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〜秋のトンボ?を見分ける:オツネントンボ( 山本哲夫 撮影・著)〜
さて今回はオツネントンボをご紹介します。
〜オツネントンボとホソミオツネントンボを見分けられるかな?〜から始まったシリーズですが、両種の違いがいよいよ明らかになります。
今回の焦点は、前回のブログで『前後の翅の縁紋が重なることなどで見分けられる。』と
ご紹介したホソミオツネントンボに対して、オツネントンボの翅の縁紋がどうなっているのか?ということです。
それではご紹介します。
引用文献: 南大阪昆虫同好会会報の『南大阪の昆虫』の中の記載より
『イトトンボを見分ける(2)』(山本哲夫)
オツネントンボの標本画像 成虫越冬するホソミイトトンボ・オツネントンボ・ホソミオツネントンボの3種の内、本種だけほとんど体色の変化がなく、最もがっしりした体形をしている。成熟♂では背面から見ると複眼の一部が群青色に見え、意外に目立つが、♀ではそれほど目立たない。越冬色のホソミオツネントンボと紛らわしいが、 胸部前面の濃褐色部と縁紋の重なり具合(本種では重ならずに、後翅の縁紋が付け根側にずれる。)や尾部付属器、尾網の形状、眼後紋で区別できる。前回のホソミオツネントンボのみならず、ホソミイトトンボの越冬色も、両種と似た色合いをしているので注意したい。
【オツネントンボのプロフィール】 引用文献:
①成虫発生期:成虫で越冬するので、ほぼ1年中見られる。 6月末頃から出現して翌年の6月に姿を消 す。生殖行動は3月下旬から5月初旬にかけて盛んである。
②生息地:平地から山地の抽水植物が繁茂する池沼。
③分布:北海道・本州・四国・九州北部に分布。近畿地方では日本海側と何期地方は記録が少ない。
④体長:約37〜41mm。褐色を基調とするやや地味なトンボ。越冬後も体色はほんとんど変化がないが、わずかに翅の付け根が青く色づき、♂の複眼背面は青みを帯びる。翅は淡く褐色を帯び、閉じると前翅と後翅の縁紋は重ならない。
⑤越冬形態:成虫。
⑥産卵形態:交尾を終えたペアは連結したまま主に水辺や水面から突き出た植物の葉や茎に産卵す る。早春の植物が乏しい時期には、水面に浮いた枯れ草などに産卵することも多い。
⑦生態:産卵期 11〜14日。幼虫期約55日。1年1世代型。
羽化は午前中に見られる。未成熟個体は周囲の草むらや林縁に移って生活するが、水域からかなり 離れた場所で見つかる事もある。成熟♂は縄張りを持ち、排他性は強い。肢を縮めさて身を伏せるよ
うにして静止するさまは独特である。♂は♀を捕らえると水際近くの植物に静止して移精し、その後に
交尾を行う。
その後日当たりの 良 い林縁部や斜面で越冬休眠するが、気温が上がると摂食などして活動する。春に体色が変化した 後でも気温が低いと青色が薄れ、褐色に戻る。成熟♂は水辺の草に止まって腹部をリズミカルに上下 させたりしながら縄張りをもつ。
明日は『オツネントンボとホソミオツネントンボを見分けられるかな?』の答えあわせです。
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昆虫
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〜秋のトンボ?を見分ける:ホソミオツネントンボ( 山本哲夫 撮影・著)〜
まずは前回の〜オツネントンボとホソミオツネントンボを見分けられるかな?〜に対して
ガラパゴスさんより勇気あるご回答をいただき、しかも大正解でした。
ところで前回の記述の中で、『今回は上2枚と下2枚の画像で体色が全く異なりますね。そのおかげでこの問題に答えようとしたら、きっと多くの方が正解されるだろうと思います。
ですが 「その根拠を述べよ!」 という問題にしたなら、正解者が激減することでしょう。なぜなら、体色の違いだけでは両種の判別を誤る結果となるからです。』と記した理由を述べなければなりません。
くしくも問題画像 1及び 問題画像 2 は地味なわら色で、問題画像 3 及び 問題画像 4 は、いずれも鮮やかな青色の体色をした固体が写っていて、結果としては問題画像 1及び 問題画像 2 はオツネントンボで、問題画像 3 及び 問題画像 4 はホソミオツネントンボが正解だったわけですが、
ヤマケイポケットガイド⑱水辺の昆虫(今村光彦)には、青色ではなく ワラ色をしたホソミオツネントンボが紹介されていますのでご紹介しておきます。
越冬中のホソミオツネントンボ
ヤマケイポケットガイド⑱水辺の昆虫(今村光彦)より
このように、オツネントンボにも、ホソミオツネントンボにも、ワラ色の個体はいるので、体色で種を判断することが出来ないことはおわかりいただけるでしょう。 引用文献: 南大阪昆虫同好会会報の『南大阪の昆虫』の中の記載より
『イトトンボを見分ける(2)』(山本哲夫)
♂♀とも越冬色の状態ではオツネントンボに似るが、本種の場合、胸部前面の濃褐色部が大文字状にはりだすこと、前後の翅の縁紋が重なることなどで見分けられる。両者とも鳥のセキレイが尾を上下するように腹部をさかんに上下に動かす習性がある。
【ホソミオツネントンボのプロフィール】 引用文献:
①成虫発生期:成虫で越冬し、ほぼ1年中見られる。
6月末頃から出現して翌年の8月初めまでに姿を消す。水域での生殖活動は4月中旬から5月下旬 にかけてよく見られる。
②生息地:平地から山地の抽水植物が繁茂する池沼や湿地、河川の暖流部など。オツネントンボより広 範な水域に適応している。
③分布:岩手県・北海道から奄美大島までの日本全域に分布するが、東北日本では産地は少ない。
近畿地方では沿岸部から高標高地まで広く分布している。
④体長:約35〜42mm。未成熟個体はオツネントンボに似て、褐色の濃淡模様をしているが、翅を閉じ ると前翅と後翅の縁紋が重なる。越年した春には淡青色「に変化するが、一部の♀にはあまり変化し ない個体もある。
⑤越冬形態:成虫。
⑥産卵形態:産卵は普通、連結状態で水面から突き出た生きた植物に行うが、♀単独でも行う。
⑦生態:産卵期 8〜14日。幼虫期約50日。1年1世代型。
羽化は午前中に見られる。未成熟個体は周囲の草むらや林縁に移ってすごす。その後日当たり良 い
林縁部や斜面で越冬休眠するが、気温が上がると摂食などして活動する。春に体色が変化した後で
も気温が低いと青色が薄れ、褐色に戻る。成熟♂は水辺の草に止まって腹部をリズミカルに上下させ
たりしながら縄張りをもつ。
明日はオツネントンボをご紹介します。
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〜オツネントンボとホソミオツネントンボを見分けられるかな?〜
オツネントンボとホソミオツネントンボの両者を見分けることも、やはり困難な2種です。
両種ともこれまで紹介してきたイトトンボ科の種となんら変わりがないように見えますが、イトトンボ科ではなく、アオイトトンボ科に属します。
〜4枚のイトトンボの生態写真。見分けられるかな?〜 の時と同様に、今回も以下の生態写真に写る個体が、オツネントンボなのかホソミオツネントンボなのかを当ててみて欲しいと思います。
今回も画像の中の↓で示した部分が種を見分ける鍵になります。 今回は上2枚と下2枚の画像で体色が全く異なりますね。そのおかげでこの問題に答えようとしたら、
きっと多くの方が正解されるだろうと思います。
ですが 「その根拠を述べよ!」 という問題にしたなら、正解者が激減することでしょう。
なぜなら、体色の違いだけでは両種の判別を誤る結果となるからです。
今回は、正解を紹介しませんが、
明日は、ホソミオツネントンボ、明後日はオツネントンボの特徴を紹介し、明明後日(しあさって)に答え合わせをご紹介します。
問題画像 1
藁のような体色は保護色となって見つけにくいです。
問題画像 2
1番目の画像と同様の色をしていますが、どこかが違って居ます。
問題画像 3
綺麗な瑠璃色ですね。 問題画像 4
3番目の画像に写る個体と変わりないようですね。
なぜ同じに見える個体を4番目に紹介したのでしょう。
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〜解答:4枚のイトトンボの生態写真。見分けられるかな?の〜
今日はいよいよ答え合わせです。
〜4枚のイトトンボの生態写真。見分けられるかな?〜 で紹介した4枚の生態写真をまずは♂と♀に分けて表示し、その上で
♀のグループでは問題画像 1(♀)・アジアイトトンボ♀標本写真(側面と背面)・アオモンイトトンボ♀標本写真(側面と背面)・問題画像 3(♀)の順にならべて標本画像と生態写真を比較しやすいようにしました。
問題画像 1(♀)
腹部背面の黒条が第1節の付け根まで達しているように見えます。
【私の答え】 問題画像 1 の個体をアジアイトトンボ♀と判断します。
腹部背面の黒条が第1節の付け根まで達しているのがアジアイトトンボ♀です。 アジアイトトンボ♀側面
アオモンイトトンボ♀側面
側面画像はどちらも分かり難いですね。
アオモンイトトンボ♀背面
腹部背面の黒条が第2節の途中で途切れて第1節には達しないのがアオモンイトトンボ♀。
問題画像 3(♀)
腹部背面の黒条が第2節の途中で途切れ、第1節には達していないように見えます。
【私の答え】 問題画像 3 の個体をアオモンイトトンボ♀と判断します。
♂のグループでは問題画像 2(♂)・アオモンイトトンボ♂標本写真・アジアイトトンボ♂標本写真 問題画像 4(♂)の順にならべて標本画像と生態写真を比較しやすいようにしました。
問題画像 2 を横画像化
水色部の後 2 節分が黒いように見えます。
【私の答え】 問題画像 2 の個体をアオモンイトトンボ♀と判断します。
アオモンイトトンボ♂
腹部第8節ほぼ全体と第9節側面大半が水色。第10節は黒色部が目立つ。背面から見れば水色部の後 2 節分が黒く見えるのが、アオモンイトトンボ♂です。
アジアイトトンボ♂
腹部第9節全体と第10節側面の大半が水色。背面から見れば水色部の後ろは 1 節分のみが黒く見えるのが、アジアイトトンボ♂です。
問題画像 4 をトリミング
問題画像 2 と同様に水色部の後 2 節分が黒いように見えます。
【私の答え】 問題画像 2 の個体と同様に、問題画像 4 の個体も
アオモンイトトンボ♂と判断します。
いかがでしょうか?解答に納得して頂けたでしょうか?
