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母は認知症で、日々進んでいる。私が昨日に続いて会いに来ても、
「ずいぶん久しぶりねえ」
と言う。話すことはほぼ支離滅裂。さっきご飯を食べたばかりなのに、
「まだ食べていない」
と言うし、もう40年くらい前に死んだのに、
「私の母親はどうしている?」
と聞く。
それでも、美容院に連れて行くと、赤の他人の美容師さんと話すときは、なぜか結構しゃっきりしているのである。不思議でならない。なぜ私の前ではぼけまくり、赤の他人の前ではちゃんと受け答えできるのだろうか。
そう思っていたら、最近、銀行から時々送られてくるパンフレットを見たら、「認知症を知ろう」というページがあり、
「ご家族に知っておいていただきたいのは、一番身近な介護者に対して認知症の症状がより強く出る、ということです。他人がいると普段では考えられないほどしっかりした態度をとる、といったように、症状の現れ方が相手によって変わることがあります。そうすると、介護者は『なぜ、自分の前ではできないのか』というストレスを抱えてしまいます」
とあった。ああ、そうなんだ、と思った。こんなふうに、たまたま目にする記事で学ぶと、ありがたや、天からのメッセージか、と思う。
今日、買い物をした帰り、バスに乗ろうとバス停に向かったら、白杖の男性が並んでいた。私は、
「こういうときって手助けをした方がいいのだろうか。それとも『いや大丈夫です、お構いなく』とか言われてしまうのかな」
と、どきどきはらはらした。バスが来た。そうしたら、その人は、バスの音を聞き分けられたらしい。ドアに向かい、杖を大きく左右に振って、バスの入り口を確かめると、すたすたと乗り込み、バスの奥に入って行った。バスの先客らが、彼に多少車内の通路をあけてやったこともあるけど、「見えてるんじゃないか?」と思ったくらい慣れた動きだった。
電車の駅では、ホームドアの設置工事より、人がどんどん手助けをするべきだと思っているのだけど、バス停となると、却って勇気がいるものだ。こういうときはどうしたらいいのだろう。
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