シャベリ場

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英国 ストーンヘンジ

≪日刊スポーツ新聞社、販売局流通開発部・赤坂厚参事の世界遺産旅行記です。≫

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 ロンドン・ヒースロー空港でレンタカーをピックアップした。日本と同じ右ハンドルの気安さ。フリーウエーをソールズベリー方面に向けて走り出して気づいた。右のフェンダーミラーが見にくい。しばらく走ってから点検してみたら、蜘蛛の巣が張ったようにひび割れている。舌打ちしたが「始業点検」しなかった罰か。

 世界でも屈指の謎に満ちた建造物をこの目で確かめたい。そう思い立って行ってみたのは15年前だった。当時、フリーウエーをいくら走っても「Stonehenge」の看板が見当たらないのには困った。世界遺産だぞ、看板ぐらいあるだろ。一般道に入っても、案内板はない。時折、車を止めて地図とにらめっこ。苛立ちと不安の中、いきなり、という感じで看板が現れる。そこはもうストーンヘンジの駐車場だった。

 トンネルで低い丘をくぐり、少し登っていくと原野の中にポツンとあの姿が現れる。なんか、小さいな、と思って近づいていくと、みるみる大きくなる。周りの景色が抜けているので小さく見えただけのようだ。そうそう、入場料を支払う入り口付近に、土産物屋とともに、ストーンヘンジの成り立ちについて、イラスト付きの説明板がある。まず、これを見忘れないように。ストーンヘンジは、約5000年前ごろから約2000年かけて、5度の時代に分けて作られているとか。立石(メンヒル)を立てた人たちと、その上に横に楯石を載せた時代が数世紀離れているとかで、その時代差には驚かされる。

 近くで見ると確かにでかい。最大の石柱は高さ7メートル弱、重さ約45トンという。2重の大小のサークル状と、その内側に同じく大小の2重馬蹄形の列石。巨大なほうはサルセン石で30キロほど離れた所から切り出され、小さめのブルーストーンは300キロ以上離れた場所から運ばれたという。立石と横石は、互いにほぞとほぞ穴ではめ込むようにしてつなぎあわされているといい、がっちりとしている。運搬技術、建築技術のレベルは高い。というより、どうやって運んだり、立てたり、はめたりしたのだろうか。

 なぜ、この遺跡ができたかという目的も分かっていない。祭祀のためとか、天文観測のためというのが一般的だという。卑弥呼の時代でもそうだったように、先史時代の祭祀の重要性は現代の比ではなかったのは分かるが、こんなに時間と労力をかけるだろうか。天文観測といっても、何のために観測しなければいけなかったのだろうか。農業のためだけに、ここまでやるの?という感じだ。ただ、違う民族が何世紀も掛けて、まるで駅伝かリレーでもするかのように建て増ししていったというだけに、よほど重要な場所だったのは想像できる。今残っているような「形」になった理由もわかっていないが、「完成」したかどうかも疑問だ。魔術師が造ったなんて説もまことしやかにあるらしい。

 草原に寝転びながら遠くからもながめてみると、どの説にも「?」が沸いてくる。放し飼いの羊がそばで草を食んでいる。横になって形をじっと見ていると、1つ、浮かんだ。フライパンをのせるコンロ。そう考えると、円盤を載せる台にしか見えなくなってきた。そうだ、どう見たって、UFOポート。そう結論が出たところで、腰を上げた。

中国 黄龍

≪日刊スポーツ新聞社、販売局流通開発部・赤坂厚参事の世界遺産旅行記です。≫


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黄龍・争艶池 石灰で縁取られた池が重なり合い、青い水をたたえる。名前の通り艶やかさを争うごとき、の光景


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黄龍・五彩池 最も高いところにある。上流(右)から下流にかけての色の変化が美しい


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黄龍・流れ 池群をつなぐ川。浅く、川底の黄色い石灰岩の岩盤が透けて、黄色い水の流れにみえる





 白髪三千丈、とかく大げさな表現でものごとを形容する中国に、「天下に絶」という最大級の絶景があるという。四川省、岷山山脈の主峰雪宝山(5588メートル)のふところにある谷が、黄色い龍と書いて「黄龍」。大抵は九寨溝とセットで、絶景のはしごをする。

 標高3000〜3500メートル。高山病の不安を抱えながら、谷に入っていった。歩き始めると「かごに乗らんかね〜」と声を掛けられる(たぶん)。「プ・ヤオ(不要)」と言うと去っていく。乗りたい人は笑顔で首を縦に振ればいい。

 黄龍の風景は大きく2通りある。石灰分が堰をつくって棚田(段々畑?)状に池が連なっている場所と、滝を含めて黄色い石灰岩の岩盤を水が流れ落ちる場所が、連続している。最初に現れる「迎賓湖」はそんな黄龍全体のミニチュア版といった感じ。ここから、約3500メートルの「五彩池」に向けて登っていく。

 道は木道と階段。登り始めると、棚田状の池群が次々に現れる。水中の藻できれいな黄緑色にみえる「瀲絶湖」、水の中に小さな木がところどころに生えて盆栽のようになっている「盆景池」、鏡のようなきれいな水をたたえた「明鏡倒映」、青や緑の色に染まったように見える池が650以上ある「争艶池」。それらを川底が黄色い川が結ぶ。

 黄龍の成り立ちを簡単に。黄色い石灰岩の岩盤を流れる水に石灰分が溶け込み、流れの緩やかなところに落ちた落ち葉などの障害物に当たるとそこに付着していく。長い年月を経て、付着した部分が成長し、堰をつくって水をせき止め、棚田状の池群を形成。曲がりくねった黄色い谷に、うろこのようなたくさんの池が点在するようになる。「黄色い龍」とは、よく言ったもの。形容は大げさでも、的を射たネーミングだ。

 目は楽しめるが、最初は軽快だった足が、前というか、上というか、なかなか出ていかなくなる。頭の奥深いところで鈍痛のような不快感。これが高山病なのかなあ、とぼんやり思いながら、20〜30歩ぐらい進んではちょっと立ち止まる、を繰り返して、体を持ち上げていく。秘密兵器は九寨溝で使わなかった携帯酸素ボンベと水。無理は禁物。登山道にあるベンチなどで休息しながら上がる。ちょうど体も気持ちも萎えそうになってくるあたりで、池群が現れ、奮い立たせてくれるようでもある。往復4時間のツアーが多いと聞くが、目的地黄龍古寺にたどり着くまで我々は約3時間半かかった。途中で引き返すケースもあるという。ゆったりとした旅程で助かった。古寺の裏手に広がる「五彩池」を見なければ、来た甲斐がないのだ。高山病に慣れておくのが大事だ。

 富士山より少し高い標高3500メートル。透明から青へと水の色を変えながら連なる五彩池の神秘的な美しさに、畏敬をこめて道教寺院が建立されたのだろう。寺に近い池の中に異様なものを発見した。石灰で縁取られた堰に、灯籠(だと思う)が半ば飲み込まれている。明の時代に創建されたというが、灯籠を建てたときは、まだそこまで池がなかったのだろう。徐々に池が増えてきて、ちょうど灯籠の所に堰を作ってしまったのだろう。

青、緑などさまざまに彩られた池、まぶしいぐらいの黄色い光沢を放つ岩盤。そんな鮮やかさの裏にある自然のたくましさを、実感させられる。

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