桃実 says

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こわれゆく父、父の死

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火葬と土葬

人間、もう、この年になると、親が死んでも泣かなくなる。私も以前から「父が死んでも泣かない」と書いてきた。私は、年頃になってから、父のあまりの理不尽な性格についていけず、以来、ずっと父を嫌っていたので、なおさら泣くつもりはなかった。もうこれで、湯水のようにパチンコに注ぎ込んだり、わけのわからないまま証券投資に暴走することもなくなったので、ひと安心である。葬儀のときにも、一滴の涙もこぼさなかった。唯一、涙ぐんだのは、父の生前、母が、死ぬまぎわの父の手をとり、涙を見せながら、あれこれ話しかけていたとき、父が母に、
「よくやってくれたよ。ありがとう」
と言ったときだった。これを聞いて、母は、一層の涙をこぼした。50年の長きに渡って、苦労をともにしてきたことも、父がガンを発症してから、懸命に世話をしてきたことも、すべて報われたのではないかと思う。父の死そのものに対しては、涙が出なかった私ではあっても、母が泣くのを見ると、「もらい泣き」というものがどうしても抑え切れず、ティッシュで何度も鼻をかんだ。

日本では、火葬がほとんどだと思うが、あの、火葬場の扉が開いて、骨が出てくる瞬間を、世間の人々はどう迎えているのだろう。あれは一瞬、グロい。母は、その瞬間、軽く「ひっ!」と叫び、私の手をぎゅっとにぎり、涙をうかべた目を後ろにそむけた。火葬には、土葬と比較して、「運搬が容易」「衛生的」「スペースを食わない」などの長所があげられると思うが、なんとなく、「土葬も選択できたらいいのに」と思ってしまった。単に、骨を見たくないからではあるが。
「お父さんの骨の量が少なかったわ」
と母はこぼす。私は
「しょうがないよ。老人で、ガンで、ずっと寝ていたんだから。寝ていたら、若い人でも骨が衰えるでしょ」
と言ったが、なぐさめになったかどうか。

今日は、父のガンを見つけてくれた、かかりつけ開業医に、逝去の報告とお礼の挨拶をしてきた。

父の死と「書類仕事」

公共料金の名義と引き落とし口座を、父から母に変更すべく、電話で依頼しておいた口座振替用紙が、今日からどーっと届き始めた。母が
「いっぱい届いているの。あんた、来てちょうだい」
と電話してくるので、時間の合間を縫って実家を訪問してやる。
「書留の不在通知も来ているのよ」
と、お香典の現金書留とおぼしき書留の不在票も2通あった。ただ、母には、プッシュホンのボタンを押して、「明日の午前中」などと再配達の依頼をすることができない。
「世の中、どんどん老人には不便になっていくわ」
とこぼす。我々にとっては、ただ音声のとおりにプッシュホンの数字を押していけば済むことも、老いたる母には困難な作業になってしまった。そんなわけで、私が代わって処理した。
続いて、公共料金の口座振替用紙も記載してやった。老人には、こんな口座振替用紙の細かい字も読みにくく、また、小さい枠の中に字を記載するのも大変なことなのだ。

住宅、お墓、電話その他、名義変更には戸籍(除籍)謄本や住民票を取ったり、書類を記載したりが必要なものも多々ある。私は法務畑出身だから、そういった書類の請求・作成作業は苦にならない。明日の金曜日まで慶弔休暇なので、明日のうちに取れる謄本類は全部あちこちの役所からまとめて取って来てしまおう。住宅の登記名義の書き換えも、今日法務局に行ってやり方を聞いてきたら、書類さえそろえれば、高い費用を払って司法書士に頼まずとも、自分でやれそうだ。

母は、覚悟はしていたものの、父がいないう現実にまだ心身が慣れるはずもないばかりか、ちょっとした痴呆の傾向を見せるようになっている。ボランティア活動で老人を多く見てきた私の友人の一人によれば、「気が抜けるし、ショックが大きくて、一時的に痴呆状態になる人が多い」とのことだった。是非その「一時的」なものであって欲しい。「いきいき楽しい未亡人」になってくれるまでは、何かと支えてやらねばならない。
親を看る兄弟姉妹の人数の少ない現代社会では、欲を言えば、親の慶弔休暇は5営業日では少々きつい、と思う。残務の整理を終わらせるまでには、有給休暇の残りが全部消えそうである。

あっと言う間に

今日未明、父が旅立った。
2、3日苦しんでいたので、モルヒネを投入してもらったが、思っていたよりあっさり逝ってしまった。友人から
「室内に心電図計を入れたらあと1,2日」
と聞いていたのだが、入れてから半日だった。
夕べから私が室内に泊まりこんでいたのだが、3時40分くらいに、看護師さんが何度も父の名前を呼ぶので目が覚めた。父の反応が無く、看護師さんが
「お母様を呼んだほうがいいと思います」
と言う。疲れている母を帰宅させたのがちょっと裏目に出た、というわけではないが、母がタクシーを呼んで到着したときには、もうお清めが始まっていた。私が看取ったような結果になった。

