|
先日、保健所からの依頼で、
精神障害者デイ・ケアで仕事をしてきました。
参加されたのは、うつ病、統合失調症、神経症、自閉症など、
様々な精神障害を抱えた方々、男女合わせて21名。
皆さん、社会復帰前の落ち着いた状態で、
症状は薬でうまくコントロールされた方々ばかりでした。
約1時間ほどのセッション。
プログラムは、クリスマスソングを中心に、との要望で、
『赤鼻のトナカイ』『きよしこの夜』、季節の唱歌、日本のポップスなどで構成しました。
使用楽器は、ミュージックベル、トーンチャイム、打楽器など。
患者さん達は、驚くほど純粋です。
そして自分にも他人にも正直です。
私達が現実の社会で生きるために無くしてしまった純粋さや、
敏感な感性を、ずっと持ち続けている方達なのです。
だからこそ傷つきやすくて、脆いのだと思います。
自分の殻に閉じこもったり、
自分の思い込みだけで絶望したりするのは、
すべてこの純粋さ、敏感さの裏返しなのでしょう。
このような患者さん達に、どのようにアプローチすれば、
療法的な効果を上げることが出来るのか?
そもそも、音楽療法に出来ることは何か?
患者さん達が音楽療法に求めていることは何か?
このようなことをふまえて、セッションの目標を立てました。
順を追って、書き出してみたいと思います。
1.音楽構造が持つ予測性と規則性が、患者さんに安心感を与える。
↓
2.音の強弱、フレーズや拍の変化で、柔軟で幅の広い自己表現を目指す。
↓
3.自己表現することで、抑圧されている感情を発散させる。
↓
4.発散させることにより、フラストレーションがたまるのを防ぐ。
↓
5.症状の軽減を目指し、日常生活を支障のないものにする。
たった一時間では、目標を達成出来るはずもありませんが、
ある程度の感情の発散、気分転換にはなったのではないか、と考えられます。
精神障害者の音楽療法には、本当はもっと多くの時間と回数が必要です。
今回は、リクリエーションとしてだったので仕方ありませんが。
引きこもっている人達は、実は大変な思いをして
セッションに参加しています。
そのセッションの場で、みんなと共に歌い、演奏することは、
社会に出るための練習であるとも言えます。
セッションという小さな社会での音楽体験が、
大きな社会に出た時に、生かされてくるからです。
患者さん達にとって、
セッションに参加すること自体がセラピーと言えるのかもしれません。
患者さん達が社会復帰して、心が疲れた時にはまたセッションに参加して欲しいです。
音楽療法には、そのような役割もある、と
皆さんの楽しそうな顔を見ながら、感じたセッションでした。
写真は、サウルハープ。
昔サウルという少年が、心を病んでいた王様の心を、
このハープと美しい歌声で癒した、と言われています。
|