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〜蜂になった蛾 : ヒメアトスカシバ(前編)〜
私のブログには、度々昆虫学会の超有名人(ビッグネーム)が登場します。対して私はと言うと、名もないアマチュアの昆虫好きにすぎません。
これを俗に、『虎の威を借る狐』と言いますよね。
とすると、スカシバの仲間は、さしずめ『蜂の威を借る蛾』、つまり私と同類ということ?
虎が陸上動物の王なら、昆虫界の王は蜂です。
(虫キングはカブトムシのようですが。)
〜空飛ぶ生きた化石(ムカシトンボ&ムカシヤンマ)〜でも触れたように、蜂は数ある昆虫の中でも、最後に現れた種族(ハチ目)です。言い方を変えれば最も進化した昆虫です。
人にすら恐れられるハチの威を借ることは、弱い昆虫にとって至極当然のことで、そうした昆虫は、多数います。いずれそれらの昆虫も紹介する機会がある?でしょう。
さて、前回〜生きるための究極の変身(蜂になった蛾)〜の文末で予告した通り、今回は私の記事、
心に残る昆虫(18) 〜ヒメアトスカシバ〜 を紹介します。ただし、長文なので、前編と後編に分けます。
【記事を読むための一言アドバイス】
論文形式文章では、過去の論文などを無断で引用すると盗作になるので、引用文献を文末に列記し、
文中でこれを引用する場合、その引用文章の前後に著者名と発表年を記す決まりがります。
例えば今日私が発表した論文があったなら、上から目線(2013)もしくは(上から目線,2013)となります。もちろん実際はブログネームではなく本名ですからね。
心 に 残 る 昆 虫 (18)
〜 ヒ メ ア ト ス カ シ バ 〜
堀野 満夫
ガ類といえば、夜行性で目立たぬように生きている昆虫という固定観念がある。
ところが、スカシバガ科の種は、ガ類らしからぬ姿で白昼堂々と現れる。
ヒメアトスカシバParanthrene pernix Leech (写真1)は、スカシバガ科としては最も普通種ではるが、私はその生き様をしりたくなった。
写真1. ヒメアトスカシバ 2005年 6 月 19日
泉南郡岬町不動谷 堀野 満夫 撮影
2013年3月25日現在Yahooブログ内に28件ヒット 井上(1957)によれば、本種が属するスカシバガ科は、昼行性なので、ハチと見間違えやすい。
多くの種の成虫は、花に蜜をもとめているときや、幼虫の寄主植物付近で得られる。幼虫は樹木などの幹や茎の中で生活し、「成虫になるには2年かかるを普通とする」(井上,1957)とある。
私が初めて出会ったスカシバガ科の種は、2002年8月18日に長野県大鹿村で蛍光灯に飛来したセスジスカシバ(写真は〜生きるための究極の変身(蜂になった蛾)〜)であった。
その姿は、よく見ると隣片や細毛におおわれていたものの、遠目にはキボシアシナガバチに酷似していた。
この出合いから「おもしろい蛾もいるものだ」とスカシバガ科全般に興味をもつようになったものの、その後長らくこの科と思われる種に出会うことはなかった。
葉上に止まるヒメアトスカシバのメスに出会ったのは、それか3年後のことであった。
本種は、セスジスカシバほどにハチ類を思わせる姿ではなかったことから、当初は消極的に撮影を開始したのだが、結果的には、一連の配偶行動を撮影する機会を得た。
個々の生物が、生存競争の中で種を存続させるには、常に環境への適応が不可欠となり、生物の多様性は、これによって必然的に生じた。とりわけ、環境への適応方法の一つである擬態は、ロマンをかきたてられる言葉として広く知られている。
黒澤(1986)によれば、カムフラージュでは、動物の姿は捕食者に見えていても、辺りの環境に溶けこんで区別できない。
これに対して、捕食者が動物を認識していながら、それを食べられないもの、または食べればおのれに危害が及ぶものと認識している場合をベーツ型擬態という。
従って、ハチ類に良く似た姿を持つスカシバ科は、ペーツ型擬態にあてはまる。
本種に似たハチ類を揚げるとすれば、オオフタオビドロバチ(写真2)だろう。
写真.2 オオフタオビドロバチ 2004年 9 月 5日
大阪府和泉市大野町側川 堀野 満夫 撮影
ただし、以前、本会例会において石井実会長が「擬態は科学的に立証が困難で、研究対象として難しい面がある。」と語られたことがあり、印象に残っている。
ところで、スカシバガ科が進化の過程で蜂類に似た姿になったのであれば、それは身を守るうえでどれほどの意味をもち得るのだろう?
そんな疑問を抱いた私は、その答えにつながるものを期待しつつ、本種の生態的特徴、本種の捕食者である鳥の生態と能力、本種に似たオオフタオビドロバチについて調べてみた。
【引用文献】
井上 寛 (1957) すかしばが (透翅蛾) 科 Aegeriide.原色日本蛾類図鑑 (上).保育社 : p.152.
黒澤 義彦(1986) ベーツ型擬態.原色日本甲虫図鑑 (Ⅰ). (森本圭・林長閑編) 保育社 :p.126.
堀野 満夫(2008) 心に残る昆虫(18) 〜ヒメアトスカシバ〜.南大阪の昆虫 vol.10 17-19
つづきは次回のブログにて |
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興味深く拝見しました。
ヒメアトスカシバは飛んでいるところ(動き)もあまり蛾っぽくなくて、やはり「蜂に擬態しているのだろう」と感じました。
「擬態」を科学的に立証しようとすると、色々やっかいな感じはしますが……その理由・意味を想像するのは楽しいですね。
そろそろ見られるようになったアリグモに関してもあれこれ想像してみたことがあります。
上から目線さんは、擬態の効果についての疑問から捕食者やモデルの蜂についての調べたそうで、そのあたりの記事も楽しみにしています。
2013/3/25(月) 午後 3:42 [ 星谷 仁 ]
コメントありがとうございます。
今日は休みでしたので、ヒメアトスカシバ(後編)も続けて書けましたので、ぜひご覧下さい。
2013/3/25(月) 午後 3:52 [ 上から目線 ]