|
サモアに俳句会「守宮の会」が6月末に発足した。
JICAで働く人達は40歳〜70歳のSV(シニアボランティア)と40歳までのJOCV(青年海外協力隊)がいる。1年に3ヶ月ごとに、それぞれ2年間の勤務で新しい隊員が来たり、帰ったりしている。
若い人達ともお近づきになりたいと思って、あるとき、JICAの掲示板に「俳句をやってみませんか。興味ある人は夏の季語をいれて5句作って来てください」という張り紙を出した。
思いがけずシニアも若い人も適当に混じり合った8人が私宅に集まり、われわれを入れた十人の句会が開かれた。季語手帳から選んだ夏の季語をコピーしたものを、2、3の人には渡していたが、後はインターネットで季語を調べて作ってきたのには驚いた。
さすがは日本人だ。初めてでもいつかどこかで俳句は見たり、聞いたりしたことがあるのだ。句会は櫟の句会の手順どうり、短冊に書いて、清記して、回して5句に特選を選ぶ方法をとった。後で特選の理由を述べ会った。「こんなにしっかり日本語を話したのは久しぶりだ」と言う人もいて、サモアでの初めての俳句会は大成功に終わった。
日本から離れた地で、様々な経験をして、皆共感、笑い、感動するものがあったのだろう。中でもみんなの特選を多くとった守宮の句にちなんで、この会の名前にしよう、月2回の句会と会報を出すことまで、とんとんと決まった。以後8月末までで、5回の句会が開かれた。今日はそのメンバーの人達の紹介をしてみよう。
若い人々から、Oさんはサモアに来て、1週間目に句会へやって来た新人だ。横浜の大学で研究をしていたそうで、サモアの環境省でごみに関する環境教育をする。「一体あなたはどこから来るのありんこさん」という句でみなの共感を得た。
Kさんは「ただいまの先に無言の守宮あり」を書いて、サモアに一人暮らしをする若者の寂しさを詠い、この会の命名者になった。太平洋環境教育という国連に似た組織で30カ国以上の人々の中で、デザイナーとして働き、この9月で大阪に帰る。
J さんは大阪府の高校で先生をしている人で、サモアでは一番人数の多いカレッジで理数科の先生をしている。「うつむくと足に古傷蝿集る」とバス通学をしている、みじめな気持ちを詠った。でも本当は明るくて、元気で青年隊をもり立てている心優しい人だ。
Tさんは長野県出身で、青年隊では唯一結婚している。夏休みには7歳のお嬢さんと奥さんが訪ねて来て、頼もしいお父さんぶりを見せていた。天然資源環境省で環境教育をしており、船舶や街のゴミ捨てをやめ、自然を守る意識を育てるため、炎天の下を自転車に乗って走り回っている。上半身裸姿が彼の制服のようだ。「凪の海ザーザザザザザ ザザサザン」と句はまことに早く作り上げる。
Sさんは福岡県出身で、歯科技工士として、サモアでは貴重な技術をもっている。毎日大勢の患者さんをかかえて、細かい仕事に精を出している。俳句を作るのが楽しみと言ってくれた人で、歯を作りながら、俳句を考えていることもあるそうだとか。カラフルなサモアのバスを「炎天下お尻重ねてバス揺れる」と詠った。
Lさんは香川県出身で私も行く小学校でアートの先生として働いている。全学年の生徒をみているので、仕事の準備が大変だが、きちんと手際よく授業をこなしていくので、先生や生徒達に頼られている。時々着てくるプレタシ姿がかっこよい。「のつしりと夏風を切る太り肉」とサモア人の姿をとらえた。
シニアのXさんは大学で日本語を教えている。63歳でジュリアード音楽院に入って声楽を学んだ、元東京の音楽の先生で美しいソプラノの声の持ち主だ。「父の日を遠いサモアで祝しや」と家族を思う句を作った。
Aさんは大阪府出身で、サモア教育省で理数科の先生の指導をしている。パキスタンにも滞在したことがある、知識と経験豊富な情熱家で若者を引張っていく人だ。「ひと仕事し終えし我にぶどう買う」。
最後に、Bさんはサモア電力公社で土木技師として働いている。「繋がれし魚の一列夏の市」と魚市場に買い物に行っても俳句を考えているようである。
順次帰って行く人々の中で、この句会がどう発展していくか。きっと俳句の魅力はみんなの心にしっかりと根付いていくだろうと信じている。
|

- >
- Yahoo!サービス
- >
- Yahoo!ブログ
- >
- 練習用


