武術とレトロゲーム

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前回(前編)の続き。
 
 スーパーマリオ的ジャンプは、「パックランド(アーケード版1984年8月稼働・ファミコン版1985年11月21日発売・PCエンジン版1989年6月1日発売・ナムコ)」などで、同様のジャンプが導入されていることが指摘されているが、ジャンプボタンの長押しで高く、遠くジャンプする訳ではない。また、左右移動には右移動ボタンまたは左移動ボタンを連打する必要があり、連打が加速を生む仕様となっている。スピードが出ているときにボタンを押しっぱなしにすると、そのままの速度を保つことができる。ジャンプで宙に浮いているときに、左移動ボタンを叩くか、何もボタンを叩かないか、左移動ボタンを叩くかで放物線が変化し、空中制御が可能となっている。「スーパーマリオブラザーズ」は、方向キー左右で移動し、Aボタンをジャンプボタン、Bボタンを加速ボタンと攻撃ボタンに振り分けており、「パックランド」よりも直感的に操作しやすい。その後のアクションゲームのボタン振り分けを思い返してみても、スーパーマリオのボタンと操作の対応の影響は最も大きかったと言えよう。「パックランド」は「ハイパーオリンピック(アーケード版1983年稼働・ファミコン版1985年6月21日発売・コナミ)」の操作システムを、横スクロールアクションゲームに援用したものと、解釈できないだろうか?ちなみに、アーケード版「パックランド」は、レバーなし(ジョイスティックなし)で、左移動ボタン、右移動ボタン、ジャンプボタンの3ボタン構成と言う特異な操作系である。ファミコン版のデフォルト操作は、十字キーがジャンプボタン、Bボタンが左移動ボタン、Aボタンが右移動ボタンとなっているが、Ⅱコントローラーを使用すれば、十字キー左が左移動ボタン、十字キー右が右移動ボタン、AボタンまたはBボタンがジャンプボタンとなっている。PCエンジン版では、ファミコン版で言うⅠコンの操作を「ボタンコントロール」、ファミコン版で言うⅡコンの操作を「レバーコントロール」と称して、タイトル画面で操作方法を選択できるようになっている。
 
 ただ、スーパーマリオ的ジャンプやパックランド的ジャンプに近いものが、1985年前後まで存在しなかったのかと言うと、そうではない。コンピュータとは電子計算機であり、放物線や慣性の計算は最も得意とするところであり、浮遊感のあるジャンプは、重力の小さい宇宙空間を舞台としたゲームで初期から表現されている。例えば、アタリの伝説のベクタースキャンゲーム「MAJOR HAVOC(メジャーハボック、メイジャーハヴォックとも・1983年稼働)」は、3Dシューティング面の後、サイドビューの迷路画面になるが、低重力のため上昇速度・落下速度こそスーパーマリオと異なるものの、ちゃんと空中制御を表現している。この「MAJOR HAVOC」の影響は大きく、PC−8801mkIISRの「テグザー(1985年4月発売・ゲームアーツ)」や、MSXの「テセウス(1984年発売・アスキー)」、遠藤雅伸デザインの「カイの冒険(1988年7月22日発売・ナムコ)」などに継承されている。同じく遠藤雅伸デザインの「機動戦士Zガンダム・ホットスクランブル(1986年8月28日発売・バンダイ)」は、、サイドビュー迷路面については遠藤氏が携わっていないにも関わらず、3Dシューティングの後に、サイドビュー迷路画面に移行すると言う面構成において、「MAJOR HAVOC」と酷似した結果となっている。
 
 では、「MAJOR HAVOC」と操作感覚が似ており、比較的入手しやすい「カイの冒険」で、ジャンプを検証してみよう。方向キーを押さずに、チョンとジャンプボタンを押せば、真上にわずかにジャンプする。そして、ジャンプボタンを長押しすると、天井に頭を打ちつけんばかりに高いジャンプをする。ジャンプボタンを押す時間の長短で、高さの調節が可能となっている。次にジャンプボタンのみで、真上に跳び上がったあと、左右キーいずれかを押せば、左右移動可能となっている。さらに、右上にジャンプした後に左キーを押せば、元のジャンプ踏み切り地点に戻るどころか、さらに左の位置まで移動して着地する。助走と飛距離の関連性はない。ただし、BボタンでいわゆるBダッシュ(加速)が可能で、Bダッシュすれば早くて飛距離のあるジャンプ、Bダッシュしなければゆっくりで高さのあるジャンプと、使い分けができる。
 
