名前のない馬鹿 -A Fool With No Name-

5月3日〜5日の日中、ほぼ外にいた結果、顔にすごい日焼けをしてしまいました。

笑って頂けますか?

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3日ほど前に私の身に起こった出来事を、アニメ『シュタインズ・ゲート』風にお送りします。
シュタインズ・ゲートをご存じない方には、かなり分かりづらい表現が含まれますのでご了承ください。
 
とりあえず、こちらの音楽を再生しながら読み進めていただければ臨場感が増します(音量注意)。
 
 
9月17日(火) 1900
 
私は、福島市浜田町にあるヨークベニマルというスーパー前の歩行者用信号が青になるのを待っていました。
すると、後ろから二人連れの自転車に乗った女子高生が近づいてきて、私の1メートルほど後ろで止まりました。
何やら楽しそうに話をする二人。
そして、そのうちの一人が突然大きな声で言いました。
「あれ? 三浦先生じゃない?」
信号待ちをしているのは私とその二人だけでした。
どうやら、その女子高生は私を学校の先生と人違いしてしまったようでした。
この小さな誤解が、私の世界線を大きく狂わせることになるのです。
 
以下、私がその出来事の直後に半泣きになりながら会社のシュタゲ好きの女の子に送ったメールです。
 
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 
俺だ、鳳凰院狂真だ。
今、機関からの精神攻撃を受けている。
詳細はこうだ。
歩行者信号が青に変わるのを待っていた俺の後ろから、二人連れの女子高生が近づいてきた。
そして俺のすぐ後ろで止まりこう言った。
 
「あれ? 三浦先生じゃない?」
「え? どこ?」
・・・・・・・・・・こそこそ、こそこそ。・・・・・・・・・・
「はあ? 違うって、何言ってるのよ。 三浦先生こんなに太ってないわ!
・・・・・・・・・・こそこそ、こそこそ。・・・・・・・・・・
「え? 何言ってんの? 聞こえな、って、ぶふっ。 だってそれ…。」
・・・・・・・・・・くすくすくす、くすくすくす。・・・・・・・・・・
 
以上だ。
とりあえずトラックが来たら飛び込もうか悩んでいる。
泣きそうだ。
 
エル・プサイ・コングルゥ。
 
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 
お分かりいただけましたか?
じゃあ、ちょっとだけ補足説明をしますね。
 
シュタゲの音楽を止めて、この音楽を流して聞いて下さいね(音量注意)。
お手数をおかけして申し訳ありません。
 
 
こそあど言葉というものがあります。
あれやそれ、これ、どれといったように、物事を抽象的に指し示す際に用いられる言葉です。
これらのうち、ど、という言葉は唯一、質問の接頭語になります。
そして残りのみっつは、おおむね対象が物である場合には、それぞれ対象との距離が、こ・そ・あの順に遠くなっていきます。
つまり、これ、は手に持った状態、それ、は足元にあるもの、あれ、は離れた場所にあるものといった感じです。
今回重要なのは、女子高生が発した『こんなに』という言葉です。
この場合、対象となるものは目の前にある、ということです。
こんなに太ってないという言葉は、目の前の人物に向けられたと考えるのが妥当でしょう。
つまり、私ですね。
じゃあ、いつ泣くの?
 
今でしょ。
 
 
以上、今年死にたくなった出来事の上位にランクインした出来事でした。
 
福島成蹊高校の女子生徒さん。
そういうことは、思うのは勝手ですし、そう思われる私に全責任があるのは分かっています。
ですが、とりあえず本人の後ろ1メートルではっきりと声に出すのはいかがですかね?
せめて私に聞こえない距離まで行ってからでも、遅くなかったのではないですかね?
もう少し人としての節度というものを勉強して欲しいなと思いました。
でないと、数年後に社会に出てから大変だろうなと、おっさんぱ老婆心ながら思うのです。
ごく最近、とある有名なSNSのIDをはじめて取得してみました。
理由は、過去に縛られたままだからというより、どうしても近況を知りたい人がいたからです。
まあ、結果としてはどうやらそこには登録していないらしいということで結論が出たのですが。
 
