|
〜謎また謎のムネアカホソホタルモドキ〜
皆さんは、ガンモドキという食べ物はご存知かと思います。
じゃあ昆虫の中には、・・・モドキという名の種がいることをご存知でしょうか?
何とかモドキという日本語を使う時、その意味は、何とかのようで何とかでは無いという時に使われますね。
例えばトンボモドキは、トンボとは全く異なるカゲロウの仲間です。
ところがホタルモドキはホタルと全く異なる種属ではないのです。
ホタルモドキは、昆虫網甲虫目ホタル上科ホタルモドキ科に属する。
ホタル上科には、他にベニボタル科・ホタル科・ジョウカイボン科・ヒョウホンムシ科などが属し、日本の今の時期(6月〜7月の梅雨時分)の夜に発光しながら群れをなして成虫が現れる、私たちのよく知るホタルの仲間は、ホタル科のホタル亜科に属します。
つまりホタルモドキはホタルの親戚です。ですが成虫が発光することはありません。
その点で言えば、ホタルモドキよりももっと近い親戚のホタル科のマドボタル亜科やクシヒゲボタル亜科ですら成虫は発光しませんので、ちょっと遠縁のホタルモドキが発光しなくとも不思議ではありません。
発光したとしたらその方が不思議です。
ホタルモドキの特徴をもっと言うと、実はホタルモドキは昼行性で、訪花性がります。
夜やトンネル内を走らない車にライトが必要無いように、夜遊びしない彼らに発光の必要性はないですよね。
屁理屈にもにた理論を書き連ねましたが、その理由を最後に述べます。
ホタルモドキ科の仲間はいずれも、その生態については、何も判っていないそうです。
以上です。
ムネアカホソホタルモドキ
ホタルモドキは発生期が限定的で出会うチャンスは少ない。
なおかつ本種は、ホタルモドキの仲間の中でも珍しい種のようです。
撮影地:大阪府和泉葛城山山頂近く
成虫の発生期はホタル類とほぼ同時期。
和泉葛城山山頂部のブナ林には、陸生のホタルであるヒメボタルが生息している。
|
昆虫
[ リスト | 詳細 ]
昆虫の生態写真や説明文・論文・マイ記載記事などをご紹介。
|
〜ゴイシシジミとセグロベニトゲアシガにかかわる記載〜
【お詫び】 以前に紹介した写真と重複することをお許し下さい。
心に残る昆虫 (6)
〜ササコナフキツノアブラムシーゴイシシジミの食餌虫〜
堀野 満夫
ササコナフキツノアブラムシは、ゴイシシジミに利用されるだけ利用され(成虫に分泌する蜜を吸われ)、食いものにされ(幼虫に食われる)、ついには捨てられる(頭部や肢はすてられる)。
私見を許していただけるなら、弱肉強食の自然界では日常の出来事ではあるが、ササコナフキツノアブラムシは悲劇のヒロイン的存在といえなくも無い。
しかし、心優しき私としては、その生き様を一般の昆虫愛好家に知られないままでは、あまりにもふびんに思われた。そこで私は、あえて今回の主役に抜てきした。
こじ付けとも言える主役への抜てきではあるが、調べてみるとその生態は、私にとっては、ハラハラ・ドキドキの楽しい執筆となった。読者にも共鳴して頂ければ幸いである。
ササコナフキツノアブラムシは、日本全土に分布し、体長わずか2mm弱、学者ならいざ知らず、一般の人なら、無視して当然の存在ではある。普段は無翅で、越冬を目前にして有翅型が出現する(伊藤ほか 1997)。
インターネットで検索してみたところ、当会の会員でもあった埼玉県の田悟敏弘氏が開設しているホームページにアブラムシ図鑑が紹介されており、そこにササコナフキツノアブラムシも紹介されていた。
早速メールで連絡をとり、貴重なご意見をいただいた。同氏によれば、本種はネザサに限らず、広くタケ類及びササ類んお葉に寄生するようだ。
一年を通して発生を繰り返すが、最盛期は、5月〜8月である。
ゴイシシジミ幼虫の食餌虫となることが知られている。
ロウ板(ロウ物質を排出するための器官)が発達し、その名が示す『コナフキ=粉吹き』の正体は、腹部側面を覆う、長方形のロウ物質である(伊藤ほか,1977)。
