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〜 解説:セグロアシナガバチと寄生者ウスムラサキシマメイガの生活史〜
今回は、アシナガバチの生活史を捉えた写真を順を追って紹介し、セグロアシナガバチに巣食うウスムラサキシマメイガの生活環について丁寧に説明したいと思います。
以前、当ブログで、〜セグロアシナガバチに巣食う蛾 : ウスムラサキシマメイガ(前編)〜と〜セグロアシナガバチに巣食う蛾 : ウスムラサキシマメイガ(後編)〜で、セグロアシナガバチの巣内で蛹や幼虫を補食するウスムラサキシマメイガという蛾の1年を通した生活史の一部と、生活環の予想を紹介しました。
ウスムラサキシマメイガの生態動画です。
①寄生蛾幼虫を退治できない働き蜂
②寄生蛾幼虫を退治する働き蜂 私が昆虫同好会でこの記事を紹介したのは2007年で、もう6年も前のことです。
その際引用文献とした【セグロアシナガバチに巣食うウスムラサキシマメイガの交尾・産卵と幼虫の餌利用】以外に、その同年(2007年)に、三重大学の研究で、セグロアシナガバチの巣に寄生するウスムラサキシマメイガの生活環が発表され、その後ネットに本文が公開されています。
〜セグロアシナガバチに巣食う蛾 : ウスムラサキシマメイガ(前編)〜で私は、セグロアシナガバチの生活史とこの蛾の生活環の連動性を示した以下の図を紹介しました。
注: 今回は図内の越冬期の文字を幼虫越冬期に改訂し、成虫①の期間をずらしています。
上図の表す意味を改めて説明しますと、図の水色で塗り分けられた部分がセグロアシナガバチの生活史で、1年1世代。
5月〜6月は、女王バチが初めて子を産み育てる時期で、これがやがて働きバチになります。これが、図の中の単独営巣期です。
そして紫色で塗り分けられた部分がウスムラサキシマメイガの生活環です。
別種の事例ですが、女王バチが冬眠より目覚めた直後の写真・女王単独の巣作りの写真・単独営巣期 初期の幼虫が小さい巣の写真・新成虫(働き蜂)う化後の写真と、順を追って紹介します。
冬眠から覚めたフタモンアシナガバチ女王の吸蜜 (体長 14-18mm)
2013年4月24日現在Yahooブログ内に(フタモンアシナガバチで) 112件ヒット
撮影日:2006.4.3.
【ウスムラサキシマメイガの第1世代後期】
セグロアシナガバチ女王が冬眠から目覚め、活動を開始すると、恐らくそのいくらか後に第一世代のウスムラサキシマメイガ成虫(図の中の成虫①)が羽化します(5月中旬と判明)。
キボシアシナガバチ女王の単独での巣作り(体長 14-18mm)
2013年4月24日現在Yahooブログ内に(キボシアシナガバチで) 66件ヒット
撮影日:2007.5.13
ムモンホソアシナガバチ女王の単独子育て(体長 14-20mm)
2013年4月24日現在Yahooブログ内に(ムモンホソアシナガバチで) 29件ヒット
撮影日:2007.5.13
【ウスムラサキシマメイガの第2世代期】
このセグロアシナガバチの単独営巣期に第1世代のウスムラサキシマメイガ成虫(成虫①)が、セグロアシナガバチの巣もしくはその近辺に卵を産み付け、孵化した幼虫はハチの巣内でハチの蛹や幼虫を食べてウスムラサキシマメイガの幼虫(図の中の幼虫・蛹第2世代期)が育ちます。 新成虫(働き蜂)の羽化後の様子(体長 14-18mm)
2013年4月24日現在Yahooブログ内に(キボシアシナガバチで) 66件ヒット
撮影日:2007.5.13
巣の単房開口部の縁には、黄色い部分があります。
これは、ここに写る新成虫が羽化する前の蛹期に女王によって形成された育房蓋のなごりです。
幼虫期には働き蜂が餌を与えるので、育房蓋はありません(蛹になると餌を食べない)。
【ウスムラサキシマメイガの成虫②の出現】
セグロアシナガバチの単独営巣期に第1世代のウスムラサキシマメイガ越冬成虫(成虫①)の幼虫が卵を産み付け、そのう化した幼虫がハチの巣の侵入に成功したなら、当然そのハチの巣の子供は全滅し、新働き蜂の出現はありません。
巣食ったセグロアシナガバチの巣からう化したウスムラサキシマメイガの成虫②は、新たなるセグロアシナガバチの巣を求めて飛び立ちます。 ウスムラサキシマメイガなどの寄生を免れたセグロアシナガバチの巣は、これで卵を産まないメス蜂(働き蜂)が誕生し、これ以後は、女王蜂は産卵に専念し、働き蜂は幼虫を育てるという共同営巣期にはいります。
アシナガバチの共同営巣期の子育ての様子は、ウスムラサキシマメイガに巣食われる当事者であるセグロアシナガバチの巣の様子を撮影した写真を紹介します。
共同営巣期の巣での子育て(体長 20-26mm)
2013年4月24日現在Yahooブログ内に(セグロアシナガバチで) 209件ヒット
撮影日 :2007.8.5
手前の飛翔する個体は、カゲロウの一種を捕らえて帰ってきました。
共同営巣期の巣での子育てのアップ画像(体長 20-26mm)
2013年4月24日現在Yahooブログ内に(セグロアシナガバチで) 209件ヒット
さきほど帰ってきたハチの獲物(カゲロウの一種)は大顎で肉団子にされ、幼虫に与えられます。
獲物を捕らえても働き蜂は、獲物の一部も食すことはなく、獲物の体液もしくは、幼虫に餌を与えた見返りに幼虫が口より分泌する液をもらって活動エネルギー源とします。
撮影日 :2007.8.5
