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「落ちてないのよ、降ってるのよ」2011
終わった灰が舞って 足下以下に落ちるのを 見届けるのと同時に 僕の頭上から 降って来てしまっても、 うっかり見惚れて 見下げて見上げて 眩暈がして 目の前が蛍光色に 輝いてしまっても、 決して君は 僕を笑わないだろう。 怖がりもしないだろう。 「out door」2017 帰り際の車の中で、君はもうすっかり忘れていただろう着古してある首元が伸びたTシャツを半年ぶりに返却したら失笑されてさ。よく分からなかったけど、それでも笑ってくれて嬉しくて。 ― その少し前の話し。 タープの下で友達に囲まれている君が、朝ごはんを一人で用意するような音がしたから、朝ごはんもう食べたーって テントの中から布越しに聞いたら、まだだよーって、もぐもぐ食べながら布越しに答えてくれて、一緒に売店まで買いに行こうって言ってくれた。 本当は寝坊したのは君の方。本当は私の面倒なんか見ずに遠くにいて、みんなと元気で楽しくしていて欲しかった。 本当の本心は嘘なのかもしれないけど。 買物に行く短い道の途中で思いが通じてなのか、なんでか分からないけど、あっという間に私と君はそのあと、はぐれてしまった。 ― その少し前の話し。 私たちは簡易なテントやタープの中にいるから、声も音もすごく近くで聞こえるのに届くのに、みんなの姿も君の姿も見えなくて、カラフルでポップでタフなアウトドア素材が簡単に姿ばかりを遮った。ティーシャツを渡すよって私が言っている会話の中で見えていた君の姿は、なぜか実際の距離よりも遥かに遠くて、姿や顔が見えるほど、なおさら遠くいるように感じたの。 ― その少し前の話し。 私は買物に行く途中で、ゴミ捨て場近くに止めて置いた車に、財布とTシャツを取りに行っていたんだけど、その空きスペースには色んな種類の猫が集まっていて、活発でやんちゃで元気な猫が沢山いて、それぞれの動きと顔と声が全部目に飛び込んでくるもんだから、ゴミ捨て場のゴミもブロックも金網も手前の砂利も草も奥の山木も空も君も全部消えちゃって、背景は全部、白色になって、躍動感ある猫のジャンプやダンスだけを空白の空間の中でまじまじと楽しく観ちゃったもんだから、結局、渡すものがあるのと言った自分の声の後は全部、猫以外、なんでもかんでもシャットアウトしていて、ただ、ただ、全神経を、飛び回る猫に向けていて、私はひたすらに嬉々としていました。あの日の私は怖かったのでしょう。 ふと、同じだなと思い出して。メモメモ。 |
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