武術とレトロゲーム

武者アヴェスタと申します。よろしければ、コメントお願いいたします。過去の記事にも、遠慮なくどうぞ。

全体表示

[ リスト ]

 一度、初代「スーパーマリオブラザーズ (1985年9月13日発売・任天堂)」を1−3ぐらいまでプレイしたあと、ファミコン版「スペランカー(アタリ版1983年発売・ファミコン版1985年12月7日発売・アイレム)」や「忍者ハットリくん(1986年3月5日発売・ハドソン)」を、プレイしてみてほしい。何だか、「スペランカー」や「忍者ハットリ君」のジャンプを、「クセのあるジャンプ」だと感じないであろうか?実は、この「スペランカー」や「忍者ハットリ君」のジャンプは、「クセのあるジャンプ」と言うよりも、「自由度の低い」ジャンプと表現した方が適切なのである。逆に言えば、「スーパーマリオブラザーズ」のジャンプは、「自由度の高いジャンプ」であり、微細なコントロールが可能なうえ、現実世界の物理法則を一部無視した部分を含むことで、独特の爽快感と浮遊感を表現しているのである。

 まず、マリオ初の登場作とされる「ドンキーコング(アーケード版1981年稼働・ファミコン版1983年7月15日発売・任天堂)」をプレイしてみよう。最初に、方向キーを押さずに、チョンとジャンプボタンを押したときと、長くボタンを押し続けたときのジャンプの高さを比較してみる。全く変化がない。次に、方向キーを押さずに真上にジャンプした後に左右方向キーを押してみる。真上に跳ぶだけで、右にも左にも移動できない。さらに、右上にジャンプした後に、左キーを押してみる。全くジャンプの軌跡は変わらず、左キーを押さないときと着地点は変わらない。最後に、いきなり右キーとジャンプボタンを押したときと、右キーで助走をつけてからジャンプボタンを押したときの比較をしてみる。高さ、距離とも全く変化がない。

 「スペランカー」と「忍者ハットリ君」のジャンプにも、同様の特徴が見られ、ボタンを長く押そうが、左右キーを長く押そうが、助走をつけようが、ジャンプの高さ・ジャンプの距離(着地点)は変わらず、足が地面を離れた後のキャラクターの空中制御も不可能となっている。

 次に、「スーパー」になる前の「マリオブラザーズ(アーケード版1983年7月14日稼働・ファミコン版1983年9月9日発売・任天堂)」で、同じことについて検証してみよう。やはり、ジャンプボタンを押す時間の長短では、ジャンプの高さに変更がない。次にジャンプボタンのみで、真上に跳び上がったあと、左右キーいずれかを押しても、真上に跳び上がったままで、左右移動はできない。右上にジャンプした後に、左キーを押しても、ジャンプの軌跡に変更はなく、着地点にも変化はない。ところが、その場から左上ジャンプや右上ジャンプをするよりも、助走を付けてスピードアップした方が、ジャンプ力は上がり、飛距離は伸びる。この走ることでスピードアップすれば、ジャンプ距離が伸びる要素は、「スーパーマリオブラザーズ」のBダッシュへと継承されるが、Bダッシュの場合は、飛距離だけではなく、ジャンプの高さまでも高くなる。

