カメラとビデオを棒にくっつけて

堀野 満夫(ポール写真家)My name is Mitsuo Horino. I 'm pole-photographer.

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〜セグロアシナガバチに巣食う蛾 : ウスムラサキシマメイガ(後編)
 
 
こちらには動画もあります。
 
前回の続きを記します。
その前に、昨日のブログにスカベンジャーという言葉が出ましたので説明します。
【スカベンジャーとは】
私流の説明で勘弁してくださいね。つまり、生命活動を行う上で出来た、糞、抜け殻、使用済みの巣、老廃物 等々のみを餌とする生物の呼称です。
昆虫で有名なのは、甲虫のフンコロガシ(スカベラ)ですね。
フンコロガシは、文字通り この昆虫が動物の糞を丸めて転がす様から名付けられたのですが、この糞の玉の中に卵を産み付け育房とします。たしかエジプトの王家の紋だったのでは?たぶんこれは、この種の甲虫は死体にも付き肉を食します。古代エジプト人は、これを敵意をもって見るのではなく、死者を黄泉へと導く神の使いと見たのでは(これ、書物やネットで調べず、勝手に言ってます。)。
チベットやインカなど?の鳥葬も同様にハゲタカなどを神の使いとみているようですね。
ひいては、再びの転生を願って。
 話はかわりますが、昆虫写真家のビッグスリーと言えば、栗林さん、海野さん、今森さんでしょうか?
その今森光彦さんが、若き頃に外国のフンコロガシの生活史を撮影されたことは有名ですよね。
 
脱線が長くなりました。
 
本文もかなり長いです。ごめんなさい。では
〜セグロアシナガバチに巣食う蛾 : ウスムラサキシマメイガの続編です。

 
 
イメージ 1
ウスムラサキシマメイガに寄生された後の
セグロアシナガバチの巣
 
イメージ 2
ウスムラサキシマメイガ (終齢幼虫)
 
イメージ 3
ウスムラサキシマメイガ (繭)
形状は、アシナガバチの育房に合った六角柱
右側の粒々は、本種幼虫時の糞と思われる
 
イメージ 4
ウスムラサキシマメイガ (蛹)
 
 さて肝心の主役だが、私が本種について、加藤ら(2007)の論文から得た主な特徴を以下に紹介する。
①成虫の活動 :
  夜行性(交尾,産卵など)ただし、昼間の交尾例も若干ある。
②食性 :
  本種幼虫は、ハチの巣材や糞では発育しない。1齢幼虫は、ハチの蛹化間もない白色の蛹を集団で補食。
  著者らの推察では、蛹を食べ発育した後は、ハチの幼虫を補食(未確認)、つまり肉食性。
  本種幼虫の補食やふ化が夜間に限られるかは不明。
③世代交代サイクル :
  通常年3世代で1,2世代のときもある。
④寿命 :
  メス成虫で、ふ化後平均 10.7 日(ハチミツ水を餌として与える)。
  産卵数 : 100〜200個。平均交尾継続時間 80.4 分。
  産卵 : 交尾の翌晩以後、ピークは 2 日後。
⑤産卵様式 : ハチ幼虫のいない巣においては繭上に1〜数個産卵。
  ハチ幼虫がいる巣では、ハチの攻撃を受け巣内へ侵入することができず、巣柄近辺にあるいは数十  個からなる卵塊を産卵。
⑥幼虫の移動能力 :
  ハチ幼虫のいる巣の巣柄から10cmの距離に置いた1齢幼虫の内、55%の幼虫が巣内へ入った。
⑦巣内での幼虫の行動 : 本種幼虫は、蛹化にいたるまで、育房壁を食い破りながら他のハチの蛹を食す。
⑧餌量 :
  1頭の幼虫が蛹化までには、ハチの蛹1頭が必要。
  なお、②④⑤⑥⑦⑧については、実験的に観察された。
 
 中谷・山本 (1999) によれば、本種の大阪府における野外での1世代、2世代、3世代の羽化期は、概ね4月、7月、10月頃と考えられえる。
私の第3世代の観察事例では、寄生した巣より夕刻に成虫が現れ、その夜の内に、メスと思われる個体がオスの誘引行動らしき行動を見せた(上から目線,2007)。
 セグロアシナガバチの巣から本種が発見されて以後、長きに渡ってスカベンジャーではないかと推察されてきた理由は、⑦の記述された行動に由来するのだろう。
実際、私が観察した本種寄生後の巣は、全ての幼虫が羽化してしまうとボロボロに荒れ、巣材や糞を捕食するという従来の説に、なんの抵抗もかんじなかった。
 この原稿を記す現在でも、私にはまだ 3つの疑問点がある。
 1つは、本種の越冬形態である。
中谷・山本(1999)においては、スカベンジャーとの仮定の下に、寄生したセグロアシナガバチの巣内で幼虫越冬すると推察している。
しかし、肉食性と判明した以上、幼虫・蛹・成虫のいずれかの段階で冬眠する必要がある。
私の観察したセグロアシナガバチの巣では、本種の幼虫は全て成虫化してしまった。
 
