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〜アサギマダラの旅の工夫と敵の知恵〜
以前〜アサギマダラが旅をする理由〜をご紹介しました。
このチョウについては、Yahooブログ内でも多くのブログで紹介され、専門のブログもありますが、
ここではアサギマダラの研究発表をより詳しく、でも分かり安く紹介します。
アサギマダラは、南国から上昇気流を利用して高度をあげ、偏西風などの高層風を利用して、日本の本州もしくわそれ以北にまで旅をするという情報をご存知の方は多いと思いますし、私もそのように紹介しました。
ですが、平井先生が、2003年に記載した『海を渡るアサギマダの航法と飛翔高度』 によると、実際は、南から北への移動だけではなく、むしろマーキング調査の報告例としては、日本国内を北から南下する報告事例の方が多いそうです。
この論文で紹介されている右の図は、高層風の吹く方向を示した図で、偏西風は西南西から東北東(左下から右上)へと吹いていますが、その他にも大陸からは日本(北から南)へと吹く高層風があり、韓国からアサギマダラが渡った事例も最近発表されています。(でもこの風、黄砂とPM2.5も運ぶんです。)
これら高層風を利用した移動は、長距離を一気に渡る事例で、以前より知られている北上移動の期間は、ほぼ5月〜6月、本種の移動距離は長いもので2,000kmに及び、1日あたり200kmもの距離を移動移動している例もあるそうです。
本種と同様に旅をする北米のオオカバマダラの研究では、無給餌の飛行距離は、自力では500km程度しか進めないが、上昇気流を利用して滑空を繰り返した場合は10,000kmを超え、飛行高度1,000mを超える高度を飛翔していた事例が報告されているそうです。
以上のような春から夏の移動は2つ目の図『高度別の季節風の方向から想定されるアサギマダラの最も“省力的な”広報の模式図』 に示された上の線で示されています。
対して、マーキング調査で秋(10〜11月)に多数報告された高層風とは逆方向への日本国内の南下移動は、下の線のように、より地上に近い高度を小刻みに上昇と下降を繰り返しながら移動するという仮説を紹介されています。
さて、次に〜アサギマダラが旅をする理由〜で紹介した移動の根本原因の寄生バエにつて紹介します。
平井先生は、2003年の南大阪昆虫同好会の会報で記載した『寄生バチ・寄生バエから見た南大阪の“食物網”(3)』の中で、アサギマダラの食草であるギジョランにおける寄生バエ(マダラヤドリバエ)の産卵位置とアサギマダラの摂食部位を紹介して、これらの位置が驚くほど一致すると記しておられます。
ギジョランは、毒草として知られていて、葉や茎を切ると乳液が出ますが、これは植物側としての防御の一つと考えられ、これを食べる側にとっては有害な物質を含んでいたり、食べる側の虫の口を固着させたりすると言われているそうです。アサギマダラの幼虫は、ギジョランから受けるこれらの障害を避けるために、マダラヤドリバエが産卵した部位を食べざるを得ないようで、
これら3者(ギジョラン・アサギマダラ・マダラヤドリバエ)の関係は、マダラヤドリバエにとっては、アサギマダラに寄生するための仕組まれた行動であると同時に、ギジョランが食べられないための協力関係を構築していると考えられるそうです。
平井先生の紹介されてるマダラヤドリバエ
私の撮影したヤドリバエの一種(マダラヤドリバエかどうかは不明)
左右の複眼の間に、タテにパックリ開いた口のような部分があるでしょ。
この器官でヤドリバエは、成虫になると寄生したサナギなどを割って外へ出てくるんですよ。
怖いですねー。ゾーッとしますね。
「上から目線は、何でも撮影してるなぁ」 と関心するでしょう?
【引用文献】
平井 規央(2003) 海を渡るアサギマダラの航法と飛翔高度,,昆虫と自然
平井 規央(2003) 寄生バチ・寄生バエから見た南大阪の“食物網”.南大阪の昆虫 5(3) 25-26 〜アサギマダラに寄生するハチ〜も見てね。 |
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2013年03月20日
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