2011年9月に、母がベランダに鉢植えしていたパセリに、芋虫が沢山たかってパセリを食べまくっていた記事を紹介した。芋虫は「キアゲハ」である。
そうしたら、台風に打たれたせい、というより、たぶん、苗で購入したパセリに、元から農薬がついていたらしく、あれほどたくさんいた芋虫が全滅してしまったという話も書いた。
さなぎになるのを心待ちにしていた母は、
「かわいそうなことをしてしまった。来年は種からパセリを育てる」
と言って、パセリそのものを育てるより、芋虫に来てほしい一心で今年もパセリのタネをまいた。
そうしたら、ある日、芋虫を2匹見つけ、喜んでメールをしてきた。とうとう母蝶がこの小さなパセリの植木鉢を見つけて卵を産みに来たのだ(感動)。
「同じ親から生まれたきょうだいかも」
などと言い、母は、性別もわからないのに「むしお、むし子」などと命名した。
むしおとむし子は、本当に本当に大食いで、パセリの鉢はあっという間に半分くらい坊主にされてしまった。
と、数日後、
「1匹いなくなった」
と悲壮な声で電話をかけてきた。実家周辺には、カラスやムクドリがいくらでもいるので、きっと餌食になってしまったのでは、と思った。母は又
「かわいそうなことをしてしまった」
と肩を落とした。私は、「パセリの鉢を家の中にとりこんだら?」と提案した。
しかし、そのあとでネットで調べてみると、キアゲハの幼虫は、さなぎになる場所を求め、数十メートルも遠方に旅してしまうことがあるらしく、質問サイトでも「キアゲハの幼虫が見当たらなくなったのですが」という問いが複数あった。先の1匹も、もしかしたら、移動しただけかもしれない。
これが、残された1匹。
でも、この1匹も、パセリの鉢から、やたら脱走を試みるようになったという。母がいくらつかまえてパセリの鉢に戻しても、すぐ脱走してしまうので、鉢を家の中に取り込んだら、カーテンをつたわって、一生懸命上に登って行った。私が「さなぎになる場所をさがしているんだよ」と言っても、母は気が気でないらしい。
母が美容院に行って帰ってきたら、案の定、芋虫はどこにもいない。あちこち探したが、出てこないので、あきらめて椅子に座って「ふー」とため息をついたら、なにやら、もそもそとしたものが母のズボンにはい上がってきた、という。芋虫だった。
私が、
「へえ〜〜、芋虫にもいいところあるじゃん。きっと、一生懸命さがしていたから、『おばあさん、私はここにますよ』って出てきてくれたんだよ。芋虫にも心はあるんだよ」
と言ってやった。私の動物好きは、多分にこの母からの遺伝であろう。
世の子供たちは、虫かごに幼虫をいれてとじこめておき、さなぎになるのを待つのだろうか。我が老母がわざわざ虫かごを買うわけはないし、虫だって好きなところでさなぎになりたいだろうから、拘束するのをやめたらどうか、と思っていたら、母は、パセリの鉢に虫を戻し、その上から、空気穴をあけた大きな袋をかぶせてしまい、脱出不能にしてしまった。さてさて芋虫、さなぎになるか?
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