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〜毒チョウを真似るアゲハモドキ〜
私も昆虫を撮影し始めた当初は、チョウの撮影から始めたのですが、昆虫写真というのは、その昆虫が何と言う種なのかを確定出来てこそ、その生態写真に価値が出るのだということ、昆虫の中でも美しいチョウは、やはりダントツの人気で、それだけにチョウをよく知る人は多く、30才を過ぎて本格的に昆虫写真を始めた出遅れ組の私が、今更その知識を深めるまでには、更に多くの年月を費やす必要がありました。
「このままでは何時まで経っても頭角を現せない。どうする?路線を変えようか、じゃあ何時変える?今でしょう。」というわけで、直ぐに他の昆虫に興味を移したのです。それがまた大正解で、チョウにはない面白昆虫にはまってしまったわけです。
今回紹介するアゲハモドキは、アゲハチョウのような蛾なのですが、
堺市の福山雅治に言わせれば、「実に面白い。」
「さて問題です。蛾とチョウのどちらに毒を持つ種が多くいるでしょう?」と一般の方に質問した場合、へそ曲がりの人以外は、「そりゃあ、蛾でしょう。」と答えるに違いない。
ところが現実には、毒を蓄えたチョウは複数種いて、以前紹介した〜アサギマダラが旅をする理由〜などで紹介したアサギマダラも正に毒チョウです。もっとも、蛾にはもっと多くの毒を持つ種がいるのも事実です。
ですが「アゲハチョウが毒チョウだなんて話は聞いたことがない。」ておっしゃる方も多いのでは?
そんな方のために、とにかくアゲハモドキの画像を見ていただきましょう。
アゲハモドキ(1)
2013年6月5日現在Yahooブログ内に172件ヒット
アゲハチョウの飛行は、上下左右にランダムに揺れながら素早く飛びますが、
アゲハモドキは、サインカーブを描くようにゆっくりとした速度でフラフラと
上下に規則正しく上がり下がりを繰り返して進む独特の飛行をします。 アゲハモドキ(2)
ちなみにアゲハモドキの食草はミズキで、毒草ではありません。
どうです?アゲハモドキはアゲハチョウに似ていますか?
えっ?「クロアゲハに似てる。」と思った方、大正解です。
黒いアゲハの仲間には、よく似た種が何種類もいるのですが、アゲハモドキに一番よくにているのは私の目にはクロアゲハの♀に思えます。
クロアゲハ♀
2013年2月25日現在Yahooブログ内に1266件ヒット ジャコウアゲハ? いや、オナガアゲハかな
2013年6月5日現在Yahooブログ内に338件ヒット
訂正します。腹部側面の色からしてオナガアゲハのようです。 チョウの撮影を熱心にしたのは、ほんの2〜3年なのでイイ写真がありません。
ところが、クロアゲハも他のアゲハ=毒アゲハに似せた姿を選んだもしくは、毒アゲハに似た種のみが生き残ったとしたら、話しはちょっと複雑になりますね。
五木ひろしや森進一・岩崎宏美・野口五郎を真似るのに、物まねタレントのコロッケさんを真似た、それがアゲハモドキ、というのが真相ということになります。
じゃあ、本家の毒アゲハは誰?その名はジャコウアゲハです。
詳しい理論を説くページとしては、黒蝶の戦略が面白いのでご覧下さい。
以前紹介したアサギマダラは幼虫期に毒草を食べることで毒を蓄えることを記しましたが、ジャコウアゲハもウマノスズクサなどの毒草を幼虫期に捕食することが、黒蝶の戦略の中でも紹介されています。
その毒草の毒素については、有害なアリストロキア酸を含むハーブによる健康危害をご覧下さい。
以上をもってアゲハモドキの姿がアゲハのモドキたる姿の由縁は概ね落着です。
それはそれとして、毒のない蛾が毒チョウの姿を真似て生き延びようとする種があるのに、数ある毒蛾の姿を真似て生きながらえようとするチョウはいないのでしょうか?
私の知る限りでは見あたりません。どなたかご存知の方がおられましたら、ぜひお教えください。
仮に、毒蛾の姿を真似て生きながらえようとする毒のないチョウがいないとしたら、
それは、毒蛾のような醜い姿になってまで生きながらえたくはないという、チョウの美学やプライドでしょうか?
だとしたらそんなお高くとまったチョウには、私から言ってやりたいことがあります。
「きれい事ですませるな!もとは青虫だったくせに。」なんてね。
それともう一つ、ジャコウアゲハの幼虫が食べる毒草=ウマノスズクサも、今回調べて見た結果、とっても面白い植物だということを知りました。
この毒草の花は、虫媒介で受粉するのですが、そのさい未成熟の花に臭いでハエなどを誘因して花柱内へと導いて閉じ込め、閉じ込められたハエなどが花粉を付けて雌しべに受粉させるうるようにするという不思議な能力を持つそうです。
その有様は、食虫植物のウツボカズラに似ています。
興味のある方は、ウマノスズクサをご覧下さい。
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堀野さんは、蝶についても様々な知識をお持ちですね。
たいへん勉強になりました!
2013/6/6(木) 午後 2:12 [ 湖池健彦 Essay ]
湖池健彦 aroma さん
お褒めいただき、ありがとうございます。
ですが、チョウを愛する方々の知識と執念には、目を見張るものがあります。
雪山のガケに生息する植物に生み付けられた卵を採取したり、立ち入り禁止の地域(例えば自衛隊の敷地、果ては米軍基地)に潜入してまでも、希少種の採集をするという話しをその本人の方々から聞いたことがあります。射殺される危険性も怖くないようですよ。
2013/6/6(木) 午後 8:11 [ 上から目線 ]
小生がアゲハモドキを初めて見たのは、子供の頃に自販機の明かりに飛んできていた個体でした。小型のクロアゲハが夜間に明かりに飛来していたことが不思議でならなかった思いでがあります。
ナイス。
2013/6/8(土) 午後 3:50