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うちの旦那ちゃんは、育ちがいやしい。どケチの極みの家庭で育ってしまったため、何歳になっても、「タダ」「無料」という言葉にひどく弱い。しかし、その結果得るものは、案の定お粗末だ。私は彼を、若いときには「いやしい」とか「ケチ」とかあれこれ言ってたしなめたのだが、あんな家庭で育ってしまっては、もういまさら治らない、と、年を経てからは悟ったので、もう何も言わず、思うようにやらせて、あとで反省するような結果を味わわせることにしている。失敗すると、結構しょぼんとする。しかし、学ばない。
今回の旅行では、道中4日ほどニューオーリンズ(以下「NOLA」)に立ち寄った。彼の姪のRitaが、かの地に、契約しているホテルの部屋があって、そこを無料で使わせてもらえるからでもあった。
このホテルシェアのルールが、何度旦那から聞いてもわからない。とにかく、姪の名前で契約しているので、いつ泊まっても宿泊費そのものはかからないらしい。
さて、そのホテルに泊まってみると、案の定というか、新しい宿泊客に対し、無料ランチを出すから、このホテルのシステムの説明会に来ないか、と、フロントで誘われた。旦那は無条件でOKしたが、私は「あちゃ〜〜、まただ」と眉をひそめた。出るのは、「Po Boy」というNOLAのローカルサンドイッチだそうだ。サンドイッチと言っても、平たいパンのそれではなく、ベトナム式のものを思い浮かべていただければ近くて、バゲットを横に切って間に具を挟むものである。挟むネタの好みを「揚げエビ」「揚げナマズ」とあと2種類から聞かれたので、ナマズは面白そうだと思って注文した。
しかし、ただ予約を入れるのではなかった。予約だけしてすっぽかす客を防ぐため、預かり金30ドルを収める、と聞いてぎょっとした。さすがに私は不安になり、
「ちょっとちょっと。日本にはタダより高いものはない、って言葉があるんだよ。30ドルも予約金払ってまでこんなホテルの説明を聞かなくてもいいでしょう?たかがランチのために」
と旦那をつっついたが、旦那は、
「出席して、セールストークを聞けば返してもらえるそうだよ」
と言って意に介さない。もうこうなると、いくらもめても無駄なので、旦那のカードで30ドルを払わせた。
さて、次の日、約束の時間になったので指定された場所へ行くと、参加者一人一人の名前を確認され、シールに書いて胸に張り付けた。
開始時間は過ぎていたのだが、私らは待たされた。こんなに待ってまで無料ランチを食べたいのかと早くも腹が立ってきた。しばらくすると、まだ若いおにいちゃんが「ハーイ」と言って我々の前に現れた。手にはいろいろな書類を持っている。私は、出席者全員でビデオを見るとかだけだと思っていたのだが、1客につき1営業員がつく、という、マンツーマン形式のセールスであったのだ。私はこれを知って、さらに怒りが増した。
旦那からは、ここから先は、相手に聞かれぬよう、全部日本語で会話をしろと言われた。そのお兄ちゃんの後について指定のミーティングルームに行くと、ほかに何組も客がいた(みんな無料ランチってそんなに好き?)。
さて、お目当ての無料サンドイッチは、というと、具は、揚げエビ1種類しかない。何が「4種類ある」だ、ウソつきやがって、と、私はさらに怒った。
お兄ちゃんと私らは簡単に自己紹介しあったあと、その次は、セールスの責任者らしい、30代半ばくらいの男性が、壇上に立ってパワポを見せながら全員に説明を開始した。
説明を要約すると、人間、1年につき20日(日本じゃこんなに休めないよ)休暇を取るなら、航空券代がXXXドル、レンタカー代がXXドル、ホテル代がXXドルくらいかかりますね、それを25年続けたら(私らを含め会場に来ていたのは中高年ばっか、こんなに休暇を続けないよ)、合計金額が11万ドルくらいになります、しかし、当社WYNDHAMのシステムに加入すると、7万ドル払えばこういうサービスランクで、9万ドル払えばこういうランクのサービスが受け続けられます、ポイントもたまります、といった説明だった。
エビサンドを2つ食べ終わった私は旦那をつっついて、
「もう、こんなのに申し込むわけないでしょ、早く帰りましょうよ」
と日本語で言ったら、
「最後まで聞いていないと30ドル返ってこないから」
と言われた。ったくもう、こんなしょーもないエビサンドを食うためにこんなセミナーを延々聞かされるなんて。しかも、エビサンドはあっても、飲み物を飲むカップがない、という始末であった。