 では、同じことを、「スーパーマリオブラザーズ」でも検証してみよう。まず、方向キーを押さずに、チョンとジャンプボタンを押したときと、長くボタンを押し続けたときのジャンプの高さを比較してみる。長くキーを押したときの方が、高くジャンプできることに気付くであろう。現実世界の人間も、強く地面を踏みきったときは、高くジャンプでき、弱い踏み切りでは、高くジャンプできない。「スーパーマリオブラザーズ」のジャンプは、現実世界の「踏み切りの強弱」を、「ボタンを押す時間の長さ」に置き換えており、このことで自由度が高く、プレイヤーが直感的に調節しやすいジャンプ操作を生み出しているのである。同様のことは、左右いずれかのキーとジャンプボタンを同時に押す斜めジャンプのときにも当てはまり、ジャンプボタンを長押しするほど、ジャンプの高さは高くなり、飛距離は伸びる。この時点では、スーパーマリオのジャンプは、現実世界のジャンプに近く、物理法則を無視してはいない。
 次に、方向キーを押さずに真上にジャンプした後に左右方向キーを押してみる。何とマリオは、真上に跳び上がったジャンプを空中で修正して、着地前に左右に移動するのだ。同様に、右上にジャンプした後に左キーを押せば、実際の着地点より手前(左側)にマリオは落ちることとなり、地面を踏み切ってからマリオは空中でブレーキを掛けたような結果となる(空中ブレーキと呼称される)。ゲーム内のシチュエーションでは、落ちるはずの穴に落ちなくて済むと言うことになる。現実世界の人間には翼はなく、一度地面を踏み切れば、強風などの要素が絡まない限り、物理法則通りの放物線を描いて落下する。つまり、地面を踏み切った時点で、跳び上がる高さや落下する場所、その放物線の軌跡は決定していると言うことであり、その点で「スーパーマリオブラザーズ」のジャンプは、現実世界の物理法則を全く無視したファンタジーであると言うことになる。それにもかかわらず、マリオのジャンプは、「スペランカー」や「忍者ハットリ君」と比較しても、プレイヤーの直感にしっくりとくる動きであり、踏み切り後の体勢の空中制御は、独特の爽快感と微妙なコントロール感覚を演出するのである。
 また、静止状態から左右いずれかのキーとジャンプボタンを押したときよりも、左右キーで少し走ってからジャンプボタンを押したときの方が飛距離が長くなるが、高さに変更はない。そしてさらに、BボタンでBダッシュすれば、飛距離・高さともにアップする。これは、「マリオブラザーズ」の静止状態からよりも、助走をつけてからの方が飛距離が伸びる仕様を、さらに拡張したものと言える。
 つまり、「スーパーマリオブラザーズ」のマイキャラの浮遊感と操作感覚と言うのは、「ゼビウス(アーケード版1983年稼働・ファミコン版1984年11月8日発売・ナムコ)」のソルバルウや、「グラディウス(アーケード版1985年5月29日稼働・ファミコン版1986年4月25日発売・コナミ)」のビックバイパーのように、常時、宙に浮いているものでもなく、だからと言って現実世界で人間がジャンプするときのアルゴリズムを、リアルにシミュレートしたものでもなく、その中間地点にあると言えよう。ある程度は、重力に束縛されながら上昇・下降するが、独特の浮遊感と空中制御感覚を表現したファンタジックなジャンプであり、現実世界より自由度の高いジャンプなのだ。そこには、「こんなジャンプができたらいいな。」と言う人間の願望が込められている。「FRY」と「JUMP」の中間形態、「FLOAT」と「HOP」の中間形態とも表現できる。
 
 実は、「スーパーマリオブラザーズ」発売後に、ファミコン・ディスクシステムにおいて、「帰ってきたマリオブラザーズ(1988年11月30日発売・任天堂)」が発売されている。このジャンプが、非常に興味深い仕様となっている。ジャンプボタンを押す時間の長短では、ジャンプの高さに変更がない。静止状態から左右いずれかのキーとジャンプボタンを押したときよりも、左右キーで少し助走してからジャンプボタンを押したときの方が飛距離が長くなるが、高さに変更はない。ここまでは、「マリオブラザーズ」と同様である。今度は、次に、方向キーを押さずに真上にジャンプした後に左右方向キーを押してみると、何と空中で左右に移動してから着地するのだ。そして、右上にジャンプした後に左キーを押してみると、体を方向転換して予定の着地点よりも左に落ちる。ジャンプ後の空中制御が可能となっているのである。つまり、「帰ってきたマリオブラザーズ」は、「マリオブラザーズ」に一部「スーパーマリオブラザーズ」のジャンプ仕様(空中制御)を逆輸入したバージョンと位置づけることができるのだ。ちなみに、Bダッシュはできない。
 
 次回、「中編」に続く。

閉じる コメント(0)

コメント投稿

顔アイコン

顔アイコン・表示画像の選択

名前パスワードブログ
絵文字
×
  • オリジナル
  • SoftBank1
  • SoftBank2
  • SoftBank3
  • SoftBank4
  • docomo1
  • docomo2
  • au1
  • au2
  • au3
  • au4
投稿

.


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事