 2つ目は、私にはこれが最も問題なのだが、育房に居座る似ても似つかない姿の本種幼虫に、アシナガバチ成虫は、気づかないのだろうか?気づいているとすれば、なで攻撃しないのだろうか?
少なくとも本種成虫が、セグロアシナガバチの巣に侵入行動を察知したおりには、セグロアシナガバチ成虫は、それから約 10〜30 分間翅を広げて振るわせるなどして警戒反応を示すというのに(加藤ほか,2007)。
 これについては、②⑦の内容から本種幼虫が、セグロアシナガバチの逆襲を回避できる理由が見てとれる。
加藤ら(2007)によれば、本種の1〜2 齢幼虫が好んで蛹化間もない白い蛹を集団で捕食する理由としては、大顎が未発達なため、柔らかい獲物を選んだ結果としており、最初の蛹を完食すると、次々と蛹を食べ、3〜4 齢幼虫となって大顎が発達すると、ハチの幼虫を捕食する(未確認)としている。
また、幼虫を捕食するおりには、隣接した育房より育房壁を食い破って頭だけを出して捕食するのではないかと推察している。
 白い蛹を集団で捕食するのには、その肉が柔らかいということ以外にも利点があるのではないだろうか。
ハチの幼虫が蛹になってしまえば、餌を与える必要が無く、育房には繭蓋が形成されるので、ハチの成虫との接触や獲物自身の抵抗といった危険性がない。
加えて集団で捕食することで本種1齢幼虫は揃って発育し、力を増すことが出来る。
大顎が発達して後も側壁より頭だけをだして捕食するのも、はちの成虫や幼虫の反撃を避けるのに有効だ。
そして、ハチの成虫は、本種幼虫が糸を吐いて隔てるだけで、その存在に気づかれないようにも思われる。
 
 3つ目は、③の内容だ。通常年 3 世代で1,2 世代のときもある。とはどういうことだろう。
チョウにおいては、温暖な期間が長引き、食物が十分ならば、年間の世代数が増加する種が存在するが、本種の場合は世代数が増加するのではなく、減少することがあるとうのだから不思議だ。
そうしたことが起こるのはハチの蛹や幼虫が不足した時なのだろうか?
成長過程で餌が不足すれば、その個体は死ぬのが普通だが、本種の場合は餌が不足すると、ハチが新たな餌となる蛹や幼虫を生み育てるまで成長を止めることが出来るということだろうか?
 
 私が本種に寄生された巣を採集した際、巣内には既にハチの幼虫や蛹は存在せず、本種の終齢幼虫のみであった。
そして巣を採集したとき、巣から20cm程離れた軒先天井では、約20個体のセグロアシナガバチ成虫が、寄り添うって静かに止まっていたが、攻撃性を見せることが無かった(上から目線,2007)。
なぜだろう?私には、このハチ成虫の有様は、守るべき者(幼虫・蛹)、働くべき目的を失った保護者の姿のように思われた。
 いずれにしても、一般的には弱者と見られる小蛾が、昆虫界においては食物連鎖の位置する真社会性のハチにあえて寄生する生態は、ある意味痛快で、加藤氏らの論文を読み終えた現時点でも、まだまだ興味は尽きない。
今後も発表されるであろう本種に関する論文には、着目して行きたい。
日本では、アシナガバチ亜科の巣に寄生する鱗翅類として、本種の他にフタモンアシナガバチの巣に寄生するトガリホソバが知られている(加藤ほか,2007)。
夜間の出来事なら、野外での観察は非常に困難ではあろが、願わくばその攻防を我が目で確認したいものである。
 末筆ではあるが、本種についてのご指導と、論文を紹介していただいた中谷憲一氏および山本博子氏に厚くお礼申し上げる。
 
【引用文献】
堀野 満夫 (2007) セグロアシナガバチに巣食うウスムラサキシマメイガ.つねきばち (11) :49-50
井上寛 (1982) メイガ科.井上寛・杉繁朗・森内繁・黒子浩・川辺湛編 日本蛾類大図鑑1.講談社
         p.381.
井上 寛 (1957) すかしばが (透翅蛾) 科 Aegeriide.
        原色日本蛾類図鑑 (上).保育社 : p.152.
岩田久二雄 (1982)  狩猟に先行して産卵する狩蜂の生活.日本蜂類生態図鑑.講談社 : p42.
加藤展朗・山田佳広廣・松浦誠・塚田森生(2007)
        セグロアシナガバチに巣食うウスムラサキシマメイガの交尾・産卵と幼虫の餌利用.
    日本応用動物昆虫学会誌 51 : 45-50
中谷憲一・山本博子 (1999) 
    セグロアシナガバチの巣にに寄生するウスムラサキシマメイガの化性と越冬態.
    蛾類通信(2005) : 85-87
高見澤今朝雄(2005) 日本の真社会性ハチ 全種 ・全亜種生態図鑑.信濃毎日新聞社.長野.262pp
堀野 満夫 (2007) 心に残る昆虫(12) 〜ウスムラサキシマメイガ〜.南大阪の昆虫 vol.9 27-29
 
