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12月28日 パリやっと
27日の成田発夜便でパリまで。80歳を超えて、12時間腰掛けっぱなしというのは、もう無理だなと弱気になる。足の裏(なんで足の裏なんだ)に痙攣がくる。しかし眠れない間、本を読んだ。「酔いがさめたらうちに帰ろう」という映画、アルコール依存に関する映画だというので、この方面の治療の先駆者を名乗るぼくとしては絶対に見ておかねばと思ったのだが、フランスに来るまで、時間が見つからず、残念ながら見られなかった。その代わりに原作の鴨志田穣の同名の文庫本を鞄に入れて来た。戦争写真家という仕事をしていた凄まじいアルコール依存の患者の自伝(といえるのか。ま、そのカテゴリーにしか入らないのだろう)だ。本人は腎臓がんで亡くなってしまっている。
酒が止められずに来て、止め始めたら、腎臓ガンで死んでしまう、悲しい話だ。一気に読ませる筆力がある。
ぼくたちの頃は、アルコール依存の臨床をやりたがる医者がいなかった。今は専門病棟もたくさん出来ているようだが、先輩としては、ここに出てくる医者たちになんといっていいか分からない。今や、アルコール依存の治療がビジネスとして十分に成り立つようになったのだろう。ぼくたちの頃は、だれもやりたがらなかった。だから、ぼくなどが先駆者になってしまったのだが、検査検査検査で金をとって、やたらと注射して、ビジネスになるという現状。これでいいのかね、と思う。ハッピーエンドでは映画にならないだろうが、この親子を、ぼくたちは。ハッピーエンドにしてやらねばいけなかった。
この本を読んだあと、読みかけていた日高六郎氏の「私の憲法体験」を手に取った。ぼくより12歳年長の著者には、何度かパリのお宅を訪ねて、話を伺ったこともあるが、この本からは、これだけは書いておきたいという著者の気迫が伝わってくる。戦争の頃、ぼくは少年だった。ガキっぽいぼくには政治のことなど、まだ理解出来なかった。それでも同じ年齢の軍国少年にくらべれば、ちょっぴり批判精神をもっていたが、著者はそのぼくなど比較にならないほど、すでに明晰な意識を持って、次々と起こる戦後の出来事を体験していたのだ。
老人党の皆さんにも、是非一読をおすすめしたい。ちくまからでている。パリに着くまでに、憲法の男女平等の項に影響を与えた当時GHQで働いていた22歳の女性ベアテ•シロタのところまで読んだ。かれほど、当時の憲法の成立の事情に詳しい人でも、シロタの存在を知ったのが最近らしい。
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