河童の川流れ

何が何だかワカラナイ!

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50年ぶりに埋もれていた疑問が解けた。子供の頃ふと耳にしたひとつの記憶。酒を飲みながら大人たちが話していたのは離島の奇妙な小さな部落のおぞましい因習のことだった。なかのひとりが仕事がてらの旅の途中で泊めてもらった部落は他の部落とは隔絶孤立した平家の落人部落のようであったそうだ。奇妙な風習があり、クロという言葉を避けること、厠の落とし口が十字に切ってあること、死人が出たら医者にも死体を見せないこと、なぜか大量の血がためられているらしいことなど。当時は汲み取り便所が普通であり、子供でも足を踏み外さないように注意して長四角の切り口を跨いで用を足していた。十字の形に切ってあった場合どこに足を置けばよいのか又、切り口周りの踏み場を支える桟木はどうなっているのか、子供心に大いに疑問であり、この疑問は解けないままに記憶の底に漂っていたのである。50年間忘れずに残っていたということはその島に関して想う時どきに奇妙なその部落を思い出し、次いでこの疑問が浮かんでは沈みを繰り返していたのだろう。
最近、新聞の連載に島の文学を歩くとかいう特集記事があり、この離島の奇妙な部落の話が出ていた。堀田善衛の鬼無鬼島という本があるということを知り、早速取り寄せて読んでみた。わかったことのなかに厠の落とし口の形があった。十字形ではなく、普通の長方形であるが、向きが当時の他の一般的な便所とは違っていたというのだ。普通の便所では戸を開くと片足を上げて跨ぐように長手方向が戸と平行になっている、クロ部落では戸と直角に口が伸びていて、入ったときそのまま前へ進んで尻を落とすようになっているということである。ヨイショと跨ぐことなく(英語いうCROSSすることなく)用が足せる、不浄の場でクロス(十字)を切らないためという作り話のような説明があった。あ〜これなら納得がいく、50年ぶりの疑問が氷解したのである。小さな出来事だが自分的にはうれしい瞬間であった。
 鬼無鬼島が発行されたのが私の子供の頃と一致しているところから、その奇妙な因習の部落は実在していて近隣の噂話として当時語られていたのは事実だろう、しかし、多分に誇張され面白おかしく脚色された面があったことは間違いない。なぜならコムニケーションが閉ざされた世界では間々あることである。親兄弟同士でもコムニケーションが不足すると誇大なあるいは被害妄想的な脚色話に踊らされるのは誰もが心当たりのあることだろう。

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