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〜渡りをするアサギマダラに寄生するハチ(動画付き追記版)〜
アサギマダラをテーマにしたブログで、アサギマダラは寄生虫からのがれるために旅をすると言う話をしました。
今回は、その寄生蜂(キスジセアカカギバラバチ)が主役です。
キスジグセアカカギバラバチ(体長約1センチ卵は数ミクロン)
2013年2月25日現在Yahooブログ内に7件ヒット
アサギマダラに寄生していたと論文で紹介されたハチです。
案外カラフルで可愛いと思いませんか?
「チョウの幼虫は、植物の葉を食べて育ちます。ところが、その葉に卵を産み付けるのが、寄生虫(ハチやハエの仲間)の成虫で、そうとは知らないアサギマダラの幼虫は、葉と一緒に寄生虫の卵も体内にとり込んでしまうのです。残念!!」
というのが以前紹介したお話でした。
今回はまず、キスジセアカカギバラバチの産卵シーンを動画でご覧下さい。
キスジセアカカギバラバチが葉の裏に産卵する様子をスロー再生 平井規央准教授は、アサギマダラの生活史(一生)を解明するために飼育実験をおこなっていたところ、アサギマダラのサナギが次々と死に、中からマダラヤドリバエが現れたそうです。
このマダラヤドリバエは、ほぼ日本全国に分布し、クジャク蝶にも寄生するそうです。この寄生バエは、直径0.2mmほどの微小な卵が、植物の葉と共にチョウの幼虫に食ぺられることで寄生を開始する変わった習性をもちます。
平井先生は、更に飼育実験を続け、あるアサギマダラのサナギから出たマダラヤドリバエの囲蛹(殻に囲まれたサナギ)を放置してたところ、今回の主役キスジセアカカギバラバチが現れたそうです。
つまり、寄生虫の中から寄生虫が現れたのです。これを二次寄生と言うそうです。
平井先生のここに紹介したお話では、第一段階でアサギマダラがかかわりましたが、
この蜂について検索してみると、チョウと同じように、幼虫が植物の葉を食べる蛾やハバチを介して、
スズメバチにも二次寄生するという記述もありました。
私は、所属する昆虫同好会で、平井先生の講演を直接お聞きし、この研究のその後の成果として、二次寄生の経過過程を詳しく知ることができましたので、これもご紹介します。
●二次寄生のメカニズム●
アサギマダラの幼虫の体内でマダラヤドリバエとキスジセアカカギバラバチの卵が同じアサギマダラの幼虫に食草と共に食べられ、体内に取り込まれた場合、その後先にふ化して幼虫となったマダラヤドリバエの幼虫が、未だ卵のキスジセアカカギバラバチをアサギマダラ幼虫の肉と共に摂取することでキスジセアカカギバラバチの二次寄生が実現されるということでした。
さらに寄生蜂には二次寄生を超えて、三次・四次の寄生も可能な種があるそうで、これら二次以上の寄生を総称して高次寄生というそうです。
●以下は私の観察事例からの独自論です●
最初の生態写真の撮影では、キスジセアカカギバラバチがカラムシという植物の葉に産卵していました。ところが動画では、また異なる植物の葉に産卵しています。
つまり、この寄生蜂は、不特定多数の植物の葉に産卵することが見てとれます。ですので寄生しうるチョウ類や寄生バエも、不特定多数の種に及ぶ事が予想されます。
その他にも私がこの寄生バチについて気になった事があります。私はこの寄生バチをかなり数多く野外で見かけましたが、体長にかなりのバラツキがありました。
私の想像では、チョウに寄生してそのまま成虫になった場合は、大量の肉を食べられるので大きな体の個体が現れ、チョウに寄生した他の寄生者(ここではマダラヤドリバエ)に食べられて二次寄生した場合には、ハエの肉の絶対量がチョウのそれより遙かに少ないので、小さな体の個体が現れるのではないかと思うのです。
★この事については、以下のコメントがありましたので、現在お問い合わせしております。
[ Nawshica ] さんより
このハチは2次寄生ができない時、つまり既に寄生されている幼虫に食べられない限り死んでしまうという記載を見つけましたので、もしそれが本当でしたら、成虫のハチのサイズの違いは、2次寄生する幼虫のサイズや宿主の中の個体数の違いが影響するのではないでしょうか?
平井規央(1997)卵から育てられたアサギマダラから現れた2種の寄生者.昆虫と自然,32(5):28-30
キスジセアカカギバラバチを紹介する他のページ
蛇足かもしれませんが、私はカギバラバチの一種を他にも観察していますので、これもご紹介します。
私は2006年〜2008年の7月の中旬ごろに、カギバラバチの一種を観察しています。
この標本を平井規央先生に見ていただいたところ、新種かも知れないというので、ヒメバチを研究されている、松本吏樹郎氏に標本画像を送ってみましたが、ご返事はありませんでした。
このハチは、オニグルミの葉上で産卵行動が観察されました。そこで繁殖するチョウ類などを調べたところ、トサカフトメイガの幼虫が多数発生していて、これを捕食する者として観察されたのは、コアシナガバチでした。
私は、オニグルミの葉と共にトサカフトメイガの幼虫が本種の卵を取り込み、更にこの蛾の幼虫をコアシナガバチが捕食することで、本種の二次寄生が実現されると思っています。
このエピソードは、私が近頃昆虫の会から足が遠のいた理由の一つです。
逆に言えば、それほどこの蜂に思いがあったということですね。
後は、土曜日に定例会に出られない状況になったことや・・・。 カギバラバチの一種 トサカフトメイガの幼虫 前回紹介時は、ナイス(1) コメント(4)でした。
前回紹介時のコメントです。
[ sakaku ]さんより
寄生蜂、寄生蠅は奇麗なものも多いですが、葉に卵を産み付けるのはハバチの仲間で寄生蜂とは違うような気がします。
アサギマダラの食草ガガイモ科は毒草ですから、それを食べるアサギマダラは成虫まで毒が残るので、いわゆる鳥が食べない毒蝶です。 しかも高温を嫌う蝶ですから、暑い南方では生息できず、北のほうへと渡って行きます、でも見られるのは標高の高い山で日陰ばかりです。 私 [ 上から目線 ]からお答えします
比較的最近の研究ですので、あまり知られておりませんが、平井 規央准教授が、本種の産卵行動についても論文で記述されておられます。
[ sakaku ]さんより
寄生蜂調べてみました、珍しい生態の蜂でしたね、これなら毒草など関係ないでしょうね、初めてこんな寄生蜂がいるのを知ったです。 良い勉強になったです。 ハエが寄生した場合は、幼虫はどんな状態の時にハエが羽化するのかわからないですが、蜂の場合は幼虫の時に外に出て繭を作るものと、蛹の時に出てくるものに大きく分けられるような気がしてますが。 自分は蝶が専門で40年近く付き合ってますから、色々な場面を見てますが、蛹の場合は寄生されてるのは時間が立つとわかります。 色々な蝶の蛹から出た蜂の標本は少しは持ってます。 この可愛いキスジセアカカギバラバチが産み付けた卵をアサギマダラの幼虫が食べちゃうのですか。勉強になります。 高次寄生とは随分複雑な生態系ですね。カラムシの葉に産み付けられたこの蜂の卵はどのようにしてアサギマダラの体内に入るのでしょうか。
私 [ 上から目線 ]からお答えします
この寄生バチは、アサギマダラだけに寄生するわけではありません。
私の撮影した写真に写っている個体の卵は、アサギマダラの食草に産卵していませんので、他のチョウ類に寄生することになると思います。
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