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〜ルリハナアブに関する記載と大阪府南部の採集記録〜
前回の〜ルリハナアブ(メタリックグリーンの綺麗なハナアブ) 〜で、ルリハナアブの生態写真を紹介しました。
ハチやアブが苦手な人には、このハナアブの詳細を知る必要もないかもしれませんが、
私たちの住む近畿では、貴重な昆虫だということを、以前 双翅目談話会(ハエ・アブ・カ・ガガンボなどを研究調査する会)で紹介したことがあります。
双翅目談話会は、極めて専門的な会で、学名やサブタイトルに英字を記すなど、私のようなアマチュアにはとても難解なことが多く、現在は退会していますが、当時の記事と掲載した写真を紹介します。
ルリハナアブの大阪府南部からの記録 堀野 満夫(ほりのみつお)
Mistuo Horino:New record of Pseuderistalis viridis Coquillett from the south of Osaka pref.
ルリハナアブPseuderistalis viridis ( Coquillett, 1898)は,青緑色の光沢をもつ縞模様が特徴的な種である.
大石久志氏によると従来はLathyrophthalmus属の含められていたが、翅の付根直後の背面に、特殊な毛があることで、現在独立の属とされている。本種の生息記録は、近年激減しており、京都府・三重県のレッドデータブックでは、共に準絶滅危惧種に指定されている。また、かつては水田に普通に見られた種で、恐らく農薬の投与や水質の変化のよって減少したと考えられ、京都府でも戦後まもなくは、京都駅南口近くでも見られたが、次第に減少、京都市深泥池(みどろがいけ)では90年代以降に絶滅した。
近畿の現存する生息地もごくわずかで、平地では殆ど見られず、やや山よりの湿地などに点々と生息しているだろうとのこと、大阪府では高槻市二料の記録がある(桂,2000)。これまで紹介されていない、大阪府南部の採集記録をここに報告する。
本種を初めて採集したのは,2006年4月30日の堺市南区鉢ヶ峯寺である.現地の第二豊田川周辺は,多種のトンボが生息し,湿地性のサラサヤンマも比較的よく観察される.トンボ類をを主目的として出かけたこの日の正午過ぎ,川端に咲くタンポポに訪花した♂1個体を確認し,早速本会へ紹介してみたところ、貴重な種であることが判明した。
また、5月14日の午後6時頃,今度は和泉市納花町谷山湖畔で,♂1個体を採集し、更に5月21日にも同時刻頃に8個体を確認し,その内♂4固体を採集した.
ここには,父鬼川沿いの峠道へと続く松尾農道の両脇の谷に,水田やミカン畑と,それらに利用される池が点在し,池の周辺には,ハンノキの林が今なお残る湿地帯が,比較的広範囲に渡って広がっている.
午後6時頃ともなると,谷の東側に位置する林縁西面の葉上に,西日が差し,そこに本種は飛来した.
その後も鉢ヶ峯寺で,6月下旬時刻は午後4時頃に,第二豊田側流域の縁に生えた草むらを,縫うように飛ぶ1個体を確認. また新たに和泉市信太山の惣ヶ池湿地で、9月10日正午過ぎに、木道脇の湿地植物群上で♂1個体を採集した。
以上の観察例から,大阪府南部においては,少なくとも堺市から和泉市に至る広範囲に渡って、なだらかな里山(雑木林・みかん畑など)のたにあいにある池や小川の周辺に残在する、比較的明るい湿地に本種は生息するものと推察される. しかし、今回多くの個体を採集した和泉市納花町では、農地の休耕化を受けて、産業廃棄物の用地化が拡大の一途をたどっており,生息地の存亡が懸念される.
採集データ :(すべて大阪府)
1♂ : 堺市南区鉢ヶ峰寺第二豊田川沿岸 タンポポに訪花中.2006.4.30.上から目線採集
1♂ : 和泉市納花町谷山湖畔 林縁の葉上, 2006.5.14.上から目線採集
4♂ : 和泉市納花町谷山湖畔 林縁の葉上, 2006.5.21.上から目線採集
1♂ : 和泉市信太山の惣ヶ池湿地 湿地植物群上を飛行, 2006.9.10.上から目線採集
引用文献 堀野満夫,2006,ルリハナアブの大阪府南部からの記録.はなあぶ22:68-69
朝比奈正二郎・石原保・安松京三,2001.原色昆虫大図鑑 第Ⅲ巻,北隆館.東京 大石 久志,2002,京都府レッドデータブック上巻,野生生物編,京都府企画環境部環境企画課.
桂 孝次郎,2000,大阪府のハナアブ,Insecta Miyatakeana,宮武 頼夫さん退職記念論文集.
ルリハナアブの生息環境 写真1 ルリハナアブの生息環境 写真2 ルリハナアブの生息環境 写真3 ルリハナアブ背面
翅の付根直後の背面の特殊な毛を→で示しています。
ルリハナアブ頭部正面
ルリハナアブ側面 |
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2013年04月26日
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