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2010年4月、我が愛車ラブ四で、ウポル島南岸のアガノア・ブラックサンドビーチを訪問した。何故、この浜の砂だけ黒いのかを調査することが今回の旅行目的であった。
午後アピアを出発し、クロス・アイランド・ロードを南進し、シウムから東進し、川を横断して4WDオンリーと書かれた看板を見て約20分間ラフロードを南進し、約1時間で到着した。ニウアトイ岬に至る延長約500メートルの三日月状ビーチであり、エメラルドグリーンの深海であった。
近くには、真っ黒な玄武岩の溶岩台地でできたオレ・ププ・プエ国立公園がある。この地域は、第四紀更新世プライストンの中期から後期に生成したプアプア火山帯に属している。第四紀更新世とは、今から1万年前から180年前の地質年代である。大波によって長期間にわたって粉砕された黒色玄武岩の残骸である粗砂が海流によってこの湾岸地帯に流され、三日月状に浜辺に堆積したことが判明した。
石ころを全く含まない均質な砂である。もちろん近くのサンゴからなる白い砂も20パーセントほど含まれていた。これぞまさしく地球規模で年月をかけて製造した精密な砕石工場である。
文明社会が忘れてしまっていた大切な何かがそこにあった。人間が大自然とともに人間らしく生きるための叡智が秘められていた。水泳、スノーケリング、ピクニックに最適な環境にありながら、全く文明を寄せ付けない魅力に満ちていた。
ゆるやかに円弧を描くように立ち並ぶヤシの木々の木陰と心地よいブリーズが、日中の灼熱に対して憩いの空間を作り出す。灼熱地獄で火照った体温を察知し、どこからともなくやって来るスコールが暑くほてった皮膚をさましてくれる。
スコールを待ちきれない村の子供達は、目の前の美しく透き通った海に浸り、打ち寄せては返す波と戯れている。まわりの畑には、タロイモやバナナが生い茂り、海から得られる魚とともに、いつでも空腹を満たしてくれる。
ブラックサンドビーチ
南太平洋の水平線に顔を出す日の出を拝み、美しいビーチの西の海へと天を染めながら沈む夕日に感謝し、深夜になると南十字星の輝く満天の星空を眺めていれば、宇宙の壮大なるドラマが演じられている。誰がこの素晴らしい宇宙の神秘を壊すことができようか。
文明社会と称する環境産業が発展すれば、それに伴って環境破壊が進行する。ここには、決して舗装道路を建設してはならないし、宿泊設備、水道施設を持ってきてはならない。ここでは、人間の基本的な衣食住と土と木、魚などの動植物が極めて良好な関係を維持している。日夜食事に対する神様へのお祈りを欠かさず、キリスト教の教えを守って居さえすれば、幸福な人生を送ることができるのである。
この村の入り口で、ファレの中にいた男が入村料として、車1台10タラを要求してきた。この日、車は3台しかビーチに来ていなかった。このため、働き盛りの男がじっと1日ファレで過ごしていられるのは、どうしてだろうか。何の働き場もないこの村にとって、入村料が現金収入の一手段であろうか。
このように考えてみると、サモアの文化の発展の行き先は、このまま自然に逆らわないサモア流のエコロジーを維持発展していってもらいたい。ここは、現代人のひずみに敏感になりすぎた心の持ち主のフラストレーションを取り去ってくれる隠れ家(ハーミテージ)であり、金と時間に金縛りにあった現代の人々の心の砂漠の中のオアシスである。
このビーチは、2009年9月に発生した地震津波の影響を受けていた。大きな集会所と思われるファレがコンクリートの基礎もろとも、柱は流され、屋根が山の斜面に打ち上げられていた。
村人達は、これも神様の思し召しであると認識しているようである。大宇宙の摂理に対して、人間は抵抗できるものでないとあきらめている様子である。
日本のように、人間の尊厳にかけて、人命を大切にするための防波堤の建設、避難誘導路の建設、津波警報の発令システムの構築などは全く不要であるような感覚さえ覚える。
近くの海浜をゆくカヌー
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