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「三人の盲人と象」の話がある。それぞれ象の鼻、耳、足だけを触り、全く異なった象のイメージを持って帰ったという。物事を知るには様々な観点で見なければならないというたとえ話だ。5月に休暇をもらってトンガ、フィジーの旅に出た。
南太平洋に浮ぶ島々で、サモアからそれぞれ飛行機で1時間半から2時間以内、ちょうどほぼ正三角形のかたちに離れた国々だ。南太平洋には多くの島々がちらばり、神様がくしゃみをしたとき出来た島とか、トンガでは神様が海から島を釣り上げたとか。
サモアのサバイィ島には巨人の片足が残っており、もう一方はフィジーに残されているとも聞いた。サモア人とトンガ人は同じポリネシア系で髪は黒く直毛で体格が大きく、世界の肥満度では5、6位を争う。言葉も似た語がたくさんある。
フィジー人はメラネシア系で更に浅黒く、髪は縮れている。火山の爆発や珊瑚礁の発達で島々が出来上がり、常夏の気候で椰子の木、バナナ、タロ芋、タピオカが収穫され、木の葉を覆って食べ物を蒸し焼きにする料理法や木の皮をなめして布を作り、絵を描く方法、パンダナスという葉をさらし、敷物や衣類を編み上げる技術など共通の文化がある。
ホスピタリティに富み、客人を迎えるカバの儀式なども共通している。サモアにも石の遺跡があるが、トンガには巨大な石の門や王の墓石の遺跡があり、いつ、だれがどれだけの人力を使い、何のために作ったのかわからない、と言う点も共通している。
石の門
トンガに降りると風がやわらかくしっとりしている。サモアより南西に位置するので、少し涼しい。日付変更線を渡ったので一日前に戻った。山はなく平らな珊瑚礁の島で島の中に大きくくびれた湿地帯が湖のように広がっている。
ここは王国で紙幣には太った王様の顔が必ず描かれている。海岸沿いに赤い屋根の白いお城があり、廻りは広い緑の敷地で、ここは聖地として、国の儀式や来賓を迎える場所らしく、普段はフェンスがしてある。
多くの人々が服装の上に編んだマットのようなものを巻いて紐でしばって歩いている。上下とも黒服の上に巻いている人は喪に服しているという。親しい関係の人の死には1年間、その他は自分の気持ち次第で2、3ヶ月巻いているそうだ。
普通の服の上に巻いているのは相手に尊敬の意を表するための正式の服装だという。学生も制服の上に巻いている。女の子は美しい編目模様ののれんの様な短いものを巻いている。日本人の感覚で言えば、ごつごつとして暑苦しいだろうと思うが、伝統なのだろう。見慣れているうちにトンガになくてはならないように思えてくるから不思議だ。
日曜日は仕事や遊びに出かけるのは法律で禁止されている。私達も歩いて市内にある大きなカソリック教会を訪れた。次々と腰にきれいな編み目のマットを巻いた人々が集まってくる。教会は円錐形に大きな木の梁が中央に集められ、ドームの形をしている。
座席の一部から美しいハーモニーのコワイァーが流れてきた。男性が指揮をとっている。伴奏がなくてもここの人々はすばらしい歌声で歌えるのだ。牧師が語りかけると人々が一声に返事をし、時には祈りの言葉を述べる。
1週に少なくとも一度、教会へ通い、聖書の話を聞き、自分の行いを反省し祈る人々はなんと敬虔で清々しい人々だろうと感心した。
教会前のトンガの男性
最後の日、前日の夜雨が激しく降り、空港へ行く道路は水がたまり、渋滞が続いた。川がなく雨水は逃げる場所がないのだ。飛行機の時間に間に合うようにホテルのドライバーは懸命に走り続けてくれた。口数は少ないが、誠実で努力を惜しまないトンガ男性の典型を見た思いがした。
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