おそらく、タケ類・ササ類には、油分が多いため、それがロウ状物質として排出されたものだろう。
腹部先端より甘露を分泌し、ゴイシシジミ成虫はこれを主食としている(福田ほか,1984)。
ちなみに、従来はタケツノアブラムシとされていたものには、本種を含む複数の種が含まれているという(福田ほか,1984)。
私の和泉市槇尾山における観察では、ネザサ葉裏のササコナフキツノアブラムシのコロニー中に、それを接触する何かの幼虫を確認している。更に後には、その昆虫のものと思われる蛹をも確認している。
私は、ササコナフキツノアブラムシにとって最大の天敵は、もちろんゴイシシジミの幼虫と思い込んでいた。ところが、マイコガ科のベニトゲアシガなるガの幼虫も、これを食餌虫といているという(伊藤ほか,1977)。これらの幼虫・蛹が、ゴイシシジミであるという確証を失うこととなった。
特に採集した蛹については、各齢の幼虫で越冬するとの記述(渡辺,1991)から、ゴイシシジミの幼虫でないことは明らかであった。私は2005年10月12日の時点で、既に一通りの観察結果は得たとほくそえみ、キーボードを叩き始め、程なく草稿は書き上げたのだが、本稿の内容を、根本的に書き直す必要性が生じた。
今回の主役に複数の天敵がいると知り、さらに興味が増した。では、彼らに天敵への対抗手段はないのだろうか?例えば、ナナホシテントウの幼虫とアブラムシとアリのような関係を構築出来ないのだろうか?
写真1 ササコナフキツノアブラムシ(無翅型)
写真2 ササコナフキツノアブラムシ(有翅型)
アリは、時として幼虫の捕食者となりうるが、シジミチョウ科の幼虫は、蜜を分泌してアリをひきつけることが知られている(渡辺,1991)。ゴイシシジミの幼虫にもこのことが当てはまるならば、ササコナフキツノアブラムシとアリの間にのみ、共生関係を構築できないということになるが、アリはゴイシシジミ幼虫には興味を示さないとの記述(福田ほか,1984)もある。つまりアリは、ゴイシシジミ幼虫の天敵とも共生者ともなり得ないということだろうか?
私が今回確認した(ガ類の)種は、その後の調べで正確には、セグロベニトゲアシガであることが判明した。
私は、このセグロベニトゲアシガの幼虫を、ゴイシシジミの幼虫と思い込み、比較的熱心に観察し、生態写真も撮影した。この観察により得た生態は、ゴイシシジミのそりに似て、糸を吐いて作ったテント状の覆いに潜む姿を目撃している。ここに至って1つの興味深い疑問を抱くようになった。
寄生蜂・寄生バエの存在は別格として、ネザサ葉裏に存在するササコナフキツノアブラムシのコロニー周辺で、視覚的にハッキリ確認できるササコナフキツノアブラムシ・ゴイシシジミ幼虫・セグロベニトゲアシガ幼虫・アリの4者の関係が最大の関心事となったのである。つまりこれが、ドキドキの原因である。
今回の観察では、ゴイシシジミ成虫は多数確認したにもかかわらず、その後幾度となく現地を訪れ、ネザサのコロニーを捜索してみたが、ゴイシシジミ幼虫の発見には至らなかった。試みに、ササコナフキツノアブラムシがビッシリと寄生したネザサを1葉持ち帰り、透明容器に保存してみたところ、いつの間にか4個体のセグロベニトゲアシガ成虫が羽化し、容器内で死んでいた。
ゴイシシジミの成虫を多数確認したにもかかわらず、その幼虫は確認できず、セグロベニトゲアシガの幼虫ばかり確認できるのはなぜだろう。
成虫の絶対数や産卵個体数の差も当然考えられるが、セグロベニトゲアシガ幼虫は、ササコナフキツノアブラムシの摂食は無論のこと、その餌捕り合戦でゴイシシジミ幼虫を追いやるか、あげくはこのライバルをも接触しているのではないかという考えを持つに至ったのである。
更に、両者に共通する天敵の存在はあるのだろうか。あるとしたらそれは一体何者なのだろうか?
