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包丁研ぎ

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包丁の選び方の一面

先日伝統工芸スクエアにいって堺の包丁を見てきました。ここでの展示は作者名がはいっているものも多いのでいろいろと参考になります。また伝統工芸士のかたとお話も出来ます。
みただけでは熱処理の具合などはわかりませんが、外見だけでも分かることもいろいろと有ります。堺なので和包丁として考えると、まず刃。
刃については曲がりの具合、刃線の形状、切刃の形状/鎬筋、峰の厚み、テーパーのつきかた。
裏の処理/形状、平の形状、
まちの処理、峰の処理
重量バランス

さらに最近重要視しているのが柄のすげかた。位置(高さ)、刃と柄の回転角度、刃と柄の曲がり。
これらによって使った時の感覚が随分かわってきます。

なかなか完璧なものはないので、いろいろ手に取ってみると良いと思います。

包丁のカエリ 押しと引き


予告からずいぶん時間がたちお待たせしました。久々の包丁研ぎの記事となります。
今回はグローバルの包丁で研ぎ方によるカエリの出方を観察しました。
グローバルの包丁はCROMOVA ステンレス製でありクローム、モリブデン、バナジウムなどが混ざっています。この包丁で切れ味を出そうと今まで何度も挑戦してきましたが、なかなか思うような結果が出ず何度も諦めかけています。世間ではステンレスの場合はあまり番手をあげずに終わったほうが良いという話もよくあります。というのもこれまで何度も紹介していますが、高番手およそ4000番ぐらいを超えてくると刃先にカエリが巻き付いたような格好になってしまい、これを落とすことができなくなります。一旦こうなってしまうとあの手この手を試すも難しく、何度も泥沼にはいっています。

そんな中で今回はようやく鋼の包丁に匹敵するかという切れ味を感じたので報告します。

以下表記 
F10 表側 対物レンズ倍率 10x 
F60 表側 対物レンズ倍率 60x 
B10 裏側 対物レンズ倍率 10x 
B60 裏側 対物レンズ倍率 60x 

1000番で往復研ぎ、砥石に対して刃線の角度は45−60度、刃先の角度は測っていませんが、片面で15から20度程度で研いだ状態

表を研いだ状態
B10 裏の刃先にカエリが見えると思います。
イメージ 1
B60 拡大 カエリがめくれ上がっています。めくれ上がった先に焦点を当てているので研ぎ筋は見えません。
イメージ 2

裏を1000番で研いで表を観察
F10
イメージ 3
F60
イメージ 4

番手をあげて研いだ状態 表を天然新田で刃線に平行に研いだ
F10
イメージ 5
F60 刃先がツルツルに丸まっている。平行にといで刃先のカエリをとろうとしましたが結果的には丸まりました。
イメージ 6

B10
イメージ 7
B10
イメージ 8
B60 1000番より薄く小さいが裏にカエリがめくれ上がっている
イメージ 9

極妙6000で往復させずに引きだけで研ぐ。引きだけで研ぐことによってカエリがめくれあがらずは先に伸びてきます。うまくすればこの段階で取れます。
F10 刃先にカエリがまばらに見える
イメージ 10
F60 拡大 ちぎれかかっている様子
イメージ 11
イメージ 12
イメージ 13

F10 うろこ取りで刃先をなでる
イメージ 14
F60 取り切れていない
イメージ 15
F10 うろこ取りで再挑戦
イメージ 16
F60 ゴミが付着
イメージ 17
F60 薄いカエリが残っている。うろこ取りでもダイヤ面を使うとまたカエリを作ってしまうので工夫が必要。
イメージ 18

F10 うろこ取りのダイヤ面ではあらたなカエリがでるのでそれをうろこ取りのスポンジで除去。薄いカエリを繊維質/多孔質で引っ掛けてちぎる。
イメージ 19
F60 カエリがとれた
イメージ 20
B10 うろこ取りの傷がクロスについている
イメージ 21
B60 カエリはとれている
イメージ 22

この状態でかなり切れ味は上がりました。
紙はもちろん、梱包材も。2L水のペットボトルも試してみましたが切れました。

ようやくという感じですが、あらためてこのステンレスの刃先に鋸歯を形成するのは難しく、
刃先の処理に手間がかかります。

注 ここで押し引きと言っているのは刃先と砥石の関係で言っています。刃先が突っ込むのが押しで、その逆を引きと言っています。鉋の向きで考えてください。刃を自分に向けて研ぐ場合は手の動きは逆になりますが刃の進む方向で見てください。混同させてすみません。