 
〜セグロアシナガバチに巣食う蛾 : ウスムラサキシマメイガ(前編)
 
 
こちらには動画もあります。
 
寄生虫と言ってしまうと、なんだか気持ち悪いだけの生き物だと思われがちですが、その生態を知ると、これほど面白く興味をそそる存在はありません。
もっと言えば、寄生という生き方は、特異なものではなく、寄生することは、むしろ自然界ではポピュラーな生き方だと思って頂いてよいとすら思います。
弱肉強食の生物界で、寄生というかたちをとれば、それは強肉弱食の下克上が可能なのですから、基本的には弱者に位置するグルーブが、この方法をとらない手はないと私は思います。
これまでにご紹介したアサギマダラに寄生するマダラヤドリバエもその1例です。
今回は、蛾が蜂を食べます。
当事者(蜂)にとっては たまったもんじゃないでしょうが、第三者の人から見れば、痛快にすら思えるお話です。なにせ、人は(毒針を持つ)蜂には痛いめに合わされてきましたからね。
そのくせ、蜂蜜やローヤルゼリーを食べたり、ミツバチの毒針を治療に使ったり、果ては蜂の子を食べたりするのも人ですが。
 
では〜セグロアシナガバチに巣食う蛾 : ウスムラサキシマメイガの始まり始まりーっ!
バチ、バチ、バチーッ。

心 に 残 る 昆 虫 (12)
 〜 ウスムラサキシマメイガ〜
堀野 満夫
 一言でいうとつまらない蛾、外見で判断すればそういうことになる。
ところが、その生態は、実に興味深い。
先に前振りをしよう。小さな蛾が、恐ろしいアシナガバチの巣に侵入して、その子供を食い尽くすと言ったら、しんじられるだろうか?
「そんなバカな!」と声を出したあなたには、是非ともこの記事を最後まで読んでいただきたい。
 私にとって現在最も興味を持っている昆虫はハチ目である。
今回紹介するウスムラサキシマメイガHypsopygia postflava(Hampson)は
セグロアシナガバチPolistes jadwigae Dalla Torreに巣食う蛾として、以前より知られているが(井上ほか,1982)、その生活史については未知な点が多かった。
くしくもこの春、加藤ほか (2007) によって、食性などが新たに解明されたが、その内容は、私の期待を裏切らなかった。
ここでは、本種の生態について、私自身の観察を交えて紹介したい。
 
イメージ 1
ウスムラサキシマメイガ 側面
2013年3月27日現在Yahooブログ内にこのブログのみ
 
イメージ 2
ウスムラサキシマメイガ 側面
 
 2005 年 9 月 29 日、堺市堺区南旅籠町において、セグロアシナガバチの巣を、生きた成虫と共に採集し、透明ケース保管したところ、翌日になって、複数の小蛾が現れた(上から目線,2007)。
これが本種であることは、この年(2005 年) 12月の本会例会において、会員の山本博子氏よりうかがった。
 従来本種は、セグロアシナガバチの巣や糞を食するスカベンジャーと思われていた。
中谷・山本(1999)は本種の生活史の解明を試み、年 3 世代であることを推察した。
 
 自然界では、蛾はアシナガバチによって捕食されるものというのが一般的な認識だろう。
実際、蛾や蝶の幼虫が捕食される光景は、しばしば見かける。
しかし、本種の幼虫では、ハチに捕食されるどころか、加藤ら(2007)によれば、逆にセグロアシナガバチの蛹や幼虫を捕食するというのだ。
しかも本種成虫の体長は、わずか10mm程しかない。
 私の興味は、果たして本種は単なるスカベンジャーなのか?弱々しい小蛾が、集団で生活し、毒針を持つ肉食のハチの巣に、何時いかなる方法で産卵するのか?ということであった。
 
 本種の生態を紹介する前に、まずはセグロアシナガバチについて紹介しなければならない。
アシナガバチ亜科は、ハチ目の中でも最も進化した形態と生活様式を持つ真社会性のハチである。
真社会性とは、集団の大部分の卵を産み、その他の労働をほとんどしない繁殖固体(女王=母バチ)と、卵を生まず育児や食物採集などの労働に大部分を費やす労働個体(働きバチ=娘バチ)の 2 世代の成虫が共存して共同で育児する生活形態をとる性質をいう(高見澤,2005)。
さらに高見澤(2005)によれば、セグロアシナガバチは、アシナガバチ亜科の中でも大型で、攻撃性はスズメバチ亜科のキイロスズメバチに次ぐ程とされている。
しかし、その巣は1層の単盤がむき出しで、育房数は50〜500と、複数層の単盤が球形の外壁の中に納まったスズメバチに比べれば、外部からの侵入を許し易く、規模も小さい。
 
 ウスムラサキシマメイガの生活史のサイクルについては、セグロアシナガバチと対比させた図1を参考にしていただきたい。
イメージ 3
 
さて肝心の主役だが・・・・、
 
つづきは次回ブログにて、 to be cntenued

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