私はためしに写真4の幼虫を、ツマヨウジの先で刺激してみたところ、ヘビのようにクネクネと、俊敏かつ確実に、這うように横滑りしてその場より移動した。天敵が何者であるのかは定かではないが、それが仮にハチやアリの類だとしても、敵を振り払いつつ逃避するには、かなり有効な回避行動と言える。
写真3 セグロベニトゲアシガ弱齢幼虫
写真4 セグロベニトゲアシガ弱齢幼虫
話は少し主役よりそれてしまったが、これら天敵に攻め入られ、ササコナフキツノアブラムシには打つ手なし!後は、数に任せて子孫を残す他はないのだろか?例えば、ロウ物質が保身に寄与することはないのだろうか?
ちなみに、ゴイシシジミの弱齢幼虫はおもにアブラムシの分泌物をなめるが、しだいにアブラムシを食べるようになる。逆にアブラムシに撃退されることもある。(福田ほか,1984)。
また、ツノアブラムシの類には、社会性のハチやアリの様に、外敵を攻撃するそうである。完全な弱者だと思われたアブラムシも、進化によって、防御能力を身につけた個体が存在することに驚くばかりである。
私の観察では、9月の中旬以後より、ササの葉裏の集団に、有翅型が認められるようになった。その後、冬が近づくにつれ、コロニーの規模こそ縮小していったが、全ての個体が有翅型に取って代わった訳ではなく、無翅型も確実に存在した。
恐らく、居残り組もあり、その上で、生息地拡大の指名を担った有翅方が、ここより飛び立ち、その旅路の果てに翅を落とし、ひっそりと、それとも強かに繁殖を繰り返しながら?越冬するのだろう。天敵であるゴイシシジミを、かの地へといざなうかのように。
末筆ながら投稿にあたりご指導・ご助力いただいた田悟敏弘氏および会員の山本博子・三輪健一郎・阪口博一の各氏に厚くお礼申し上げる。
【引用文献】 福田晴夫・浜栄一・葛屋健・高橋昭・高橋真弓・田中蕃・田中様・若林守男・渡辺康之(1984)
原色日本蛾類生態図鑑 (Ⅲ).保育社 .
伊藤修四郎・奥谷禎一・日浦勇 (1977) 原色日本昆虫図鑑(下)保育社.
大原賢二(1991) ヒラタアブの深慮遠謀?(社)日本林業技術協議会編。森の虫の100不思議.
東京書籍.p70-71.
堀野 満夫 (2005) 心に残る昆虫(6) 〜ササコナフキツノアブラムシーゴイシシジミの食餌虫〜.
