|
8月4日にも述べたが、私は、子供のころの経験がアダとなって、方言が嫌いである。
母の出身地である秋田の言葉が嫌いになった背景はその中ですでに述べたので再び書くことはしないが、父の新潟弁にも困った。前にも書いたが、新潟弁は「い」と「え」を100%逆に発音するのである。なので、ときに「なに、それ?」ということはあったけれど、言葉の発音自体が訛っていたわけではなかったから、会話することはできた。しかし、かの地の方言では、「成長した」ということを「太った」と言うのである。
久しぶりに訪問した小学生の私を見て、父方の親戚の人々は、
「おお、太ったねえ」
と言い放った。幼かった私は、
「みんな、なんてひどいことを言うのだろう」
と傷つき、物陰で一人しくしく泣いた。一人しくしく泣いているのを見咎めた母が、また、
「何でこんなところで、みんなと一緒に交わらないで、一人泣いているのっ!」
と叱り飛ばしたので、私は踏んだり蹴ったりだった。
子供がどうしてそういう反応をしているのか、やさしく問いただす姿勢のある母だったら、もう少し救われていたかもしれないが、頭から「すべてわが子が悪い」と決めつける母だったので、ただただ田舎に行くのがいやになるばかりであった。とにかく、こういうふうに、標準語の意味に比較し、途方もない誤解を招く方言は、使うのを撲滅してほしいとすら思っている。
こういう新潟弁はごめんだが、秋田弁でたった一つだけ好きな言葉がある。「ながまる」というものである。
これは、「丸まる」の対語で、標準語の「横になる」に該当する。疲れた人に、「ながまってけらっしゃ」(横になってください)と言ったりするのだけは、ちょっといい感じがする。私が実家の手伝いに行くときには、母に「ながまっていなさい」と命令してガシガシ家事を片付けるのである。
さて、私もそろそろながまろう。
|