいました。
図版については外注先から納品済みなため利用するしかありませんでした。
図版と矛盾しないように執筆するため余計に大変だったそうです。


ほぼ半年にわたり、通常勤務終了後の自分の時間を投入して取り組んだこの仕事。
何か自分が無意味な存在に思えてしまい、気力を失ってしまいました。
本業に対しても情熱がわかなくなり、退職さえ考えました。

しかし、そうするわけにはいきません。それを口にすることもできません。
職場には生徒達がいます。同僚がいます。家族があります。
迷惑をかけないために、生活のためにも、働き続けなければいけません。


やがてシリーズ書籍リーダーによって見事に執筆された書籍が手元に届きました。
2冊だけ、届きました。
あのときの気持ちをどう表現して良いのかわかりません。

それから数ヶ月、何とか気持ちを切り替えることができました。
くよくよしていても仕方がないと。
たくさんの人たちに迷惑をかけました。
どうしたらお詫びになるでしょうか。チャンスを与えていただいた恩返しになるでしょうか。
しばらくそれを考え続けました。

そして得た結論は「仕事でした失敗は、仕事で返す」ことでした。
書籍執筆で失敗をしたのだから、書籍執筆で成功すれば良い。

では何を書く。
書くには材料が必要です。私の持っている材料は何でしょうか。

すぐに決まりました。。プログラミングに関する書籍を書くのです。
いくつかフリーソフトウエアをリリースし、共同開発の経験もさせていただいていました。
私が書くなら、書いて役に立つネタがあるとしたら、もうこれしかありません。

授業・実習の中で使ったテーマを拡張して、書籍原稿にまとめてみました。

・Robocode入門
・コンピュータ数学
・Java入門

次は持ち込みです。
原稿のPDFファイルをご迷惑をかけた出版社に送付しました。
当然かもしれませんが却下でした。
ここであきらめるなるものかと、理工系書籍の出版社さんに次々連絡をしてみました。
捨てる神あれば拾う神ありです。
技術評論社さんから、書籍化は難しいが、WEB連載をと勧められました。
ご担当の編集者さんと打ち合わせた結果、Javaとコンピュータ数学でスタートすることに。
キャッチーなタイトルを考えて下さいと言われたものの、おじさんの固い頭ではなかなか浮かばず。
結局おやじギャグ的ですが『はじめMath!Javaでコンピュータ数学』が連載タイトルになりました。
編集さんから当初30回程度を想定してと勧められスタートした連載が、30回を過ぎました。
書くネタはあるので「もっと続けたい」という私のわがままを、出版者さんが快く受けて下さって結局80回近くに。
3年間に及ぶ長期連載をさせていただくことが出来ました。

Java言語はプログラミング言語の世界で最も使用者の多い言語となり、環境となり今に至っています。
コンピュータ数学は、プログラミングを学習するにあたって最適の課題であり、プログラミングスキルを高めるにあたって必須の項目です。
同様のタイトルの書籍が少なからず存在しますが、極力平易にまとめたこと、完全に動くサンプルコードを提供したことが、長期にわたって連載を継続させていただける要素になったかと思いました。

この連載執筆を終えてしばらくして、ご迷惑をおかけした方々に、別の形でのお詫びと恩返しが出来たのではないかと思えました。

(つづく)


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