ステン包丁とぎ

イメージ 1

包丁研ぎ依頼がありました。家族のかたが研がれていたようですが、比べてみたいといわれてしまったのでなんとか切れ味を出そうと四苦八苦でした。

ものは、ヘンケルスの牛刀と三徳どちらも似たようなものとおもいましたが、三徳のほうが若干柔らかく感じ研ぎ上がりは牛刀のほうが若干よかったようです。

いままでも、ヘンケルスのこのグレードのものは何度も研いだ気がしますが、安物というイメージもあり、あまり真剣に取り組んでおらずなかなかこれぞという切れ味は実現できていませんでした。

写真の一枚でものせておかないと思うのでのせておきますが、正直側面は全然触っていないので見栄えの悪いままです。だれかが研いだあとが残っています。

たかだか、この刃先を研ぐだけで数時間かけてしまいました。(まあ、刃線修正や刃こぼれだらけの修正も含まれていますが。。)

ともかくこの手のステンレスについてちまたでいわれているのは高番手で研ぐと切れない/すべるという問題です。その理由はカエリが残っている(張り付いている)からというのは顕微鏡で何度も確認しています。問題はこれをどうやってとるかということです。炭素鋼向けのカエリ取り方法は残念ながらこの手のステンレス包丁にはあまり有効でないことも多いです。新聞紙でなぶるとか、コルクを切るとかやってもあまりとれません。

かつて、メラミンスポンジでの除去もやってみて紹介しました。確かにうまくいくと良いのですが、とれる条件が結構限定されます。それはカエリが大きすぎても、小さすぎても(うすすぎても)とれないのです。大きすぎる場合はスポンジが負けてしまいますし、薄い場合にはやはり残ってしまいます。

最近はダイヤモンドうろことりを使っています。これは、要するにダイヤモンド砥石をスポンジに貼付けたもので高番手ですが研磨力もあります。ありすぎるともいえるのですが。
なんでもかんでもうろことりでいけるかと、そういう訳でもなく、結局うろことりそのものがカエリを出すので、砥石での研ぎの段階での処理が結果に大きく影響します。

ステン包丁で切れ味を求める場合にカエリ取りが重要なことは書きましたが、それと同時にカカリを出すことが求められます。単に鋭さだけを追求して刃線の揺らぎまで消してしまうと、食材によっては滑る感覚が強くなります。良くテストする食材の中では人参が分かりやすいです。人参の上で刃線をスライドさせたとき切れ込んでいくかそのまま滑っていくか明確な違いが出ます。

今回切れ味のテストには4種類のテストをしました。
紙、梱包材、ミニトマト、人参。
切る対象によって研ぎに関しての検査項目が変わってきます。
紙をきると刃先の滑らかさや欠けの存在などがよくわかります。
梱包材でカカリの様子をみていたのですが、テストとしてはどうも易しすぎるようです。ただ硬めの繊維質で構成されているので何回かきることであるサイズのカエリ除去効果はあるようです。
ミニトマトは皮へのかかかり/きれこみがわかり、つぶれずにトマトをスライスできるかどうかがポイント。人参はこれらの中では硬めの対象で包丁を挟み込む力もそれなりに強くかかります。したがって、刃の抜け、カカリ、鋭さが総合的に試されます。結論をいえば、人参のテストにパスすればおおむね良いと思うのですが、かならず用意できるかというのも分からないので、あいかわらずテストに適した人工物も探しています。

こんな感じで、研いで、観察、テストのセットを繰り返した結果、ヘンケルスとしてはもっとも切れ味が出せたのではと思っています。

使用砥石
PA220 水平君 (刃線形成)
シルバー1000 (肉抜き)
ベスター2000 
酔心4000 
極妙2000
極妙6000
ダイヤ500

結果が良かったのは、一通り4000で仕上げた上で、極妙2000+三河白名倉で両面研ぎ、裏面だけ極妙6000で仕上げて、うろことりで刃先を整えるというのが今回の仕上げでした。

