都会では相変わらず、一戸建ての家が途方もない価格で売買され、地方出身のサラリーマンたちは、清水の舞台から飛び降りるような気持ちでローンを組んで買う。うちの近所だと、ちょっとまとまった広さの古い庭付き一戸建ての古い家が売りに出されると、そのあとには、必ずと言っていいほど、おもちゃの家のよう、と言っては失礼だが、狭小3階建の家がキツキツに3〜4軒建てられ、売りに出される。隣の家の人がくしゃみをしても筒抜けのような密着ぶりだ。それでも、あっという間に売れるのだから、一戸建てに対する願望はあくなきものだとわかる。
10月末、気になる記事を見たので、取っておいた。
横須賀市で、特別措置法に基づく初の空き家の撤去が行われたという記事だ。
横須賀は同じ神奈川県だけど、友人が住んでいるので、妙に気になった。横浜もそうだが、横須賀も山がちのでこぼこの地形で、山の上に住んでいた夫婦が年老いて買い物にもろくすっぽいけなくなる事態が起こっているらしい。それ以前に、山の上から下界に移り住んだとしても、去った家はそのままに放置され、住む人もなく荒れていく一方らしい。
横須賀って、米軍基地もあり、なんとなくかっこいいイメージを持たれているかもしれないが、実態はとんでもなく、2013年には人口減少率が全国一という不名誉な記録を作ってしまった。高齢化率は28%、これもどん底。若い人らは仕事を求めて東京に移住してしまうそうだ。横浜からなら東京に通えるが、横須賀からだとちょっと通勤距離としてはつらい。足腰丈夫な若者でも多くいれば、そういった坂の上の空き家を安く貸すこともできるだろうが、なにせ若者がいない町だから、借り手もなかなか現れない。
住民票や登記簿をたどっても、持ち主が特定できないような空き家が、昨今はたくさんあるそうだ。空き家の多い県は、上から順に鹿児島、高知、和歌山、徳島、香川。逆に空き家の少ない県は、東京、神奈川、埼玉。なるほどね。
横須賀だけの問題ではないが、家屋が放置されている理由の一つに、固定資産税がある。空き屋を撤去して更地にすると、固定資産税が最大6倍にもなってしまうからだ。だったら、空き屋のまま放置されても、無理ない。
一昔前までは、一家に必ず相続人となる子供が複数いたこと、親が死んだら必ず相続が行われたこと、相続後、家が古くなったら持ち主がその責任で撤去すること、不要な不動産は買い手が付く、という前提条件で不動産が持たれていた。それがいまや、子供もいない、いたとしても少なく、親が死んでも不要な遺産は相続放棄され、古くなっても撤去せず、条件の悪い不動産は徹底して売れない時代になった。今回の横須賀市のように、行政が代執行して危険な空き家を撤去するのが通例になったら、税金がいくらあっても足りない。撤去費用を補助する地方自治体も増えてきているそうだが、それもまた財政を悪化させる。
マッチ箱のような一戸建てが高値で完売するかたわら、空き屋問題も深刻になっている我が国。何とアンバランスな話。都心への一極集中は、とどまる気配を見せない。
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