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サモアには、水力発電用のダムとして、唯一アフリロダムが存在する。このダムはウポル島の東部にあり、1993年サラニ川の支流バイガタ川沿いのバイプ湿地帯より上流に建設された。
流域面積は11.8平方キロメートルで、年間降水量は平均5、180ミリメートル、日最大降水量は平均254ミリメートルである。この降水量の約25パーセントが太陽熱のために蒸発し、約12パーセントが、多孔性の玄武岩でできた岩盤であるために、地下に浸透している。その残りの約63パーセントが表面水として川に流出している。すなわち、年間の地表面への流出量は平均3、300ミリメートルであり、川の平均流水量は毎秒0.97立方メートルである。
アフリロダム堤体
この地域は第一級自然保護区域に指定されており、きわめて風光明媚な所である。ダム湖の貯水量は1、000万立方メートルであり、平均水深は10メートルである。水質はPH6.7〜7.1であり、溶存酸素量は64〜73パーセント、湖底の土質は有機質細粒土であると環境評価されている。
タエレファガ発電所
ダム堤体は、上の写真に見るように、コンクリート重力式ダムであり、堤長約 50メートル、堤高約20メートルときわめて小さなダムである。自然の地形を十分に活用した適切な地点にダムを建設しており、貯水量と比較して小さなダムである。
ダム本体には稼働堰となるゲートはなく、スピルウェーという越流部を流れ出した水は、延長2、154メートル、直径1.10メートルの鋼管からなる導水路に入り、長さ500メートルおよび300メートルの2個のトンネルを通って、総落差291メートルのペンストックという鋼管を水流速度毎秒1.8立方メートルで流下する。
ペンストック
ペンストックは、写真に示すように、導水路の端部に位置する長さ300メートルのトンネルの出口から総延長993メートル、鋼管の直径0.4メートルの長大水路であり、山の斜面に沿って設置され、タエレファガ発電所に達している。
発電所には、回転数毎分750回転のペルトン式タービンが二基設置されており、発電総出力は4メガワットである。
ベルトン式タービン型発電機
ダム湖の水位は、サモアの雨季と乾期の間でかなり変動している。2006年7月と2007年10月には最低水位を記録しており、満水位との差は五5〜6メートルにも達していた。
毎年、渇水期には水位が低下するために安定的に取水することができない。2008年と2009年も雨季にはあまり降水がなく、発電機の一基を休止せざるを得ない事態も発生した。
水力発電を安定化させることは大変重要な問題であり、現在、種々の提案が行われている。例えば、蒸発量を抑えるために、湖水面に太陽熱発電用ソーラパネルを設置することにより、一石二鳥を狙おうとするもの、また、岩盤への漏水を止めるために、ダム堤体の下部にシートパイルと呼ばれる止水用矢板を打込み、さらにセメントミルクを注入して不透水岩盤層にまでカーテングラウトを打設する方法などである。また、上流地域にある別水系から水をポンプアップして、ダム湖に放流する案なども検討されてきた。
最も具体的な渇水対策案としては、同じ水系の下流部に位置するバイプ湿地帯からポンプアップしてダム湖へ揚水する方法が検討されている。揚水ルートとしては、ダム湖へ通じる道路沿いに鋼管を埋設していく方法、標高差をできるだけ小さくするために道路途中からトンネルを掘って鋼管の出口をダム湖水位と一致させる方法、さらに揚水ポンプの負荷を小さくするために導水路の途中にあるマンホールに鋼管を直結する方法などがある。
いずれにしても、最も経済的にかつポンプ効率をあげる方法で設計されなければならない。将来にわたって、電力を安定的に供給できること、および環境にやさしい方法でダム湖水を美しく保つことが大切である。
アフリロダム湖水面
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