代表らしい人が壇上での説明を終えると、次は私らの目の前に座った若いお兄ちゃんのセールストークの出番だった。
しかし、旦那が最初からあまりに乗り気でないことを悟ったお兄ちゃんは、とりあえず、
「お二人は次、どこに旅行に行きたいですか?」
と聞いてきた。旦那は、
「うーん、しいていえばイスラエルかなあ」
と答えた。お兄ちゃんは、
「どうしてイスラエルですか?」
と聞いたので、旦那は、自分のtribeがそうだから、と答えたら、お兄ちゃんの顔がぱあーっと明るくなり、旦那にグータッチ
をしてくるではないか。つまり、お兄ちゃんもユダヤ人だったのである。彼は、NY出身だが大学はNOLAで卒業したと言っていた。さらにさらに奇遇だったのは、お兄ちゃんの実家は、ユダヤ人の食べ物の一つである「マッツア」(小麦粉をこねて薄く延ばして20cm四方に焼いただけの味もなにもしない板)の製造メーカーであり、旦那も幼いころからそのマッツアをよく食べたそうだ。世界は狭いなあ。
ともあれ、お兄ちゃんは、WYNDHAMのシステムに加入させるのが仕事で、懸命に説明をしたが、旦那があまりにその気がなく、加入しないのが明白だったので、セールストークを打ち切り、30ドル返金する手続きをしてくれた。かわいそうなお兄ちゃん。
お兄ちゃんは、同胞として、NOLAでもベーグル(bagel、日本でも定着したユダヤ人のパン)が食べられる店と、現代イスラエル料理が食べられる店を紹介してくれた。ありがとう。
さらにさらに、参加者へは、ミシシッピ川ボートクルーズランチ付き券をくれた。
とりあえず、この日は、無料の揚げエビサンドを食い、無料ボート券をもらうために2〜3時間捨てたのであった。
<ボートは、これ ↓>
![]() To be continued.
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2018年10月15日
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ホテルのsafety boxにpasswordを入れてロックすると、こんな文字が現れた。
おバカな私は、ちょっと考えることもなく、すぐ旦那に、
「ねえ、どうしてlast Dだけが小文字なの?」
と聞いてしまった。旦那は、
「だって、それを大文字にしたら、『クローゼオ』みたいな読まれ方してしまうでしょ?」
と言う。そうだそうだ、3文字目が大文字の「O(オー)」なので、最後を大文字の「D」にしようとしても、同じ「O」しか表示できず、区別がつかない。
こういう無料電話サービスは良いなあ、と、結構感動した。年齢とか、国柄により、携帯を持っていない人で、空港からちょっと電話したい人には親切な心遣いだ。アメリカ国内限定で通話時間は5分まで。ワシントンD.Cダレス空港.にて。
空港で使われている車いすって、なぜかこんな長い棒がついている。青だけでなく赤だったり、もっと長かったりと、様々だ。これまた旦那に聞いてしまったら、
「遠くからでも、ここに車いすの人がいますよ、とわかるからだろう」
と。はあ、そりゃそうですよね。日本では、空港の車いす、こんな棒がついているだろうか?
空港の待ち時間、小腹がすいて、何か食べようと思った。しかし、アメリカでの食事は、レギュラーコーヒーやチーズが苦手で、ファストフードやコーラなどを食わない私には、非常につらい。帰国して量ると、いつも体重が減っているくらいだ。
パンばっかりじゃ、なんか胃が落ち着かないし。
仕方なく、オーダーしたのは、こんな「鮭のpizza」。上に角切りのトマトがばらまかれている。薄くて、直径20cmで、空港値段だから、これで13ドル以上払った。
値段はともかく、カウンターの白人のおばさんにオーダーしたら、そのおばさんが、すさまじい巻き舌で何か聞いてきたので、目が点になった私は、「Pardon?」と聞き返してしまった。
日本語や英語のように、舌を巻かない言語の人間からすると、なんでわざわざあんなに舌を巻かないと、言葉が発音できないんだろう?と思ってしまう。あの女性は、ロシア出身だったのかな。私は巻き舌が全くできない。
空港では、いろんな国籍の人たちが働いているが、彼ら彼女らが、お客の相手をしていないときにおしゃべりしている言語は、全然英語じゃない。
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をしてくるではないか。つまり、お兄ちゃんもユダヤ人だったのである。


