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川柳集 「風物詩」
その1 魑魅魍魎
魑魅魍魎わっと飛び出す3D
雪雪雪雪雪雪の中蟹へ
パーティーに呼ばれ氷を割る係
ナスは焦げ肉は足らないバーベキュー
何故だろう女雛が横を向いている
ランドセル祖父母四人と親二人
楊貴妃とクレオパトラが鉢合わせ
またこんなところへ置いてある入れ歯
牡丹餅をにこにこ作るおばあちゃん
子守歌小節を回すおじいちゃん
結婚して以来やねえと物忘れ
ドア開けたとたん驚く誕生日
どどどっとこける吉本新喜劇
ごめんやしておくれやっしゃとあつかまし
父さんのダジャレはほったらかしにされ
猫の尾を踏んでしまったヴァイオリン
その2 風物詩
だからその神を造ったのは誰だ
叫んだり泣いたり高所恐怖症
観覧車彼は草食系でした
男湯にいて女湯の若い声
貫禄というかええもん食い過ぎや
こんにゃく対ちくわ男は馬鹿だねえ
コラーゲンですよ奥さまお嬢さま
素っぴんの時に挨拶したらしい
とっくりの底をこそばす残り福
ちょっとだけ底にビールの濃いところ
けったいな天気ですなと暇な人
兄嫁が作るとカルピスが薄い
指折って病気自慢に花が咲き
改札を抜けるといきなりの真夏
バスケットシューズきゅきゅきゅと夏の恋
オジサンのリキッド香る油照り
お岩お菊お露と夏の風物詩
その3 ナフタリン
焼酎はロック男性不要論
芸術の秋へ体重計を買う
大臣もアナウンサーも赤い羽根
ナフタリンの匂いもあなただから好き
小春日にうっかり咲いて愛される
顔見世へ裾が気になる橋の雨
くいだおれすっぽんの顔ふぐの顔
何もかも最後の雑炊のために
かしこい人ばかり二次会ありません
官僚は推古以来のしたたかさ
医者のいうとおりで妻のいうとおり
アスファルト継ぎ目継ぎ目にある予算
まずくない青汁しゃんとしないなあ
ありがとうの一言よりも遺言書
預金帳趣味は何にもありません
傘がないこともポストが赤いのも
梅干しになって苦労が報われる
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