問題はその後で。
 
プロフィールを登録してすぐ、この人は知り合いではないか的なアナウンスがなされるのですが、確かにその中には過去に自分がかかわってきた人が何人もいました。
そして、ある同級生のページから知り合いをたどっていくと、実にさまざまな人間模様や人生が垣間見えました。
 
結婚と離婚、遠くの地へ転勤、会社の立ち上げ、その他いろいろな悲喜こもごもがあるようでした。
 
でも、みんな、写真の顔が笑っているんですよ。
 
私は、今、きっと昔のように笑えないんです。
 
毎日不幸だと思って生きているわけではないのですが、ただ生きていられるだけの収入があって、呼吸して、動いているだけのように感じたんです、突然。
ためしに鏡の前で笑ってみたら、気持ち悪いんですよ、自分の顔が。
不自然なんです、笑うことに慣れていないんです。
鏡をぶん投げたくなります。
 
同級生の中には、息子が高校生で甲子園を目指しているけど炎天下の中の応援が辛いとか、毎日のように飲み会できついとか、子供が手間がかかるとか、会社の経営は難しいとか、結婚はしていないけど恋愛中だとか、新しいことを始めて自分探しをするだとか、優しい伴侶がいる家庭が素晴らしいだとか。
 
そんな思い出、何も持ってません、私。
ほとんど何も経験していません。
 
私の横には、私が何かを始めようとすると、自分に自信がないせいでそれを憎々しく思い、新しく何かを始めようとするそのやる気そのものを全力で否定してくる妻がいます。
子供ができない原因は確実に自分にあるのに、それを見ないふりをして、母親の「嫌なことは、お祓いすれば何でもうまく行く」という何の根拠もない言葉を鵜呑みにして病院に検査も治療も行かず、それでも子供は欲しいと喚き散らし、だったら病院に行けと言うと発狂して私に物理的な危害を加えてくる。
そもそも、結婚前に自分のせいで子供ができないかもしれないと告白され、病院に行って検査をして、医者から太鼓判をもらってくるのが結婚の条件だったはずだ。
あの時確かに言われた、医者は大丈夫だと言ったと。
しかし、結婚後に聞かされたのは、行われた検査と言うのは2分程度のただの問診だけで、医者に大丈夫だから気に病むなと言われただけだと。
だから、子供ができないのは私の協力がないからだと4年間ずっと攻め続けられています。
 
こんな生活の中で、どうやって笑えと?
 
周りには、良妻だと言い続けない限り、少しでも事実や悪口を言おうものなら私を笑いものにしやがってと騒ぎたて、殴り、蹴り、物を投げ、私が少しでも抵抗すればDVだと騒ぎたて、私の言い分は聞かずに泣き続ける。
酷い時には私が子供の話を始めると激昂して、運転中の私の左手親指を折るように反対に捻じ曲げ、道路の真ん中で思いっきりスピンを起こさせておいて「人殺し!」と叫ぶ。
そして口癖が
 
「私以外のみんなのように、笑って幸せに暮らしたい、世の中でわたしだけが不幸だ、あんたのせいだ。」
 
だと。
それはこっちの台詞だ、そもそも幸せとは何だ、求めるなら最低限の責を果たせ、頼むから。
 
何度言ってもまた同じやり取りが繰り返されます。
ですから、私はSNSから垣間見える知り合いの生活が心から羨ましく感じ、間違ってもこんな私とは関わってほしくないから、絶対にこちらからは友達になってほしいなどとは言えないのです。
それがどれだけ辛いことか、想像できますか?
 
