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新聞に載らない内緒話

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新聞に載らない内緒話

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今回は、

『美しく負ける』




死球を受ければ誰だって怒る。

ただし、当てられた選手が「当たっていない」と怒ったとしたら珍しい。


 事は1975年10月20日、阪神対中日戦で起きた。首位打者に9毛差、タイトルを狙う中日・井上弘昭はシーズン最終戦、最終打席できわどい内角球にのけぞった。主審の判定は死球。冗談ではない。この打席でもし、ヒットを打てば首位打者だ。たとえそのボールがユニホームの一部をかすったとしても一縷の望み、最後の一振りにかける執念はこれを認めない。「当たっていない」と抗議したが認められず、打率3割1分8厘で井上のシーズンは終わった。この時1厘差で首位打者になったのが、広島の4番打者・山本浩二である。広島の創設26年目、初優勝を飾った年だった。


 当時、私はまだ大学2年生。こんないきさつがあったことは、この商売を始めてから小社の資料室で知った。


「勝負に負けた気持ちは辛いだろう」。

 
そういったのは敗者の井上ではなく、勝者の山本だった。そして、広島弁でこうも言った。





「心が痛むのう」。

 


勝手な感慨だが、少々、やさし過ぎないか。敗者を思いやるのは。


その広島・山本監督がチーム不振の責任を取って辞任した。なにしろ8年連続のBクラス、広島は昔の「広島」に戻ってしまった感がある。もちろん、采配に問題があったのかもしれないが、それにしても球団フロント陣の現場に対する非協力ぶり(ではないだろうが、傍目にはそう映る)は目に余った。

主力選手をFAで次々と外へ出す。阪神の金本がいい例だ。補強は外国人選手ばかり。それでも巨人ほどの節穴ではなく、阪神に移ったシーツに見られるように、安くて優秀な選手を獲得するのは広島の伝統でもある。だが勝てなければ客も球場には来ない。だから儲からない。だから選手年俸が下がる。

そして選手が流出する。だから勝てない。この負のサイクルが今の広島である。


 「ずっとしんどかった」は山本監督の辞任表明時の言葉である。「悔しいが言い訳の出来ない成績で、ファンの思いもわかっている。監督が代わればチームの雰囲気も変わる」。生え抜きで、球団経営の内情も知っているのだろう。だから多くを語ろうとはしなかった。首位打者の一件といい、辞任の言葉といい、山本浩二には何か「敗れることへの思い」が漂う。



話題を変える。俳優の児玉清が雑誌「銀座百点」10月号(銀座百店会発行)の座談会でこんな事を話している。大部屋からのたたき上げで、最近は「大豆ノススメ」のCMで存在感を示している。



「考えてみると、ぼく、もう全部負けるために生きてきたようなものでね、称賛されても納得できないし、絶えずウジウジしたものしか心に残らない。せめて美しく負けていれば、どこかで一度くらいは、美しく勝てるときがくるんじゃないかと」。




座談会のタイトルは「“美しく負ける”人生」とある。




もっと読んでみたい方はコチラをどうぞ↓

欽ちゃん野球の真髄

ホームページの「新聞に載らない内緒話」のバックナンバーです。


 タレント萩本欽一氏率いる「茨城ゴールデンゴールズ」が、人気低迷の野球界を賑わしている。

5月15日、群馬県太田市で行われた全国クラブ選手権北関東大会代表決定戦で、強豪の全伊勢崎

硬建クラブを7−2で破り、9月の全国大会(西武ドーム)出場の切符をつかんだ。チーム結成か

らわずか5カ月の快進撃だ。「全国大会に出れるなんて想像もしていなかった。いつの間に、こんな

強くなったの? コーチ陣に感謝だね。そして選手のみんな、ありがとう!」。報道陣の質問に答え

た欽ちゃんの目には涙がにじんでいた。


 何が起こるか予測不能。これが「欽ちゃん野球」の醍醐味だ。観客をも惹きつけ、これまでにない

野球観戦のスタイルを構築しつつある。5月5日、市原市の市原臨海球場で「サウザンリーフ市原」

との交流試合が行われた。午前11時の開場にもかかわらず、早朝から長蛇の列が出来た。1万人収

容の球場に8200人が詰め掛けた。


 この日は「こどもの日」。ネタは用意していた。試合開始2時間前、「これからパン食い競争やる

よ!」の欽ちゃんの声に、先着30人の子どもがグラウンドに集まった。無邪気な笑顔ではしゃぐ子

どもたち。スタンドも笑い声に包まれた。そして終盤、即席漫才まで始まった。


 欽ちゃん「(パン)一つでいいのか?もっと欲しいか?」
 
 子ども「欲しい!」
 
 欽ちゃん「じゃあ持っていきなさい」。「お父さん、お母さんの分はいいのか?」
 
 子ども「欲しい!」
 
 欽ちゃん「じゃあ持っていきなさい」。「もっと欲しいか?」
 
 子ども「欲しい!」。
 
 欽ちゃん「じゃあ持っていきなさい」。「もういいか?」
 
 子ども「欲しい!」

 
 抱えきれなくなった子どもの腕からパンが落ちると「それは返してね」と、すかさず突っ込みを

入れる。球場は爆笑の渦だ。マイクを使っているため、やり取りはすべて聞き取れる。スタンドに

いた50代の男性は「野球を見に来て、こんなに面白い経験初めてだよ!」と笑った。
 
 
 パフォーマンスだけではなく野球も真剣だ。この日、臨時投手コーチとなった元巨人の江川卓氏

擁するサウザンリーフ市原を4−3の逆転で破り勝利した。

 試合後は変わらぬ光景がある。サインを欲しがるファンがいれば、一人残らず全員にする。この

日も、試合後4時間かけて球場の外に並んだファンの要望にこたえた。選手は翌日の試合のため、

山梨県甲府市に向かったが、最後まで笑顔を振りまいてペンを走らせた。終わったのは、午後8時

半を回っていた。毎回、球場を最後に出るのは選手でなく決まって監督の欽ちゃんだ。ファンのた

めに、野球界の発展のために――。欽ちゃん野球の真髄は、球場でしか味わえない。

僕も飼ってる

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