南大阪の昆虫 vol.4 12-14
【参考文献】
井上寛・杉繁郎・森内茂・黒子浩・川辺 (1982).日本産蛾類大図鑑.講談社. |
|
〜和泉市槇尾山におけるゴイシシジミの観察例〜
予告に即して〜チョウにもいた!!肉食系 男子&女子 その名はゴイシシジミ〜のもとになった私の記載記事を改めてご紹介します。
それは2つの記事に渡ります。まずは、『和泉市槙尾山におけるゴイシシジミの観察』です。
和泉市槙尾山におけるゴイシシジミの観察
掘野 満夫
私は今年 (2005年) の 8月 21日、和泉市槙尾山登山口にて河川敷に密生するヤブカラシに集まる蜂類を採集していあた。ある蜂(この記事では明言しませんでしたが、オキナワシリアゲコバチです)を捕獲したいと思いネットの中を覗いてみたところ、蜂の姿はなく、そこには1匹のシジミチョウが存在した。(なんとなく普段見るシジミチョウとは異なる飛び方のシジミチョウだとは直感していました。)
よくよく見たところ、それが思いがけずゴイシシジミだったのです。
これまで本会においても、2003 年に 7 例 9 個体の報告がなされ、今年 (2005年) は 2 例の観察報告がなされているほか、北端信彦会員と私の観察を含め、合計 8 例 18 個体の観察例を得た。
ゴイシシジミは、前翅長10〜17mm。分布は、北海道中部〜九州(隠岐・壱岐・対馬を含む)。
発生は (暖地)〜2回 (寒冷地及び山地)。
おもに曇天の日や夕方に飛び、各齢の幼虫期に越冬する (渡辺.1991)。一般的に産地は局部的であるが、発生地では群生することが多く、年によって発生量に変動が多いが、これは、食餌虫の発生数に起因すると考えられる (白水・黒子,1996)。
ササコナフキツノアブラムシの最盛期が 5〜 8月 (伊藤ほか,1977) であるのに対し、成虫の出現期は 5〜 10月 (渡辺,1991) と、合っている。純肉食性のチョウとして広く知られている。
しかし、その生活史について私は、詳しく記されていた文献を目にしたことがなかった。今回私が和泉市槇尾山でその生息地を確認したことを機会に、極めて短期間ではあるが、私なりに、観察を続けてみた成果として紹介すると共に、その食餌となササコナフキツノアブラムシの生活史についても観察を行った。
私は、図鑑などからゴイシシジミの存在を知り、『肉食性のチョウ』という触れ込みに大いなる興味を抱き、そして白色の微毛が密生してしているために脚が太く見えることからも、その実態は力感あふれる姿であると思い込んでいた。しかし、肉食という言葉の響きから連想される、猛獣・ワシなどより得られる印象からは程遠く、ゴイシシジミは、上下にフラフラと、よろけるように飛んでいた。
今回、実体を目の当たりにしてみて、その様と展翅の際に知りえた体の弱々しさに、まず驚かされた。
カメラを通して昆虫を知ろうとする私にとっては、いかにも残念なことだが、これも写真画像の弱点と言えるだろう。
本会での他の観察例の多くは、ネザサ等の葉上及び、その周辺植物の葉上で目撃されている。
しかし、ゴイシシジミが、その食餌虫であるササコナフキツノアブラムシや、ススキにつくカンシャワタアブラムシなどがあっての存在であるなら、食餌虫のコロニーが葉裏に存在する以上、逆さ立ちが本来的な姿勢で、ただそれが、繁茂する笹原などにあっては、人目にさらされ難いだけであろう。
ゴイシシジミが肉食性を発揮するのは幼虫期である。1,2 齢幼虫はアブラムシのコロニー中に糸を吐いて作ったテント状の覆いの中にひそんでいる。弱齢幼虫はおもにアブラムシの分泌物をなめるが、しだいにアブラムシを食べるようになる (福田ほか,1984)。ゴイシシジミの幼虫は弱齢幼虫期より頻繁に糸を吐くようである。
私の推察では、弱齢幼虫は、体格の小ささと糸を出す能力の限界をカバーするためか、接触した食餌虫の残骸をも利用した栄巣をする。その後、齢を重ねるにつれ糸を出す能力が向上するためだろうか、糸のみでテントを張るようになる。さらに終齢幼虫になると、体サイズが増し体表に顕著な長毛を生じて防御能力が増し、営巣を止めるのではないだろか。
