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いまさらなんですが、GW前半の3連休に富山・金沢方面へ旅行に行ってきました。
福島ではなかなかお目にかかれない、厳然とそびえる絵に描いたような雄大な山々、そして海に沈む夕日。
今回の旅は、そんな素晴らしい日本の自然と美味しい海の幸・山の幸を満喫した旅でした。
4月27日、私たちは雨の東北道を南へ向かっていました。
天気は晴れの予報でしたが、雨雲レーダーを見てみると栃木県の一部に強めの雨雲がかかっており、東北道はちょうどその雲の真っただ中を縦に走っていました。
しばらくして雨が切れ、私たちは最初の目的地、佐野プレミアムアウトレットへと到着しました。
そこで嫁が買い物をし、ふたりで昼食を済ませて、昼過ぎにはアウトレットをあとにして次の目的地、足利市にある <COCO FARM&WINERY http://www.cocowine.com/> へと向かいました。
佐野からは車で30分も走ったでしょうか、関東平野の北限、少しだけ山に入った場所にそこはありました。
車を停め、ワイナリーまでの下り坂を歩いていると、晴天の空の下、木製のテーブルの上にワインとおつまみを並べた女性たちが実におしゃれに時を過ごしていました。
見ると、あちこちで同じようなグループがそれぞれに優雅な時を過ごしているのが見受けられました。
こちらは思いのほか上がった気温と折からの強い日差しですでに汗をかき始めており、とてもではないですがその方たちと同列には見えなかったことと思います。
ワイナリーの前には急斜面を三角形に切り取ったようにブドウ畑が広がっており、おそらく夏から秋にかけては一面の緑に覆われるんだろうなと思いました。
ワイナリーの中に入ってみると、そこはレストランと売店のみのシンプルな作りになっていました。
さすがワイナリーだけあって赤・白それぞれ数多くのワインが並んでいて、ワイン好きにはたまらないところなんだと思いました。
また、お酒以外にもお土産品が充実していて、私はエコバッグ(300円)をお土産に購入しました。
もう少し坂を下り、さきほどの売店のちょうど下にあたる場所はワインの飲み比べができるスペースになっていて、こちらでもほんのりと顔を上気させた方たちが、チーズなどを片手に楽しく語らっていました。
車で来なければ、少しぐらい飲みたかったのにというのが本音でしたが、まあこれから新潟までどうやって移動するんだという現実問題がありましたので、しぶしぶ白ぶどうジュースを飲んで出発しました。
さて、この時点で時刻は3時。
本当は高崎か安中でSL碓井を撮ろうと計画していましたが、時間も時間ですし、これから新潟の南魚沼まで移動し、予定通り5時にチェックインしなければならないことを考えると別に撮らなくてもいいかなと考え、足利インターから北関東道に乗り、とっとと新潟へと向かいました。
途中、休憩のために赤城高原SAへ立ち寄りましたが、ここで思わず買ってしまったのが、
からっ風ブー次郎なるキャラクター湯のみ。
「あっしには関わりのねェことでござんす…」
がキメ台詞の彼ですが、実は養豚場から出荷されるトラックに乗せられ、そのトラックが赤城高原SAで休憩している最中に荷台から転げ落ち、命からがら逃げ出したという逸話の持ち主。
赤城の山も今宵限りとならなかった、幸運な豚なんだそうです。
ただ、そのキャラクターののぼりがはためくすぐ脇で赤城高原豚の串焼きが売られていたのが、ね。
休憩を終えて関越道を魚沼へ。
途中で関越トンネルを通るのですが、このトンネルの名前は以前から耳にしていました。
なんでも道路のトンネルとしては日本で最も長いトンネルなのだとか。
ではどのくらいの長さがあるか計ってみようということで、トンネルに入ったときのメーターを記憶しておきました。
それにしてもまあ長いのなんのって、どこまで行っても等間隔に並んだライトと薄暗い空間が延々と続き、本当に果てがあるのかというほどの感覚に襲われました。
途中で群馬県と新潟県の県境を越え、そしてようやく新潟県側の出口が見えてきました。
トンネル出口でメーターを見ると、ちょうど11キロ!
