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5月に中国へ行ったとき、スーパーマーケットにある本のコーナーで「図説天下 伝説時代・夏・商・西周」という本を見つけて買った。
その一番初めに、三国時代に徐整が著した「三五歴記」の天地開闢についての記述があり、
「まだ混沌と未分化のころ、宇宙は巨大な卵のようであった。音も無く、光も無く、真っ暗な中で盤古という巨人が育っていった。1万8千年が経過して盤古は真っ暗な中での生活に耐えられなくなり巨大な卵を鋭利な斧で割ってでた。中身が全部外に出て、軽く清いものは浮き上がって天になり、重く濁ったものは沈んで地となった。」とある。
今、東アジアの古代史に興味があって、2月ごろだったかに宇治谷孟著「全現代語訳 日本書紀 上」を読んだ。
その冒頭には、
「昔、天と地がまだ分かれず、陰陽の別もまだ生じなかったとき、鶏の卵の中身のように固まっていなかった中に、ほの暗くぼんやりと何かが芽生えを含んでいた。やがてその澄んで明らかなものは、のぼりたなびいて天となり、重く濁ったものは、下を覆い滞って大地となった。」とあった。
どこかに天地開闢が卵と結びついた神話がないだろうか、と思っていたところで三五歴記の記述をみつけ、オオ、大発見だ、と思ったが、すでに読んだことがある井上光貞著「日本の歴史 1 神話から歴史へ」を読みなおしていたら、日本書紀のこの部分は、「中国的な天地剖判(ほうはん)(天地のわかれ)の思想を記したもので、文章も中国の古典「淮南子」や「三五歴記」とそっくりである。」とあった。
ただ、「天地分離神話は、未開農耕民の間で世界的に広がっているものであって、東南アジアにも多く、それは日本神話とも関連しているらしい。」とあり、文章は中国の借り物だが、天地分離神話自体は、それより前からあったらしい。
中国の盤古伝説は長江文明に由来があるようで、天地分離神話は長江文明を源にして東南アジアから日本まで分布する農耕・海洋民である倭族に広がっているようにも思われる。
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