【ウスムラサキシマメイガの第3世代期】
このセグロアシナガバチの共同営巣期 にウスムラサキシマメイガの第2世代♀成虫(成虫②)が飛来して産卵し、それがう化したウスムラサキシマメイガの第3世代幼虫がハチの巣の侵入に成功したなら、そのハチの巣の子供は全滅し、ハチの新働き蜂の出現はなく、その巣の残された働き蜂と女王蜂は、翌年につなぐ世代を絶たれます。
(ただし、セグロアシナガバチの共同営巣期 は、この時期の各地点に作られたそれぞれの巣によってその進展状況には差があり、ウスムラサキシマメイガの第2世代♀成虫(成虫②)も日をおなじくしていっせいに飛来するとは思えず、新女王蜂や新雄蜂がウスムラサキシマメイガ幼虫に捕食される前にう化する可能性はある。)
私が〜セグロアシナガバチに巣食う蛾 : ウスムラサキシマメイガ(前編)〜と〜セグロアシナガバチに巣食う蛾 : ウスムラサキシマメイガ(後編)〜で紹介した事例では、セグロアシナガバチ巣内にはセグロアシナガバチの幼虫及び成虫は残っておらず、巣食ったウスムラサキシマメイガは8月31日の時点で終齢幼虫1個体と、蛹1個体を残して、全て成虫になったので、9月上旬には全ての個体が成虫になったと思われます。
最初に紹介した図に表わしたように、セグロアシナガバチの雄、新女王のう化期は、8月上旬〜10月中旬ごろまでなので、9月上旬に成虫となったウスムラサキシマメイガは、すぐに新たな巣へと飛来して産卵することは可能です。
そして巣は以下の有様に。
私がウスムラサキシマメイガに巣食われた巣を採取せずに発生したこの蛾の成虫が自然界に放置されていたなら、その成虫の子である第4世代幼虫=翌年の第1世代幼虫ということになります。
(この事例では成虫は年3回発生したが、年2回の発生例もあることは、〜セグロアシナガバチに巣食う蛾 : ウスムラサキシマメイガ(前編)〜と〜セグロアシナガバチに巣食う蛾 : ウスムラサキシマメイガ(後編)〜で記しました。)
これをもってウスムラサキシマメイガとセグロアシナガバチは越冬期にはいります。
セグロアシナガバチのオスや新女王は10月〜11月まで巣上に集団で止まり静止していることがあります。
また、新女王が越冬のため巣の上や人家の外壁,屋根裏や天井などに集団となって静止していることがありますが、攻撃性はありません.寒さが厳しくなると共に巣に止まるハチの数は減ってきますが,そのまま巣上(巣の背面)で越冬することもあります.
【ウスムラサキシマメイガの越冬期】
ウスムラサキシマメイガの幼虫は、冬を迎える前に大きく成長して老熟できた個体以外は、蛹になって翌年に成虫となることができないことを紹介しています。
越冬世代幼虫は、4月下旬より蛹になっておよそ3週間後にう化するとしている。
つまり新成虫①は、5月中旬頃から現れはじめるらしい。
したがって、このブログの最初に示した図は、〜セグロアシナガバチに巣食う蛾 : ウスムラサキシマメイガ(前編)〜で紹介した図を一部改訂しました。
【引用文献】
セグロアシナガバチに巣食うウスムラサキシマメイガの交尾・産卵と幼虫の餌利用
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こんばんは。
秩父MP薬用植物園時代、キボシさんとムモンさんの営巣に遭遇したことがあります。
危ないかな?と思いましたが営巣も一過性なのでカラーコーンだけたててそのままにしていました。
ウスムラサキシマメイガが巣食うのはセグロさんだけですか?
一般的に「蜂!」と聞くと、名前も知ろうとしないままただ「危ない虫」ということで避けてしまうのかな?と感じています。
蜂VSメイガさんの戦い、見てみたいですね(^^;
2013/4/25(木) 午後 10:11
アシナガバチの巣の幼虫が全て小さな蛾の幼虫に食べられてしまうという昆虫の不思議世界、こんな面白い事をほとんどの人が面白いと思わないのは悲しくてしかたありません。
2016/5/10(火) 午後 3:52 [ 上から目線 ]
2012年に動画を撮っておられる方がいました。面白い生態ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=r1Nmj1lNBKM
https://www.youtube.com/watch?v=X3SjZ2dn2Qs
2016/8/18(木) 午後 10:20 [ T ]
> Tさん
情報ありがとうございます。見させて頂きました。
とても貴重な動画だとはおもいますが、決定的なシーンが無いのは少し残念です。
ウスムラサキシマメイガの成虫は夜行性です。
闇に乗じてセグロアシナガの巣に近づき、産卵しますが、当然親バチは防衛線を張っていて幼虫の部屋に直接の産卵は困難です。
そこで巣の根元に産卵してふ化し、生まれたばかりの新生幼虫が徒歩で巣に辿り着くそうです。
私はそのシーンが見たいと思っています。
また良い情報がありましたら、ご報告下さい。
ありがとうございました。
2016/8/19(金) 午後 4:53 [ 上から目線 ]
勇敢な蛾にあっぱれ!
自分より強大な敵の巣に侵入するなんて人間にはなかなか出来ない
2019/5/25(土) 午前 0:04 [ ロゼリアン ]
ロゼリアンさん
コメントありがとうございます。
虫の生存競争、ほんと面白いですよね。
2019/5/25(土) 午後 9:03 [ 上から目線 ]