 さらに、自由度の高そうなジャンプをする「ボンジャック(1984年稼働・テクモ)」と、ファミコン向けに換骨奪胎された「マイティボンジャック(1986年4月24日発売・テクモ)」について、検証してみよう。まず「ボンジャック」だが、ジャンプ押す時間の長短では、ジャンプの高さは調節できない。しかし、ジャンプボタンと同時に方向キー上を入力することで、「カイの冒険」なみの、天井に頭を打ちそうなジャンプが可能となっている。反対に下キーを入力しながらジャンプボタンを押せば、低いジャンプとなる。さらに、上昇中に下キーを入力することで、落下に変更することができ、落下中に上下いずれかのキーを入力することで、落下速度の調節が可能となっている。「スーパマリオブラザーズ」とは、違う方法での空中制御が可能となっているのだ。また、右上キーでジャンプしたあと左キーを押せば、元のジャンプ踏み切り地点以上に、左の位置まで移動して着地する。
 「マイティボンジャック」も、ジャンプボタンと同時に上ボタンを押せば高いジャンプ、ジャンプボタンと同時に下ボタンを押せば低いジャンプができる。真上にジャンプした後の左右キーでの空中制御、斜め上にジャンプした後の左右キーでの空中制御も可能となっており、ジグザグに下降することさえ可能である。さらに、ジャンプボタンでジャンプ中にもう一度ジャンプボタンを押せば落下に転じ、連打すればムササビのような滑空的な落下をする。
 
 さらにもうひとつ、自由度が高そうなジャンプを連想する「影の伝説(アーケード版1985年稼働・ファミコン版1986年4月18日発売・タイトー)」についても、検証してみよう。ジャンプキーは、方向キーの上キーとなっており、上キーを押す時間の長短で、ジャンプの高さの調節が可能となっている。これは、真上ジャンプ、斜め上ジャンプとも同様である。上キーを押したあと、左キーや左上キーを押しても、ジャンプの空中制御はできない。同様に左上キーを押した後に右キーや右上キー、右下キーを押しても方向転換はできず、ジャンプの空中制御は不可能となっており、慣性にまかすばかりである。ジャンプ後の方向キーは、手裏剣を投げる方向として作用しているのだ。
 
 「ドラゴンバスター(アーケード版1985年1月稼働・ファミコン版1987年1月7日発売・ナムコ)」は、「二段ジャンプ」と言う、「スーパーマリオブラザーズ」とは違う意味で、物理法則を無視したジャンプを初めて導入したアクションゲームである。アーケード版「ドラゴンバスター」稼働の8カ月後に、「スーパーマリオブラザーズ」は、発売されている。つまり、アーケード版は「スーパーマリオ」流行前に稼働しているが、ファミコン版は「スーパーマリオ」流行後に発売されていることになり、後者の操作システムは、如実に「スーパーマリオ」の影響を受けてリファインされている。
 「ドラゴンバスター」のアーケード版のジャンプおよび二段ジャンプは、ジョイスティックの上レバー、ファミコン版のジャンプおよび二段ジャンプはジャンプボタン(Aボタン)と、システムを異にする。

 アーケード版の場合、上レバーを入れる時間の長短は、ジャンプの高さに反映されないが、二段ジャンプを使用することで、ジャンプの高さと距離(着地点)を変更できる。上レバーを入れてから真上に跳び上がったあと、左右レバーいずれかを入れても、着地点に変更はない。右上にジャンプした後に左レバーを入れても、着地点に変更はない。つまり、二段ジャンプ以外のジャンプ後の空中制御は不可能である。助走とジャンプの高さおよび距離との関連性はない。
 対するファミコン版の場合、ジャンプボタンを押す時間の長短で、ジャンプの高さは変化しないが、二段ジャンプを使用することで、ジャンプの高さと距離(着地点)を変更できる。ジャンプボタンを押してから真上に跳び上がったあと、左右キーいずれかを押せば、左右移動可能となっている。右上にジャンプした後に左キーを押してみると、体を方向転換して予定の着地点よりも左に落ちる。つまり、ジャンプ後の空中制御が可能である。助走をすることで、ジャンプ距離は伸びる。
 
 最後になるが、この考察の冒頭に「クセのあるジャンプ」と言う表現をしたが、真の意味で「クセのある」ジャンプは、データイースト・コープ(DECO)の採用した「デコジャンプ」を指すのではなかろうか。通常のアクションゲームのジャンプは、現実世界の物理法則通りの放物線を描いて上昇・下降するものである。なのに、デコジャンプは等速直線運動で斜め上に上昇し、その後等速直線運動で斜め下に下降するのだ。デコジャンプが採用されたゲームに、「カルノフ(アーケード版1987年1月稼働・データースト・ファミコン版1987年12月18日発売・ナムコ)」「トリオ・ザ・パンチ(アーケード版1990年4月稼働・データイースト)」等が存在する。これは、「スーパーマリオブラザーズ」や「ドラゴンバスター」とは違う意味で、物理法則を無視している。
 
次回、「後編」に続く。

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