天敵としては、蛹に微小な寄生蜂や寄生蝿の寄生及び脱出報告がなされてはいるが、種名は明らかにされていない (福田ほか,1984)
成虫をクローズアップした写真から成虫が口吻を、ササコナフキツノアブラムシの腹部先端より分泌される寒露を摂取する様子が見てとれる。私の観察では、アブラムシのコロニーに飛来した後は、ほとんどその場を離れることもなく摂取し続けていた。
訪花の記録としては、ソバ・ヒメジオンが知られている (福田ほか,1984)。ゴイシシジミがアブラムシの寒露に執着するという観察から、これは、何らかの由来でアブラムシの絶対量が不足した折、もしくは別
天地への移動の途中での、緊急的な飢餓回避行動と解釈できないだろうか。普段は弱々しく飛び、発生地をあまり離れないゴイシシジミも、長い距離を速く飛ぶ固体があることが磐瀬 (1967) によって観察されている。真近かに甘露を提供してくれる安全な場所があるにもかかわらず、あえて移動するというリスクを冒すには、よほどの理由があるに違いない(寄生蜂や寄生蝿などからの逃避?)。
私が今回複数のゴイシシジミを確認し、その食餌を初めて確認した 2005 年 9月 10 日は、くしくも本会の例会当日であった。それ以前にゴイシシジミの存在を知り、生態写真の撮影と、標本のための採集を行い、その足で例会に参加し、その報告を行った。その後も幾度となくこの地を訪れてみたが、午後から夕方に行われるとされる交尾行動は確認できなかった。
ゴイシシジミの繁殖は、食餌虫の存在に大きく左右されることから、その発生地は、恒久的ではなく、食餌虫の寄生植物が健全であっても、まったく観察されなくなることもあるらしい。幸いこの発生地は、私の居住地より車で30分弱で通えるので、私は今回、交尾行動や産卵行動を観察・撮影できなかったこともあり、来年は初見・発生回数などの確認をも念頭に、来る年の、通年観察を目指している。今後もこの発生地が存在し続けることを願うばかりである。
【引用文献】
掘野満夫 (2005) 和泉市槇尾山におけるゴイシシジミの観察. 南大阪の昆虫 vol.7 2-3
浅野晴也 (2003a) 富田林市錦織公園でゴイシシジミを目撃.南大阪の昆虫,5(4):26
福田晴夫・浜栄一・葛屋健・高橋昭・高橋真弓・田中蕃・田中洋・若林守男・渡辺康之(1984)
原色日本蛾類図鑑(Ⅲ).保育社.
伊藤修四郎・黒田貞一・日浦勇 (1977) 原色日本昆虫図鑑(下).保育社.
阪口博一 (2003a) 南大阪昆虫情報.南大阪の昆虫,5(2):15.
阪口博一 (2003b) 南大阪昆虫情報.南大阪の昆虫,5(3):32.
阪口博一 (2005) 南大阪昆虫情報.南大阪の昆虫,7(3):24.
阪口博一 (2003a) 南大阪昆虫情報.南大阪の昆虫,5(2):15
白水隆・黒子浩 (1991) エコロン自然シリーズ蝶・蛾.保育社.
山本博子 (2003) 南大阪南部のゴイシシジミ.南大阪の昆虫,5(3):28.
【参考文献】
竹内尚徳 (2005) ゴイシシジミの観察.蝶研フィールド(233):15-22.
もう一つの『〜チョウにもいた!!肉食系 男子&女子 その名はゴイシシジミ〜』のもとになった私の記載記事『心に残る昆虫 (6) 〜ササコナフキツノアブラムシーゴイシシジミの食餌虫〜』の紹介は、
この後のブログにて紹介します。
|
|
〜イワワキセダカコブヤハズカミキリ(大阪府の新産地:槙尾山)〜
大阪府のコブヤハズカミキリは、北部の北摂の山に生息するマヤサンコブヤハズカミキリと、南部のイワワキセダカコブヤハズカミキリにわかれるそうです。
つまり私が前回と前々回に紹介したのは、正確に言えば、イワワキセダカコブヤハズカミキリと呼ばれる亜種です。