またしばらくしたら、ブログを書かせていただきます。
今は、気が張っているのと、ほっとしているのと、何か夢と現実の谷間にいるようなのがまぜこぜになった変な気分。

今日の横浜、真夏のような気温に逆戻りした。

老父は、食べ物を一切食べなくなり、点滴だけで生きている。その上、発熱を繰り返している。もともと35度代の低温が平熱の人なので、37度くらいになると高熱状態になる。
今日は私が朝から病室に詰めていたが、私の顔を見るなり「お母さんは?」看護師さんが体調を聞きに来ても「お母さんは?」である。私ではどうも父の世話がいまいちキモいというかスムーズでないのであるが、それにしても、父の母への頼りっぷりは、もう「夫婦」というより「母と息子」のそれになっている。
母は、午後から来た。その母の顔を見た瞬間、父の顔がほわ〜っと、とろけそうになったのである。やっぱり50年連れ添っている夫婦は違う。子供がいくら逆立ちしてもかなうものではない。
その母を数時間で帰宅させ、私が残ったが、暗くなってから、また熱が出始め、38度6分まで上がった。息も絶え絶え。看護師さんに頼んで解熱剤を処方してもらったが、なかなか下がらない。母からも携帯に電話があり、あまりの熱なので、夜になってまた母に来てもらった。
母の顔を見ると、またしても父は安堵の表情を浮かべた。夜9時を過ぎて、やっと36度代に下がったので、今度は母を残して私が帰宅した。高齢の母に付き添ってもらうのも気が引けたが、父にはこのほうがいいのであるからやむを得ない。

実家に置いてくる荷物があったので、病院からタクシーで実家に直行した。
実家の鍵を開けると、またしても居間の天井からドタドタと激しく走り回るガキンコの足音がする。毎週末の恒例行事なのである。
実家は、安普請の公団住宅の3階にあるのだが、その真上の家の長女は、音大でピアノをやり、その後学校の音楽の先生になった。そこまでも大変だった。何しろ、ピアノの音が朝から晩までガンガンする。母がたまりかねて苦情を言いに言ったところ、その家のコワーイ主婦は
「そんなの、○○○が悪い!」
と、防音工事を委託したリフォーム業者の名前をとっさに挙げ、そのせいにした。そんなまさか、安普請の団地など、いくら防音工事を施したところで、屁の足し位にしかならん。あのババアは、我が実家に1年くらい滞在して、毎週どんなにうるさいかを体感すべきであったのだ。
そして月日は流れ、その娘は結婚し、なんと今どき4匹もガキンコを産んだのである。おまけに、毎週土曜日はアルバイトでピアノを教えているらしく、ガキンコ4匹を連れて、実家に預けに来る。まあ、わが実家はおかげで毎週末は頭の上が運動会状態である。安普請の天井だから、もう、ズタンズタン、ドタドタ、ワーワー、キャーキャーがストレートに来る。
「うるさい、って注意したら?」
と幾度も母に言ったのだが、その家の主婦に比べて数段気が弱く、また稀代のお人よしである母は、
「ご近所なので角が立つから」
といい、ずっと我慢してきた。アメリカだったら、まともなら訴訟、最悪なら射殺になっているぞ。それでも私が両親が病気で寝ていたところを看病しに行ったときには、流石にたまりかね、注意の電話をかけた。その家の主婦がすごいと思ったのは、日本人には珍しく、謝らなかったことだ。「はい、言って聞かせます」と恐縮していたようには聞こえたが、「申し訳ありません」とは言わなかった。とことん非を認めない、すごいオババなのだ。

で、今日実家に荷物を置きに行ったら、また運動会状態だったわけだが、私が嫌われたって痛くもかゆくもないので、ちょうど帰ろうとして下に降りて行ったその娘夫婦プラス4人のガキンコ、並びにおそろしいオババにあわせて私も降りて行き、旦那に「子供の足音がうるさいんですけど!」と言ってやった。旦那は真面目そうな人で、義母と違ってすぐ「すみません」と言った。ちょっとすっきりした。でも、こんな注意をしたって、有効なのは一瞬のもの。これからも毎週末4匹連れて、ドタドタドンドンを繰り返すのだぞ。

父が死んだら、母を引っ越させるつもりである。とにかく、日本の親は、わが子可愛さに狂っているのか、親としての良識もないまま子供を産むせいか、ろくすっぽしつけをしない例が多すぎる、と子供嫌いな私は思うのである。

今日から、介護休業を取りはじめた。

朝イチで、父の一番まとまったカネが入っている銀行口座がある某銀行の横浜西口支店に赴いた。口座を解約するためである。昨年3月末に、横浜家庭裁判所から「保佐」の審判を得てから、初めてその権利を行使することにした。
本当ならば、いったんその口座に私の「保佐」の設定をし(それには私の実印と印鑑証明が要るが、そこまで持参しなかった)、そののち、解約という手続きになるらしいのだが、課長職くらいの男性が「もうこの口座、使わないんですよね。じゃあ、省略しちゃいましょうか」と、親切なことをおっしゃり、その場で解約できた。ありがたい。そのカネは、そっくり母の口座に送金してもらった。ほっ。

ところで、敵もさるものである。あとで母も病室に来たが、母が、
「某銀行から電話がかかってきたよ。『●●●●さん(父の名)、どうしていますか』って聞いてきたわ」
だと。へ〜、やはり、口座名義人の死亡に目を光らせている銀行だけあってぬかりないこと。
「で、何と答えたの?」
と聞いたら、
「市民病院に入っていて、わけがわからなくなっています、って答えたわ」
母、GJ。「死にそうです」などと言わなかったのがよろしい。

さて、父の横で座っていると、ぼけた父は、私に
「いいから、早く寝ろ」
という。
「今まだお昼の12時だよ」
と言って、明るい外を指差しても全然見ようともしない。時間の観念は完全に壊れている。
食事を食べさせたり、尿とりパッドを代えたり、いろいろ世話をしていると、

「いい嫁さんになるよ」
だって。はぁ〜?今日一日で最高のボケであった。結構笑えた。

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