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先月、地域の難病福祉ネットーワークから、
音楽療法についての講演を依頼されました。
私にとって、4時間の講演というのはかなりの大仕事で、
依頼を受けてから毎日、どのように話したら良いのか・・・と、
頭を悩ましてきたのですが、昨日やっとその仕事が終わりました。
対象は、医療専門学校の2年生。
最近では、音楽療法に対する関心が高まっているようです。
ここで、自分のためにも、どのような講演会であったのか、
生徒さんとのやりとりも含めて、フィードバックしてみたいと思います。
1.音楽療法の歴史
2.音楽療法の理論
3.『ケアの思想と対人援助』(村田久行著)から。
4.ケアとは何か?〜キュアからケアへ〜
5.精神的ケアの重要性
ワーク1 :どんな時に、生きている実感を味わいますか?
ワーク2:苦しい時に、「大丈夫ですか?」「どんな具合ですか?」と声をかけられたら
どんな気持ちがするでしょうか?
6.どうして音楽でなければならないのか?
・音楽だけが唯一、すぐれて感覚的なものであり、私たちの自意識を容易に透過することが出来ること。
・音楽だけが唯一、すぐれて共時性を持つこと。
・音楽だけが唯一、すぐれて通時性を持つこと。
7.K氏の事例から(私が学会発表した患者さんの事例を検討)
8.音楽の実践
・耳掃除(一分間)
・歌唱
・音楽ゲーム(トーンチャイムを使って)
・楽器演奏(ベルを使って)
・歌唱
質疑応答
と、いった流れで話したり、実践したりして来ました。
音楽でなければならない理由としては、『音と言葉の草原』の復活さんの書かれていたことに
深く共感しましたので、復活さんの了解を得て使わせていただきました。
復活さんには、是非、本を書いていただきたいと思っています。
ワーク1で、学生達の答えたことは、
・家族と過ごしている時
・美味しいものを食べている時
・仕事がうまくいった時
・試合に勝った時(男子学生)
・友達とおしゃべりしている時 等々・・・
生きていることを実感するのは、実は日常的な時で、
特別な何かをした、という時ではないことを、わかってもらえたようでした。
余命が限られている患者さんとて同じことでしょう。
日常の些細な喜びを味わってもらうことが、最高のケアだと言えると思います。
ワーク2では、学生達は皆一様に、
「うっとうしい」
「放っておいて欲しい」と、否定的な答えでした。
あまりにも苦しく辛い時には、気遣いのつもりでかけた言葉が、
患者さんに負担をかけてしまうことにもなりかねません。
適度な距離と相手の欲していることを見極めることが大切です。
そして言葉を持たない『音楽』こそが、そんな時患者さんの慰めになる場合があるのです。
その辺りのことがわかってもらえたら、このワークは大成功!ということです。
自分を見つめ直すことから、
相手を理解し、理解したところから真のケアが始まるのだと思います。
「音楽療法がこんなに深いものだとは思わなかった」と、
講演を聴いたスタッフからいただいた言葉は本当に嬉しいものでした。
音と音楽が人間に与える影響がいかに大きく、
いかに重要か、ということをもっと知ってもらわなくてはなりません。
そうでなければ、音楽療法は誤解されたまま蔓延していき、
真の評価を得られないまま、レクリエーションとして位置づけされてしまいそうです。
微力ですが、若い世代に、なぜ音楽でなければならないのか、というもっとも
基本的であり、もっとも重要なことを伝えられたのではないか、と思います。
長丁場で、とても大変でしたが、これでまた一つ、自分の幅が広がったような
気がします。
今後も、自分に負荷をかけすぎないようバランスをとりながら、
このような仕事も引き受けていきたいと思います。
写真は、哲学的な立場から、対人援助を考える村田久行先生の本。
患者さんに携わる仕事の人は、是非、読んでおくべき本だと思います。
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