イワワキセダカコブヤハズカミキリの分布としては、関東中部の太平洋側と近畿地方中南部とされていますが、私の知る限り、大阪府南部の記録としては、大和葛城山・金剛山・岩湧山・和泉葛城山だけだったように思います。
大阪府南部のイワワキセダカコブヤハズカミキリの産地を示した地図
上の地図を見てください。これまでイワワキセダカコブヤハズカミキリの産地として知られていた大和葛城山(標高 959.2m)・金剛山(標高 1125m)・岩湧山(標高 897.7m)・和泉葛城山(標高 858m)は、大阪府と和歌山県の県境に連なる金剛山地〜和泉山脈の稜線上にあり、これらの山々には、いずれも大阪府としては貴重なブナ林が山頂付近にかろうじて残されていて、イワワキセダカコブヤハズカミキリは、いずれもこれらの山々の山頂付近で採集されています。
ところが、大阪府和泉市にある槇尾山は、上記の県境の山地・山脈のライン上から離れ、標高も 500mと低い。
なおかつ、私がイワワキセダカコブヤハズカミキリを採集したのは、槇尾川上流の登山口からさほど登らない中腹付近で、標高的には、300mほどではないかと思われます。加えて山中にブナ林も存在しないことから、特異な生息地と言っていいのではないでしょうか。
イワワキセダカコブヤハズカミキリの寄主植物(ホスト)としては、アカメガシワ、ブナ、コナラ、タンナサワフタギだと文献には紹介されています。
槙尾山にはその内、アカメガシワとコナラが分布しているとの記述が槇尾山の樹木にありますので、このことから、この山に生息していてもおかしくはないことが分かりました。
2007年5月13日に槇尾山にて撮影 2007年6月17日に槇尾山にて撮影
2009年5月10日に槇尾山にて撮影
次回は、『チョウにもいた!!肉食系 男子&女子』の元の記事(マイ記載記事)を改めてご紹介します。 |
|
〜南大阪昆虫同好会会報記載 セダカコブヤハズカミキリ〜
男子が昆虫に興味を持つ場合、子供の頃にカブトムシやクワガタムシ(都会ではいないので、セミ・バッタ・カマキリ・ギンヤンマなどになるかな)などを昆虫採取して飼育してみた。というのが正統な始まりなのかなと思います。
私的には、大阪の男子小学生が「チョウチョが好き!」なんて言ったくらいなら、「お前は、はるな愛か?」って言ってしまいそうです。
あれっ?私はいったい何が言いたいのでしょう?あっ、そうそう、つまり「男の子はやっぱ甲虫でしょ!」と言いたかったはずです。
そんな可愛い少年も、今や生態が面白い昆虫にしか興味をいだかなくなり、大人になっても外国の高価で派手なカブトムシやクワガタを買って飼っている方に対しては、「いつまでたってもお子ちゃまやって、そんなことだから暴力団の密輸ルートで国内に持ち込まれた昆虫を買って、熱帯雨林の樹が、カブトムシやクワガタムシを捕るために伐採されるんやろが。」なんて思うおじさんになってしまいました(世間的には、気持ち悪い昆虫ばかりおっかている変なおじさん)。
そんな私が昆虫について初めて記したのが、このセダカコブヤハズカミキリです。(やっと話しが本筋に着地しました。あーしんどっ!)
では、当時の記事をご紹介します。
今でもろくでもない文章しか書けませんが、輪をかけて稚拙で乱暴で当たり前のことを書いています。
暖かい目で読んで頂ければ幸いです。
心に残る昆虫 (1) 〜セダカコブヤハズカミキリ〜
堀野 満夫
ササ上のセダカコブヤハズカミキリ
撮影: 2004年8月1日 和泉葛城山
甲虫の中でもカミキリムシは、林業・農業の面から言えば、害虫とされるが、カブトムシ・クワガタムシが飼育派や子供に人気であるのに対して、俗に「虫屋」と呼ばれ、こだわりを持って昆虫に対する人々の中では、その数約 900 種と、色彩・形態・大きさなどにおいて多種多様であり、特にその触角に心ひかれる人も多く、採集派の王道とされる。
「カミキリ屋」と呼ばれるカミキリムシ専門の虫屋は、多くのカミキリムシが姿を見せなくなる 8 月でそのシーズンに一区切りをつけ、 9 月頃より旬をむかえるコブヤハズカミキリ族で締めくくり、シーズンオフは、木中採集(幼虫など)というのがパターンだそうだ。