私は今、本気で悔しくて泣きそうです。
 
せめて、家計や店の売り上げなんか気にせずに大学に行っておけば良かった。
行けたんだ、絶対に。
長男だから当然店を継ごうなんて考えなきゃ良かった。
そうしたら、こんな地の底を這うような人生にはならなかったんじゃないか。
心からそう思うのです。
 
自分が最も得意とする言葉の分野を伸ばそうとすることすらも妻に否定され、もうどうすればいいか。
本当に、もうどうすればいいのか。
 
これが、私の心の奥底にたまり続け、今まで誰にも言えなかった暗部です。
私生活でもネットでも、喧嘩はするけどいい夫婦を表現してきましたが、こうして初めて本心を文字に起こしてみて、どれだけ自分も妻も色々な面で間違っているかがよく解りました。
外で降りしきる豪雨のように、どこかにこのどろどろとしたモノを流し去る方法はないものか。
しばらく考えてみようと思います。

トイレ座談会

この話にはトイレの話題が出てきます。
カレーやかりんとうなどを食べながらご覧になっている方はご注意下さい。


会社で、突然の腹痛に襲われました。
とりあえず慌ててトイレに行ったところ、トイレの中におばさん(Fさん)がいました。
間違った! と思いましたが、どう考えてもそこは男性トイレ、間違っているのはFさんでした。
と、冷静に見ると、Fさんは掃除用具を手に持っていました。
なるほど、今週はFさんが掃除当番だったのかということで、とりあえずは納得しました。
ただ、一応掃除中ということで許可を取ってから使わせてもらおうと思いました。

「何だい、トイレかい?」
「うん、ちょっと使いたいんだけど、いい?」
「ああ、いいよいいよ。個室(大)の方は掃除中だけどね。」

その言葉を聞いた瞬間に、頭の中が真っ白になりました。
出所をもう間近に控えたヤツは、すでに出口のドアを激しくノックしてきているのです。

「ああ、そうなんだ…。」

力なくそう答えると、気を利かせてくれたのかFさんはトイレの外へと出て行きました。
しかし私は、大きな用事でここに来ているので、そんな簡単に引き下がるワケにはいかないのです。
気が付けばノックはますます激しくなり、シャバに出たい、シャバに出たいと必死で訴えてきました。
私は恐る恐る個室のドアを開けると、確かに掃除中ではありましたがまだ始めたばかりのようで、私は申し訳なく思いながらも用を足させて貰うことにしました。
ズボンを脱いで、下着を下ろし、便座に腰掛けようとしたとき、そこで聞こえてはいけない音が聞こえました。

「(ガチャッ)何だい、もう終わったのかい? ああ、個室かい?」

個室のドアの外からのFさんの声でした!
Fさん、イズ、カムバックです!

私は現状が全く理解できず、とりあえず

『もう、こんなところに戻ってくるんじゃないぞ。』
『へえ、これからはまっとうに生きていきやす。』

状態だったヤツを、もう一度刑務所の檻の中へと無理やり押し込めました。
そこからの抵抗は凄まじいものでした。
せっかく模範囚で刑期も短くなり、家内と息子が待っているシャバにようやくちょっと出たのに、何でまたこんな暗いトコに戻されなきゃいけないんだ! と、天地がひっくり返ったかのごとく大暴れでした。
とりあえず看守の私はヤツをなだめるのと、現状を理解するのに必死でした。
Fさんは恐らく掃除道具を忘れて取りに戻ってきたんだ、さっき床にたわしが転がっていたじゃないか。
基本的に排泄音は誰にも聞かれたくない私は、便座に腰掛けたまま、あらん限りの力を臀部に結集させつつ、すぐにFさんが出て行ってくれるだろうと願うしかありませんでした。
そこで、聞こえてはいけない音第二弾です。

シャカシャカシャカシャカシャカ…

お前さ、そのたわしで床磨きはじめてんじゃねえよ!(泣)
デリカシーとか、そういったものはどこに落としてきたんだよ!

