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会社のトイレに入ると、ときどき、発狂したようにペーパーを引き出す女性と隣り合わせになることがある。
ガラガラガラガラガラガラ、と、派手な音を立て、何十メートル引き出せば気が済むのかわからないほどのペーパーを引っ張り出す。一度、どんな人だか顔を見てみたいのだが、なかなかそのチャンスがない。
これまでも再三書いてきたが、私の夫の生家は、超のつくどケチであった。トイレットペーパーもしかりで、彼の父親は、家族がトイレから出てくると、必ずと言っていいほど
「Have you saturated all the panels?」
と聞いたという。訳すなら、
「折りたたんだトイレットペーパーを全面ぬらしたか(使い切ったか)?」
という意味だ。ったく、あきれて腰が抜けそうなどケチぶりである。
「いやだねえ、そこまでケチだと」
と夫に言うと、
「父は生涯、1929年にいたから」
と言う。1929年とは、言うまでもないが、世界大恐慌が発生した年である。
しかし、その父に育てられた夫は、自分はケチではないと主張しながら、私と結婚して間もないころ、私がいつもどおりに50〜60センチほどペーパーを引き出した際、
「え〜〜〜、そんなに使うのか?」
と、反射的に言った。
まったく、三つ子の魂百まで、とはよく言ったものだ。絶対に、直らない。
父が死んで以来、母を一人残していくのも気がかりで、夫との海外旅行は年に1回にしている。私がガイドブックなどを見て
「ここに行ってみない?」
とオプションを提案しても、
「ん〜〜、ちょっとpriceyだなあ」
と言う。Priceyとは、見て字のごとく、priceを形容詞形にしたもので、「金がかかる」という意味だ。必ずと言っていいほど言う。私だって貧乏育ちなのだから、別に、そんな高価なプランを提案しているわけではない。が、夫にかかると、何でもそういうことを最初に言われるので、しらける。で、結局私が
「行こうよ」
と言い、行って見ると、ほぼ間違いなく
「行ってよかった〜〜」
となる。旅の思い出を作るのだって、コストがかかるんだからね。わかってよ。余計なひと言を言わないでさ。
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2011年12月26日
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