気がつけば通過に7分以上かかっていました。
そして目の前に広がるのはまだ残雪の残る景色で、トンネルを抜けるとそこは…といった感じでした。
私たちは5時に差し掛かるぐらいに六日町インターを降り、本日の宿泊先である <ほてる木の芽坂 http://kinomeht.co.jp/> へと向かいました。
ホテルに着いたのが5時を少しだけ過ぎた頃で、まあ予定通りといったところでした。
駐車場には観光バスが停まり、他にも一般車両が何台も停まる盛況ぶりで、さすがGWといった風景でした。
チェックインを済ませて部屋まで案内されるとその窓からはまだ深々と雪をかぶった山々と、あちらこちらに咲く満開の桜が一望できました。
また、道路の幅が私たちの知っているそれとはけた違いに広く、そしてまっすぐで、ここが豪雪地帯であることを如実に物語っていました。
部屋に案内してくれた女中さんから館内の説明と夕食・朝食の案内をされ、6時半からの食事にはまだ時間があったために、私は屋上にある展望露天風呂へと行ってみることにしました。
屋上に出てみると空はまだ十分に明るく、ヒノキで作られた横長の浴槽に身を沈め、頭を浴槽のへりに持たせかけてそのまま仰向けの形で空を見上げました。
目に映るのは、ほのかに赤みを帯びつつある蒼い空、そしてゆっくりと視界の左上から右下へと、一定の速度を保ったまま流れ続ける小さな雲、耳に聞こえるのは湯船に間断なく注がれる湯の音と、遠くを走る関越道の車の音、そしてねぐらへと急ぐ鳥たちのさえずり。
頭の中に去来するのは、ここ2カ月ばかりの尋常ならざる激務とストレスでした。
しかし、ただ流れてゆく雲を眺めていると、体にしみ込んでしまったそれらのどろどろとしたものがお湯の中にゆっくりと溶けだし、流れ去っていくかのように心が落ち着きました。
やがて先程から鼓膜をにぎわせていた音も少しずつ聞こえなくなり、ただ、私は、視界に映る空と、さきほどよりも赤の色合いが濃くなった雲だけを認識していました。
肩口まで満たされたぬるめの湯がたゆたう感覚さえも、まるで雲の中の出来事のように心地よく受け入れられ、そして思わず私は
「…ここしばらく、頑張ったかいがあったなあ…。」
と、つぶやいていました。
ここまでリラックスできたのは一体いつ以来だっただろうと、長距離運転の疲れも相まって少しだけ眠気を覚えた頭で考えているうちに、あっという間に夕食の時間になってしまいました。
さて、お待ちかねの夕食ですが、会場は広間ということでしたので一度部屋を出て、エレベーターで指定された階へと向かいました。
すると、先程部屋へ案内してくれた女中さんが案内役として立っていて、どうぞこちらへと渡り廊下の方へ手を向けてくれました。
これはありがたいと思い、そのまま渡り廊下を進んだ先にある広間へ。
すでに先に来ていたお客さんで会場はにぎわっていて、私たちは入口を入ってすぐのところで忙しく給仕をする女中さんに呼び止められました。
「お部屋の番号が座席になっております、何号室でいらっしゃいますか?」
「417号室です。」
「え?」
え? って。
するとその女中さん、近くにいた女中さんを呼び止めて何やら小声でひそひそとやっています。
怪訝な顔をする二人、とたんにその場の空気があやしくなりました。
私たちは、何かまずいことでもしたんではないかと顔を見合わせる始末でしたが、やがて最初に話しかけてくれた女中さんが懐から紙に書かれたリストを取り出し
「お客様のお座席は…こちらには無いようですね。」
「え?」
「もしかして、エレベーターの降り口でこちらに案内されたのですか?」
「はい、先ほど部屋に案内してくれた方がこちらを案内してくれて…。」
すると、ああ、またかという感じで女中さんの顔が曇り
「たいへん申し訳ございません、こちらは、本日いらした団体様のお食事会場となっておりまして…。」
「はあ。」
「お客様のお食事会場は、エレベーターを出て左手の広間となっております…。申し訳ありません。」
そういうことなのです。
部屋に案内してくれた女中さんだから当然食事会場も間違えずに案内してくれるだろうと信じ切っていた私たちは、ろくに看板も見ずに馬鹿正直に案内されたとおりの通路を来てしまったわけです。
確かに私たちがいる食事会場の入り口とエレベーターホールには『春の越後ミステリーツアー お食事会場→』と手書きの看板がしつらえてありました。
周囲の耳目を集めてしまい、赤面しながらいそいそと会場を後にしてエレベーターホールへと戻る私たち。
すると、先程間違った案内をしてくれた女中さんが、何食わぬ顔で「こちらへどうぞ。」と、目の前の部屋へ案内してくれました。
私と嫁は先程に続いて本日二度目となる、顔を見合わせて固まるという仲睦まじさを見せつけてやりました。
そしていよいよ待ちに待った食事です。
最初に書いておきますが、今まで泊まった温泉旅館の中でも、余裕で5本の指に入るほどの質と量でした。
まあとにかく、何を食べても美味しい! のひと言。
特に、さすがと唸らざるを得なかったのがひとりにひとつずつセットされていた小さなお釜で炊いて食べる魚沼のコシヒカリでした。
ふたを取ると立ち上る真っ白な湯気と、それと全く同じ色をしたツヤッツヤのご飯、そして立ち上る米の薫り。
しゃもじを差し込むと、ねちっ、という音とともに柔らかな純白のお米が持ち上がります。
そしてそれを茶碗に盛り、とりあえず漬物と一緒に口に入れた瞬間のあの旨さときたらもう!
私の地元は天皇への献上米が生産されるほどの由緒ある米の産地なのですが、そこのお米を食べ慣れている私が舌を巻くほどの旨さでした。
そして、主役であるお米を彩る周りの菜のものがこれまた本当においしくて!
特に、陶板で出された越後もち豚の焼き物と赤魚が美味しく、釜だけではなくおひつでご飯をおかわりして、私と嫁でうまいうまいと連呼しながらばくばくとコシヒカリを平らげました。
満腹になった私たちは腹を抱えながら部屋へと戻り、しばらく動けずにだらだらと時間を過ごしたのち、ゆっくりと温泉に浸かってぐっすりと眠りました。
朝は朝で6時過ぎには起きてもう一度温泉を楽しみ、朝食をいただきました。
まあやっぱりご飯のおいしいこと!
バイキングスタイルでしたので好きなおかずが取れるということでますます米の消費に拍車がかかり、私と嫁は朝からまた満腹の腹を抱えることとなりました。
これで一泊2食でひとり1万円を切るなんて、なんてお得なホテルなんだというのが正直な感想でした。
さて、今日はこれから黒部峡谷へと向かわなければならないのであまりゆっくりはしていられません。
私たちは8時過ぎにはホテルを出て、一路黒部を目指しました。
ここのホテルは、また絶対に泊まりに来ようと思いました。
今度は、新米の季節にでも!
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