「F、さん? あの…何て言ったらいいか解らないけど…。」
「ああ、気にしてないからいいよ。」

こっちが気になるんだよ!(大泣)

「いや、音だけじゃなく、においとか、そういうのも俺、気にしちゃうから…。」

そんな言葉を言っている間も、ヤツは絶えず不当収監だ、訴えるぞ、と大騒ぎしています。
もう限界はすぐそこでした。
今ここでヤツをシャバの世界に戻してあげないと、近いうちにまた犯罪を犯してここに戻ってきてしまいます。
そんな私にFさんのひとこと。

「大丈夫だって、私の家なんか畑に肥料として撒いてんだから、そっちの方が超〜臭いよ!」

その言葉を聞いた瞬間に全身の筋肉が緩み、ヤツが看守である私を押しのけて鉄の門扉をぶち破りました!
しかしそれより一瞬だけ早く私はタンクの洗浄コックをひねり、水が流れる音で何とか排泄音は完璧にかき消すことができました。
ヤツは、奥さんが運転してきた迎えの車に急いで乗り込み、すぐにいなくなってしまいました。
しかしその音の向こうで、トーク魂に火の点いたFさんはさっきの話の続き、堆肥を使った農業の有用性についてとうとうと語り始めていました。

私は初めて、有機農法の説明を受けながら、うんこをしました。


なんだか、全く爽快感のないひとときでした。


そしてお昼ご飯のとき、Fさんと同じ列に座っている私は、どうしていいか解らない現実に直面しました。

Fさんから、タッパーに入ったブロッコリーが回ってきたのです。

「食べな。 私の畑で採れたやつだから。」

満面の笑顔のFさん。
周りのみんなは、それは美味しそうにブロッコリーをほおばっています。
私もブロッコリーは大好物なのです。
大好物ですが…。
でも、あの話を聞いた後じゃあなあ…。
食べられないよなあ…(泣)。

かしこい節約家

私のお小遣いは基本給2万円、プラス残業代1時間につき300円という契約で成り立っています。
ここでまたグチらせて貰うと、去年まで、正確にはまだ岩手にいた頃は残業1時間につき500円という契約だったんです。
それが、福島市に引っ越してきたとたんに色々理由を付けられ、1時間当たり200円マイナスされました。
その理由というのが

●嫁は仕事を辞めて福島に行かなきゃいけないから収入が減る

これは解ります。
嫁は辞めたくて仕事を辞めるわけではないので、この言い分は当然でしょう。
で、仕事が見つかって収入が安定するまでの間という条件で私は小遣いの減額を快く了承しました。
そして現在、嫁は新しい仕事に就いてめでたく1年以上が経過しています(良かった、良かった)。
ですが、私の小遣いは固定相場制のままです(泣)。
その理由が

●福島は岩手に比べて物価が高い
●子供が欲しいからお金を貯めなきゃいけない

これは一理あります。
まあ、この程度の理由なら考えてみる価値はあります。
しかし、嫁がイチオシの理由が

●ネットで調べると、基本的に旦那の小遣いは雀の涙程度だから

これが実に厄介で!
私が小遣いに対して不満を漏らすと、もうそれは鬼の首を獲ったようにこの理由を突きつけてきます。
なんなら見てみるか? といわんばかりに自分がお気に入り登録をしている女性のコミュニティーサイトを開いてきます。

「旦那の小遣いは、手取りの1割貰えれば御の字なんだって!」

嬉々として、時として半ギレで私にそう詰め寄ってくる嫁は、すごくイキイキとしています。
結局逆らえずに従うしかないのですが、最近、どうやら嫁がそれ以外に私の小遣いに対して新たな節約に踏み切ったらしいことがわかりました。

私の会社は、ペーパーレスを推進するために給与明細はすべてオンラインで配信されます。
で、そのメールは自動的に嫁のアドレスに転送されるように設定してあり、嫁はその明細を確認して私の小遣いを計算してくれているのです。
で、先日、給与明細が配信された日に嫁に確認しました。

「今月の残業、いくらだった?」
「40時間ぐらいだったね。」
「ん、解ったー。」
「だから、32000円ってトコかな。」
「ん。」

けっこう残業したはずなのに、意外と少なかったな、などと思いつつそのことは忘れていました。
しかし、どうも仕事中に気になり始めまして。
その気になったほんの小さな因子は次第に大きくなり、やがて違和感で頭の中が一杯になってしまったので、私は会社で自分の給与明細を見ることにしました。
そこにはこう書かれていました。

普通残業:40.0時間

良かった、これで疑惑は解消です。
もしかしてピンハネしてるんじゃないかなんて疑ってゴメンな、嫁よ。

とはいきませんでした。

その横に

休日出勤:8.0時間
深夜残業:3.5時間

の文字が!( ̄□ ̄;)!!
なんだって、するってえとこれはアレか、休日出勤と深夜残業は私の小遣いには含まれないってか!?

