|
〜明日香村:神主が神を祭る様子を見て詠った万葉歌〜
サブタイトル:オヤジブログは自由だ!奈良県明日香村編
今回ご紹介する歌は、万葉歌です。まずは画像から。
(原文)五十串立 神酒座奉 神主部之 雲聚玉蔭 見者乏文
斎串立て 神酒坐ゑ奉る 神主部の 髻華の玉蔭 見ればともしも
いぐしたて みわすゑまつる かむぬしの うずのたまかげ みればともしも
作者未詳
[大意]
斎串を立て神酒を瓶(かめ)に入れて据え供える神主部の髻華(うず)にさしたヒカゲノカズラを見ると、見事だ。
札の説明書きには、「神主が神を祭るときの様子を描き、その髪飾りに心が引かれることを詠んでいます。」と書かれていますね。
【斎串(いぐし)とは】
榊(さかき)や笹などの小枝に幣(ぬさ)をかけて神に供えるもの。玉串。いみぐし。
【幣(ぬさ)御幣(ごへい)とは】
通常、紙垂は白い紙で作るが、御幣にとりつける紙垂は白だけでなく五色の紙や、金箔・銀箔が用いられることもある。
かつて、神に布帛を奉る時には木に挟んで備えていたが、それが変化したのが今日の御幣である。その由来から、元々は神に捧げるものであったが、後に、社殿の中に立てて神の依代あるいは御神体として、あるいは祓串のように参拝者に対する祓具として用いるようになった。
なお、長い棒や竹の先端に幣束を何本か取付けたもののことを、特に梵天(ぼんてん)という。 紙が普及する以前は、ヤナギ、ニワトコ、ヌルデ、クルミ、マツなどの木の肌の一部を薄く削ぎ、渦状にちぢらせて残し垂らしておく飾り棒削り掛けも、御幣、幣の古い形の祭具として用いられた。
幣(ぬさ)を持つ神主
【神酒(みわ)とは】
神に供える酒。おみき。
【酒坐】
さかもりの場。
【髻華(うず)とは】
古代、草木の枝葉や造花などを冠や髪の上に挿して飾りとしたもの。かざし。
【玉蔭(たまかげ)=ヒカゲノカズラとは】
北海道から九州に分布するヒカゲノカズラ(日陰鬘、日陰蔓、学名:Lycopodium clavatum)は、ヒカゲノカズラ植物門ヒカゲノカズラ網ヒカゲノカズラ科ヒカゲノカズラ属に属する代表的な植物で、広義のシダ植物ではあるが、その姿はむしろ巨大なコケを思わせる蔓性(つるせい)のシダ植物。
2倍体・3倍体・4倍体が存在し、其々の好みは若干異なる様ですが、日当たりの良い貧栄養の場所に繁茂することの多い植物。
蔓(つる)は時に5m以上も地面を長く這い、20〜50cm程の間隔で根を出し地面に張り付きます。
羊歯植物ですが、根があまり発達せず殆ど苔の様な性格の為、移植の困難な植物と言われています。 山野に自生する多年草で、カズラという名をもつが、つる状ながらも他の植物の上に這い上ることはなく、地表をはい回って生活している。針状の細い葉が茎に一面に生えているので、やたらに細長いブラシのような姿。
ヒカゲノカズラ=玉蔭(たまかげ)
以上でこの歌自体の説明は完了なのですが、この歌は、以下の長歌の返歌だそうです。
【長歌・短歌・返歌とは】
短歌、長歌、反歌のちがいを教えてください。 - Yahoo!知恵袋によると、日本固有の詩歌である「和歌」の分類。
現在、狭義では「和歌」と言えば、専ら「短歌」を指します。
短歌、長歌、反歌の違いですが、
短歌とは…
5・7・5・7・7の5句、31音で構成される定型歌のこと。
「三十一文字(みそひともじ)」とも言われます。
長歌とは…
5・7・5・7音の句が続き、最後が7・7音の句で終わるもの。
5音7音の句を3つ以上繰り返し、最後7音で締める構成以外には何の制約もありません。
反歌とは…
長歌の終わりに添えるうたのこと(万葉集では旋頭歌1首を除いて全て短歌)。
長歌の意を反復・補足または要約するもの。1首ないし数首からなる。
「かへしうた」とも。
注)…旋頭歌とは、5・7・7・5・7・7の6句からなるうたのこと。
だそうです。
[題詞]
柿本朝臣人麻呂歌集歌曰
[原文]
葦原 水穂國者 神在随 事擧不為國 雖然 辞擧叙吾為 言幸 真福座跡 恙無 福座者 荒礒浪 有毛見登 百重波 千重浪尓敷 言上為吾
[訓読]
葦原の 瑞穂の国は 神ながら 言挙げせぬ国 しかれども 言挙げぞ我がする 言幸く ま幸くませと 障みなく 幸くいまさば 荒礒波 ありても見むと 百重波 千重波しきに 言挙げす我れは
[仮名]
あしはらの みづほのくには かむながら ことあげせぬくに しかれども ことあげぞわがする ことさきく まさきくませと つつみなく さきくいまさば ありそなみ ありてもみむと ももへなみ ちへなみしきに ことあげすわれは
[大意]
葦原の瑞穂(みずほ:みずみずしい稲穂)の国に、手向けをするとて、多くの神々の天降っておいでになったという神代から(手向けの山だと)言い継いで来た、神名火の三諸の山(三諸の神奈備山)は、春になると春霞が立ち秋になると紅葉が美しい。
三諸山の神が帯としている明日香川の、水脈が速いためになかなか生えて着いていることが出来ないその川の石枕に蘿(ら:ヒカゲノカズラの古名)が生える時までも、毎夜毎夜新たに、元気で通うための計らいを神々よ どうか夢でお示し下さい。
私がこんなに大切にお祭りしている神でいらっしゃるのですから。 【注釈】
【三諸の神奈備山とは】
神の降臨する場所。みむろであり、神奈備山は、神の鎮座する山の意。「かむなびやま」とも》奈良県高市郡明日香村にある三諸山(みもろやま)の異称。
上記の長歌には、他にも
(原文)神名備能 三諸之山丹 隠蔵杉 思将過哉 蘿生左右
神名備の 三諸の山に いつく杉 思ひ過ぎめや 蘿生すまでに かむなびの みもろのやまに いつくすぎ おもひすぎめや こけむすまでに
[大意]
あなたへの恋の思いは心から消え去ることはないでしょう。蘿(こけ)が生える時までも。
という返歌があります。 ![]() |
全体表示
[ リスト ]