生態写真に写る昆虫の種名を特定することは、本当に困難な作業ですよね。
私自身も何度も何度も図鑑と生態写真を見比べて、それでも判断に苦しむことが多いです。
「いい写真であれば種名などどうでもいいじゃないか?」と思われる方も多いかもしれませんが、種名を特定できなければ価値がない。それが生物の生態写真なのです。
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〜秋のトンボ?を見分ける:アジアイトトンボ( 山本哲夫 撮影・著)〜
前々回は4枚の生態写真をご紹介しました。そしてその画像に写るイトトンボは、アオモンイトトンボもしくわアジアイトトンボのどちらでしょうか?と問いました。
そして前回はアオモンイトトンボの特徴をご説明いたしました。
今回はアジアトンボについてご紹介します。
引用文献: 南大阪昆虫同好会会報の『南大阪の昆虫』の中の記載より
『イトトンボを見分ける(1)』(山本哲夫)
♂は腹部第9節全体(赤↓で指し示した部分)と第10節側面の大半が水色。背面から見ると水色部の後は 1節分(第10節:紫↓で指し示した部分)のみが黒いことになる。頭部の後ろ側に沿って広く水色から黄緑の縁どりが見られる。
♀は胸部の黒条はアオモンイトトンボ同様、背隆線に沿ったものだけ。成熟して新鮮なころはうぐいす色がかった黄緑色であるが、老熟すると汚れた感じになる。未熟♀は大きさが違うくらいでアオモンイトトンボと同じオレンジ色。本種は腹部背面の黒条が第1節の付け根(水色↓で指し示した部分)まで達している点で区別できる。成熟♀も同じように区別できる。眼後モンの前縁はほぼ直線状で、これが判別し難いくらい成熟が進んだ個体では、小さな暗青色の紋が認められる。♀はモートンイトトンボにも似ているので注意すること。
以上がアジアイトトンボの身体的特徴です。
これで予備知識は伝授しました。明日の答え合わせまでに、
皆さん各自で前々回の生態写真がアオモンイトトンボ?それともアジアイトトンボ?という問題に答えを出しておいてください。
【アジアイトトンボのプロフィール】 引用文献:
①成虫発生期:4月上旬〜11月上旬。5月と8月下旬から,9月上旬ごろにピークが見られる。
②生息地:平地から山地のアゼスゲなどが繁茂する池沼や湿地、休耕田など。沿岸部から内陸部まで 広く生息する。
③分布:岩手県・北海道から沖縄県まで広く分布する。近畿地方でも全域で記録されている。
④体長:約25〜31mm。アオモンイトトンボに似るがより小型。
⑤越冬形態:幼虫。
⑥産卵形態:♀は午後の時間帯を中心に単独で水面付近の植物に産卵する。
⑦生態:産卵期 6〜9日。幼虫期最短は50日。1年2世代型。
未熟個体は発生地周辺の草むらで摂食して過ごす。移動性は強く、造られて間もない池などで見つ かることがある。成熟♂は明瞭な縄張りはもたず、水際の植物の間を移動しながら探雌するが、あま り水面には出ていかない。
交尾は水辺の植物につかまって早朝に行われることが多いが、継続時間が長く、夕方にも見られる ことがある。
明日はいよいよ前々回にご紹介した生態写真に写るイトトンボの
種名を見分けた答え合わせです。
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