なんだか、もう愕然として言葉も出ませんでした。

あのさあ、私がどれだけ嫌な思いをしながら毎日遅くまで自分を殺して仕事してるか解るか? 嫁よ。
その唯一の対価・報いがお前が渡してくれるお小遣いなんだ。
しかも、そのお小遣いで食事をごちそうしたりしてるだろ?
それなりに還元はしてるつもりだぞ? 嫁よ。
それを、君は…(笑)。

とりあえず、その次の日にも小遣いの額を聞きましたが、一切価格に動きはありませんでした。
と、いうか、給料日を2日過ぎても小遣いを渡してもくれませんでした。
この際なので、これ、もしかしてかしこい節約術なんじゃないか?
と、思うことにしました(笑)。
でも、一応は問いただしてみたいと思います。
嫁が青龍にならない程度に(笑)。

決して夫婦仲は悪くないウォッチタワー家の出来事でした(笑)。

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『だまされているうちが華?』

タイトル フラッシュバック−隅田川のほとりで(前編)−



今日、仕事中のことでした。
とある光景を目にした瞬間、私の中で不思議な感情というか感覚というか…とにかく何か得体の知れない違和感を覚えました。
すごく思い出したいんだけど思い出したくない、たまらないことなんだけど、痛い?
時間にすればコンマ何秒か、長くても数秒だったと思います。
もう、何か言い表せないそのぼんやりとしたカタマリは、葛藤する私の中で次第にその輪郭をあらわにしてきました。
あ、これって…あれだ。
場所はぜんぜん違うけど、あの日と同じような光景なんだ。
私の頭の中では、完全に記憶を覚醒させたシナプスが大輪の花を咲かせていました。

2003年7月、晴れ渡った東京の空の下、私は、いや、私たちは夜空をにぎわす花火を見上げていました。
お決まりとなった、ビールを片手に…。

ああ、記憶が鮮明に蘇る……………。




その日、私は遅い夕暮れを迎えた隅田川沿いの野球場にいました。
ネット友達に誘われ、隅田川の花火大会を観に、私はわざわざ岩手から500キロ以上の道のりを経てこの浅草までやってきたのでした。
足元には、ビニールシート。
左手には、ほどよく冷えたビール。
そして見渡せば、そのシートの上には10人を軽く超える男女。
頭上では先ほどから、さんざめく波のような轟音を響かせながらビルに反響する音をまといつつ、まぶしいほどの光の競演が繰り広げられていました。

初めて観る、隅田川花火大会。

そのあまりの規模に私はただ呆然と空を眺め、その手の中では、ビールの入ったプラスティックのカップがおびただしい数の水滴をその身からしたたらせていました。

そしてそのカップ越しに、私を見つめる一人の視線がありました。

私は気にするまいと思いつつも、どうしても花火が炸裂したときに見せるその一瞬の輝きにあわせ、その視線の主を見てしまっていました。
私の左側、数えて3人目に座っている、身長150センチほどの小柄な、そしてひどく美しいその女性を。
私と目が合うと、なぜか視線を下にそらしてうつむいてしまうその女性、いつもならただの勘違いで済ますはずなのに、その日は違いました。
何度も何度も、視線が交わるのです。
お酒の勢いも手伝ってか、いつもはこの醜い自分に好意を寄せる女性がいるはずがないとかたくなに心を閉ざしていた自分が、もしかしてこれは勘違いではなく、本気なのではないかというほんの小さな、今にも消え入りそうな自信を心に芽生えさせました。
それからもその小柄で美しい女性と何度も目が合ううちに、やがて私とその女性は、視線を合わせたままになりました。

その女性、隣に座る人から聞いた話ではユカちゃんという名前で(すでにうろ覚え)、今年20歳になったばかりで彼氏とは最近別れたとのことでした。
疑惑と期待というふたつの言葉が、私の喉の奥で少しずつその鎌首をもたげ始めました。

これは、もしかすると。
あれなのか!?
いっちゃうのか、俺!