飛ぶことを止め、上翅が癒着したこのコブヤハズカミキリ族は、地方変異なども多く、ややこしいのだが、その日本的なチマチマとしたマニアックさがまた受けるらしい。基本的には、上翅の端刺の長さ・太さ・鋭さ・方向・小顆粒(小さなブツブツ)の多い・少ないや、上翅の外縁の形状・背面隆起などの差異により、ヒメコブヤハズカミキリ(今はセダカと同種)・マヤサンコブヤハズカミキリ・ナンキコブヤハズカミキリ・セダカコブヤハズカミキリなどに分類されている。
セダカコブヤハズカミキリは、他のコブヤハズカミキリの中でも分布が広く、普通種とされる。
簡単な特徴としては、上翅背面が強く隆起。上翅端刺は広がらず雄の多くは小さくとがり、雌は先端が丸い。
体格は、おおむね雌が大きい。また、カミキリムシ類は一般的に、雄が雌に比べて触角が長い。
こいつには、去年あたりから、会いたいと思っていた。奈良県の和佐又山に行けば会えると、噂では聞いていたが、「少し遠い」と二の足を踏んでいたところ、今年(2004 年) 6 月の例会で、会員の山本博子さんと岡本俊治さんの会話を小耳にはさみ、和泉葛城山で会えると知った。
山頂の竜王神社のブナ林側 石畳を歩いているらしい。何度か足を運んでは見たもののすぐには会えない。
8月 1 日にカミキリ屋に出合い、同行した。
彼が笹の上の紙くずのように丸まった大きな落ち葉をネットの上で揺すると、こいつが出てきた。
私も、その落ち葉を食っていたらしい別の個体を笹上に発見!シャッターを切る。食物が隠れ家とは、いかにも合理的である。
今年は猛暑続きのせいか、新成虫の出現が半月近く早いらしい。(例年 6 月までは、越冬成虫)。
8月 8 日にも捜索してみたら、雄が 1 匹落ち葉から転げ落ちたが、ジッとしていたのでそのまま次を探すうちにいなくなってしまった。
後で知ったことだが、こいつは捕獲しても静止しているが、いざ動くと決めて走り出すと、そのガッチリとした体格に似合わず、筋肉モリモリのスプリンターのように素早い。
知り合ったカミキリ屋の話によれば、数年前にブナの実生を得るためにネットを設けた際、笹を荒らしてから土地が乾き、こいつの数が減ったらしい。
ブナを保護する余りに、土地の乾燥により他の雑木が損なわれ、ひいては昆虫等の多様性を損なってはいないか?このブナ保護の方法は、いかがなものか?とのこと。
ちなみに、和泉葛城山より金剛山の方が、こいつの数も多く、個体も比較的大きいとも言っていた。
私などには、金剛山なんて杉林がほとんどで、つまらん山だと思っていたが、今後はチャレンジしてみようと思う。
【このコーナーを開設するにあたって (堀野 満夫)】
レベルの高い我が同好会会報や、昆虫図鑑・専門誌を見聞く度に、昆虫愛好家にあって知識・キャリア共に未熟さを痛感する私ですが、昆虫を探す事・撮影する事については、会員の方々にも多少なりともほめられます。
そこで、何事も百聞は一見にしかず!と言う訳で、「近頃何だか昆虫が面白そうだ」 と言う初心者向けのコーナーとして紙面を割いていただきました。甲虫・カメムシ・チョウ・トンボ・ハチ・アブ・バッタ etc.いろいろ出ます。
以後もお楽しみに。
とまあ、いかにもおき楽に 『心に残る昆虫』 という私のコーナーが開設されました。
その昆虫同好会に、どれほど物知りな会員と、昆虫を研究する著名な先生方が在籍しているのかも知らずに。
学生時代の クラブ活動の格下が同好会 といった感覚をそのまま当てはめて入会したのが運のつきでした。
動物や植物を対象とする同好会は、世間に多数ありますが、昆虫界だけが、ハイアマチュアとプロの先生(教授など)が混在して会をなし、学名や論文が飛び交うのが当たり前の世界だと知ったのは、この記事を記してなお半年後のことでした。
次回は大阪府のセダカコブヤハズカミキリの新産地=槇尾山(西国四番札所)の本種観察の記録をご紹介します。自慢になりますが、私の功績です。
|



