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以前、悩みがあって落ち込んでいたとき、わらにでもすがる思いで、駅ビルにある占いに何度も見てもらったことがあった。占いなんて当たるわけがないし、あの占いの女性らは、さも真実のようなことを立て板に水、まことしやかにしゃべるもので、だまされたつもりで「心のエステ」を受けに行ったわけである。しかし、あるとき、ある占い師は、私の手相を見て、
「まあ、あなた、この手相でよく結婚できましたね、1回でも結婚できただけでも奇跡ですよ。まあ、よく結婚できましたね、こんな手相で。相手にありがたいと思わないと」
と、ひどく驚かれてしまったことがあった。何か、叱られているみたいでしょんぼりしてしまった。
11月7日に、友人に女性を紹介し、彼らがめでたく婚約に至った話を書いた。今回はたまたまうまくいったけれど、私は、「紹介」とか「お見合い」には、個人的にはあまり良いイメージがなかった。なぜそうか、恥のかき捨てに、自身のトホホ体験について、書こうっと。
私が男の子に人気があったのは中学生のときまでだ。親の転勤で転校させられた高校(しかも、田舎の女子高)で、半分ぐれたような腐った生活をしていたため、人との交際が一切苦手になり、大学に入っても、他人との、特に、異性との付き合いの不得手さは救いようもなかった。26歳くらいから、心配になった親が見合いを勧めだした。ちょうどそのころ、私の会社の同僚で、お見合いで結婚した女性がおり、彼女がしきりに「お見合いしてみるといいよ」と勧めたこともあって、一応その気になった。母が、お見合いおばさんを探し出し、その人に1件2万円くらい(!)のお金を払って、履歴書と写真を借りてきた。
最初は、「○○商事」に勤める男性だった。世にも名高い総合商社に勤めるエリートなんて、まあ嬉しい、と思って行ってみたが、写真のイメージとはどうも違う、陰険な感じの人だった。「あとはお二人でどうぞ」と残されてしまったが、その5分後には決裂して帰宅した。向こうも私のことを「写真のイメージとは違った」と言っていたそうだから、その点はお互い様だ。でも、考えてみれば、あんなに有名な総合商社に勤めていながら、社内結婚もせず35歳まで独身でいたのは、なにか「わけあり」の方だったのだろう。
その後、「学歴の高い女性を求めている」という男性の話がきた。行ってみると、「学歴の高い女性を求めていた」のは、男性本人というよりお母様で、お付き添いになってきたお母様ばかりがおしゃべりをされ、その男性はと見ると、お母様に任せっきりでおとなしく固まっておられた。それ以外にも、有名な「テレビ○○」に勤める36歳の人ともお見合いしたが、これまたへんな人で、何事もなくただちに決裂した。
私は、上述の、お見合いで結婚した同僚から、「うちの旦那とご飯食べに行くからついてきて」と言われ、行ってみると、そこにその旦那さんの友人の男性がいて、4人で飲み食いとなった。しばらくたって、どうやらその男性を私に紹介しようとしていた魂胆に、やっと気付いた。しかし、全然話がはずまない。その男性が私を指差して「この人はもっと年上の男性の方がいいよ」と言いきったのはたいした眼力だった。私は確かにかなり年上の男性が理想だったのだが、私の同僚はその点を知らなかったらしい。
また、超肥満体形の旦那さんを持つ別の友人が、私にこれまた「旦那の友人を紹介するわ」というので付いていったこともある。3人でしばらく待っていると、向こうの方からフウフウ言いながら汗をふいて近づいてくる脂肪のかたまりのような男性が来た。類は友、という言葉をこのときやっと思い出し、私は、一瞬で凍り付いてしまった。肥満の男性が好みのタイプであるこの友人は、私が肥満男性を死ぬほど嫌っていることを知らなかったのだ。このときも白けきったまま飯食いは終わった。この男性たち、おいしそうにデザートのソフトクリームをぺろぺろ食べていたのを思い出す。やっぱりデブは太りそうなものが好きなのだ。おまけに、そのデブ氏は、去り際に、私に向かって「桃実さんも、早く誰かいい人を見つけてください」という捨て台詞まで言った。こいつめ、あんたに言われたかないよ、と、心底腹がたった。
私は、母に、私はお見合いに向いていないこと、そして、もうお見合いはこりごりだということを伝え、その直後に来た年末年始の休暇を利用して、タイへ旅行に行ったところ、そこで10歳以上年上の夫と知り合った。つくづく縁は不思議なものである。自分が、日本人以外の男性と結婚するなんて、全く念頭に無いことだったから。ただ、本音を言うと日本人と結婚したかったんだけどね。
ただ、もし仮にこの夫がお見合いで来たら、私はOKと言っていたかどうか、まるでわからない。我々が結婚に至ったのも、ほとんど成り行きと勢いだった。なので、お見合いのように、最初から「この人と結婚できるかどうか」の視点で付き合い始め、成婚に至るカップルって、本当によくよく縁があってのことなんだろうな、と感嘆してしまうのだ。
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