宴もたけなわの頃、ちょっとした席替えの偶然で私とユカちゃんは隣同士になりました。
先ほどからあれだけ視線が合っていたのに、いざ隣に座ってしまうと逆に視線が合わせられず、二人ともちょっとした挨拶だけであとは黙り込んでしまいました。
なんだろう、この不自然な沈黙。
ひどく切なくて、こんな気持ち、いつ以来だろう。
私には確かに彼女はいるし(現在の嫁・青龍)、申し訳なく思ってもいる。
それなりの道徳観念も持ち合わせているつもりだ。
でも、こんな気持ち、もう、辛いよ…。
と、そんな時間が過ぎ、私達のはるか上空ではその日最後の大輪の花が夜空に溶け出すように滲んで消えました。

「これにて、本日の隅田川花火大会は終了となります。」

球場の四方に設置されたスピーカーから、無機質な声が響きました。
それと同時に割れんばかりの拍手が沸き起こりました。

そしてその瞬間は突然やってきました。

みんなが立ち上がり、それぞれに片づけを始めたその瞬間でした。
ユカちゃんが私の手を突然掴んだのです。
一瞬何が起こったのか解らなかった私は、ただ、その手を握り返すだけしかできませんでした。
ユカちゃんは何かを私に言いたそうに口を動かし、そして、やっぱり言えないという感じで首を振りました。
ここは、私が突破口を作ってあげないといけない。
私は、男だ。
いくら自分が醜くても、女性に対してのその程度の礼儀はわきまえているつもりだ。
私は、思い切って言いました。

「どうしたの? 何か言いたいことがあるなら、言ってごらんよ。」

その瞬間、助けを得たといわんばかりにユカちゃんの顔が輝きました。
そして、何度か口を動かしてから、ようやくか細い声でひとつひとつ、大切に言葉をつぐむように喋り始めました。

「私、今日、ウォッチさんを見たときから、ずっと…言おうと思ってた事があるんです。」

私の身体は、今まで味わったことのないような高揚感でぞくぞくと震えていました。

「何を言いたかったの?」
「でも、ウォッチさんとは今日初めて会ったばかりだし、そんなこと突然言っても…。」
「大丈夫だよ。 俺は、見た目どおり大抵のことは受け止められると思うよ?(笑)」
「初対面の人にこんなこと言ったら、変な女だって思われちゃうし…。」
「人間、誰だって少しぐらいおかしなところはあるさ。」
「でも、恥ずかしくて…。」
「そのおかしなところを自分で解ってあげなきゃ、前には進めないよ。」
「解りました、じゃあ、言いますね。」
「うん。」
「こんなこと、ウォッチさんにしか頼めないんです、聞いて下さいね。」

…ああ、ごめんよたかっち(友達の名前)。
今日は君の家に泊まる予定だったが、どうやらそれは実現できそうにない。
私は、きっとどこか別の屋根の下、この美しい女の子と眠ることになる。
君と久しぶりにゆっくりと話したかったから、この埋め合わせはいつか必ずするよ。
でも、今日だけはこのブサイクの身に舞い降りた奇跡を堪能させておくれ…。

そして私は、次にこの子が何を言おうと「ああ、構わないよ。」という肯定の台詞を言おうと心に決めて、その言葉を口にしました。

「俺にしか頼めないことって、なに?」
「あの、私、ウォッチさんのこと…」




続く





続いちゃうんです、この後。





私、この子にすごいことされちゃうんです。





あんなの、初めてだったんです。





知りたいですか?





一部始終、細大漏らさず書きますよ?





この先、私の身に何が起きようとも大丈夫という覚悟は出来ますか?





覚悟が出来たのなら、どうぞ次の日記にお進み下さい。





素晴らしいショーの始まりです。





続きはこちら→http://blogs.yahoo.co.jp/na_ka_ji/2027820.html

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