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岩波書店版『ちびくろサンボ』が、4月に瑞雲舎から復刊されるという報道がなされ、ちびくろサンボ論争が再燃しそうです。すでに、私のところへも取材が何件かきています。
論議がすすむこと自体は歓迎ですが、本当に生産的な議論になるか心配な点もありますので、少し問題提起というか、気のついたことを書いてみます。
第1に、ちびくろサンボ論争は、子どもたちに与える絵本をどのように豊かなものにするかという観点からなされるべきであり、人権や言論の自由をめぐって大人の間でなされる血みどろの戦いであってはならないと思います。これは、自分の反省もこめてでありますが、今までは、ややもすると正義の刃を振りかざしての、仁義なき戦いの観がありました。そんな争いを展開して、大人たちは子どもに何を伝えるのでしょうか。「子どもたちよ、喜べ。この屍(しかばね)の上に絵本の大義は守られたぞ!」ですか。あまり、よい風景ではないですよね。
第2に、最低限度の事実関係と過去の論議はふまえてもらいたいと思うのです。取材をされるマスコミの方も、お忙しいとは思いますが、「『ちびくろサンボ』はいつどこで出版されたのですか?」みたいなところから質問するのは、どうかと思います。最小限の勉強はしてから、論争に参加するなり、取材するなりしてもらえませんでしょうか。手前味噌ですが、下記の3点は最低限読んでいただきたいと思います。
(1)ヘレン・バナマン作・絵『ちびくろさんぼのおはなし』(径書房、1999年)
※ オリジナル絵本の忠実な復刻絵本
<http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4770501730/>
(2)径書房編集部編『ちびくろサンボ絶版を考える』(径書房、1990年)
※ ちびくろサンボ論争の事実関係の整理
<http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4770500874/>
(3)灘本昌久『ちびくろサンボよすこやかによみがえれ』
※ さらに詳しい、論争の歴史
<http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4770501714/>
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