極妙についての補足

スエヒロ砥石に極妙シリーズがあります。これはこれまでの砥石の感覚はかなりことなるタイプのものです。自分が使っているのは張り合わせタイプの龍というモデルです。番手でいえば2000と6000です。特徴はほとんど砥粒が出てこないということです。その結果硬質な感覚であったり滑る感覚があります。それで研げないかというとそうでもなく、単体で研げばきらりと光る仕上げになっていき、黒い汁もでてきます。砥石でありながらかなり固定砥粒で研ぐ要素が強いです。固定砥粒に対して遊離砥粒があり、泥が出るタイプは遊離砥粒効果が強くなります。同じ砥粒サイズでも固定砥粒のほうがベースに埋まっているので傷は浅めで光る感じに、一方で遊離砥粒がきけば、梨子地/曇りになっていきます。

極妙単体では砥粒がほとんどでてこないので、減りも少ないです。ここに、天然砥粒をあわせてやるとなかなか興味深い挙動をしめします。この組み合わせはバラさんに教えてもらいました。
今回は、テストの意味も込めて削ろう会で手に入れた白名倉を使ってみました。
天然砥粒には破砕性もあるので研いでいく過程で細かくなっていきます。これらの砥粒をからめてやることで、刃先のカエリもとれやすくなります。その理由は、不均一な砥粒が介在することで、不均一な傷がつき刃線に適当な揺らぎを生じるのと刃先そのものにぶつかることでカエリがとれやすくなると思います。これらは推測です。
最近研いでいないので頭で考えたことだけです。

過去にも鋼材と切れの話とかも書いたかもしれません。そして改めて考え直しています。
具体的には白三と白二でどちらが切れるかというところを基点にです。ベースは包丁です。

切られる立場で考えた時、相手の鋼材がなんであるかを気にするだろうかと。自分がいま白三で切られているか、白二で切られているかわかるだろうか。組成的にはわずかな炭素量の違いとその他微量元素の違いです。さらに違うといえば熱処理がちがえば硬度や組織も違います。そういいだすと全然違うではないかというみかたもありますが、自分がマグロの柵だとして相手の硬度はとてつもなく自分の組織よりは硬い訳で、その違いなぞ分からないのではないかという気になってきました。

では、何が違うのかというと、やはり形ではないかというのが今回の仮説のポイントです。
ここでいう形は、マクロミクロふくめた形で、刃先までの形状を含みます。つまり完全に同じ形状ならばHRCで2−3違っても分からないのではないかということです。へたしたら5くらい違っても。

形をつくるのは、刃付けと研ぎなので、このポイントで全く同じにできたらその差を感じるのは極めて難しいと思います。ただし、現実には硬度がちがったり、鋼材が違うことによって刃先形状に差がでてくるため切れ味に差が出るのではという考えです。研ぎ方を同じにしても同じ刃先になるとは限りません。同じ砥石をつかったからといって同じ刃先になるわけでもありません。その差が研ぎの差になってあらわれ切れ味の差として感じられるように思います。

包丁では、全体形状の差、刃線形状、そり、重さ、重量バランス、厚みなどマクロ的な形状も極めて重要でこれらも切れの差として感じる要素になります。

ならば鋼材なんて気にしなくても良いのかというと、それは研ぎ易さであったり、刃持ち、耐摩耗性、耐衝撃性に係わってくるので実際の使い勝手の上では効いてくるように思います。

大工道具の場合は包丁よりもかなり短い時間でその効果が試されるため特に気にされると思っています。

以上、頭で考えたことを書いておきました。

ちょっと包丁研ぎ

なかなか時間がとれず研いでいませんでした。

帰宅後も研ぐ気力ももてずに今にいたっていましたが、少しストレス解消になるかと重い腰をあげて自宅の包丁を研ぎました。随分ほったらかしになっていたのでステンの数本はどれも切れなくなってきてしばらく使ってなかった有次の平常一品をだして使ってました。さすがに研いである鋼三層の切れ味はステンにくらべるとだいぶ違います。

鋼の包丁も研ぎたては錆びやすいですが少しおいてからだと錆びにくいように思います。

ところで筋引きって初期はしなるし使いにくいなあと思っていたのですが、ケーキや羊羹などを切る時等重宝する場面があります。本来の使い方ではありませんが、まあお許しを。

相変わらずステンの研ぎについてはまだこれだというところまでいきませんが、深追いするとおわらなくなりそうだったので適当に天然砥石を使って済ませました。丸尾山天上戸前で、初期に購入したものですけど癖も強くなく使いやすいと思います。

久々に研いだ証に書いておきました。

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