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皆様ご無沙汰しております。 なかなか公私ともどもハードな状況です。もうすぐ家族が増えそうな状況で、部屋の簡易リフォーム、模様替え、荷物の整理と移動。。 仕事は仕事で、、。 という状況で研ぎ関連がすすまないのですが、先に記事をかこうとおもっていたことを書いてみます。 これまで、顕微鏡による研ぎ画像をみてきましたが、およそパターンという傾向は見えてきました。それは、砥石の番手によるものや、遊離砥粒主体で研がれる場合、固定砥粒主体で研がれる場合など。また、そこから鏡面化される時の様子など、興味深い写真もありました。 当初は、研ぎのミクロ画像を観察することでどのように研いだら良いのかというのを知るのが目的でした。当初は、カエリの有無という基本的なところを見ていました。このことは、未だに課題としては残っています。平面が研磨研削される状態は確かに砥石の番手(つまり含まれる砥粒サイズ)などでおよそ決まってくるのですが、目的である刃物研ぎにおいては、その先端がどのようになるのかが重要です。 観察をしていると見えてきたのは、刃物によって先端がぽきぽきとちぎれていくパターンと、グニャグニャカエリが出てくるパターン、またその中間で、カエリがポイントであることはかわりませんが、そのカエリのでかたと切れかた(ちぎれかた)やとれかたというのが、鋼材や熱処理によって変わってくるということがわかりました。 一般にステンレスの刃物はカエリがねばりつく傾向にあり、とくに高番手(4000番以上)でできたカエリはなかなかとれないものが多いです。こうなると、仕上げ砥でといでも全然切れないという状況になり、ステンレスは研いでも研げないというコメントがあったのかと思います。最終的にステンレスの刃物でも、それなりの硬度がでているものであれば、カエリさえとれれば十分なきれかたをするものもあります。 最近までステンレスはほとんどそういうものかと思っていたのですが、なかにはステンレスであっても、先端がぱきぱきとこぼれるようなタイプのものもあることがわかり、カエリ除去にそれほどなやまなくても研げるタイプもあります。 先にも書きましたが、では顕微鏡でみて先端が鋭くなっていれば、切れるのかというと、必ずしもそうでもない状況もあり、というより、使用時における刃先の挙動というのは単に研いだ刃先をみただけでは分からず、綺麗にとげたとおもっても、実際つかおうとすると、すぐに刃先がよれてしまって使えないこともありました。このような経験で刃先の最終角度というのも重要だと再認識しました。理屈では鋭角にとがれていれば、よく切れるのかというとそうでもなく強度が、対象にあわせて十分でないと、刃先によれやこぼれが発生し結局刃物として機能しません。現時点での自分の感想では、最終刃角20度以下というのは極めて弱く、鋼といえどもあっというまにダメージを受けるものとおもいます。鉋、小刀、包丁、剃刀どれにも当てはまると思っています。唯一の例外に近いのが岩崎玉鋼の剃刀で、これだけが鋭角な刃付けでも刃物として機能しています。 ただ、岩崎玉鋼といっても厳密には個体差もあるようなので(個体差があることは刃物の見方でも書かれています。)自分の手元にあるものがどのようなものなのかは分かりません。たまたまあたりなのか、好みなのかだけなのかもしれません。 人間のセンサーとは結構敏感なもので、砥石を変えたり、刃物を変えたりして研げばどれも研ぎ味が違うものと感じます。鋼材の違い等も同じ砥石で研いでみれば結構違うものと感じます。ところが、顕微鏡写真でとぎあがりだけをみても、特に鏡面かして刃先をそろえてしまえば鋼材が何であったかというのを判断するのは難しくなります。研ぎ手が感じるものと、観察者が見えるものというのも必ずしも一致しないと思ったことです。そしてもう一つ重要なのは、切れ味(切れ感)です。実際にユーザーが最終的に感じるのはこの部分であり、ここを評価します。最終性能がよければ、やはり満足度も高くなります。その実現には、刃物としてのポテンシャル(鋼材や熱処理、当然バランス等も)があって、研ぎが目的にあっていて、そして使い手が適切につかったときに良い結果が得られるものとおもいます。 上記の3つの情報(刃物、研ぎ、使い)が最終結果を高めるためには必要なことと考えています。研ぎに興味を持ち始めた時に、鋼材の違いを研ぎでカバーできるのかというのを一つの課題に始めました。当時は研げば切れ味が上がることに感動し、どんどん研いでました。その違いが分かるようになったら、上級の鋼に挑戦をしてもよいのではと考えていました。幸いにもいろいろは刃物を研がせていただく機会を得て、いろいろ研いできましたが、ようやく鋼材の違いが研ぎにあらわれてくるようになったと思っています。 課題は、研ぎによる刃先先端の挙動にうつってきていて、違いは見えてきていますが、どうしたら良いのかという答えはまだわかりません。そして次に重要なのは刃物の製造過程における情報と思っていて、鋼材の情報や熱処理の情報も含めての評価が重要だと思っています。 以上簡単ですが、観察だけでは鋼材の判定が難しく感じている理由と最近考えていることを書きました。
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砥石/研ぎ
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別方面よりおかりしていた砥石がまだあります。 人造についてはシャプトンガラス砥石10000, と30000 ガラス砥石10000 10x 鏡面化がすすみますが、線状痕が残ります。 60x ガラス砥石30000 10x 違いがよくわかりません。部分的には鏡面に見えますが、もとの傷が深いせいか効果が不明 60x 平行研ぎで確認 10x 並行の傷は斜めの傷よりは浅そう。 60x エビ10000 傷は浅くなっている 10x 60x エビ12000 違いは分かりにくいがさらに浅くなっているように見える。ただもとの線状痕がきえるところまで研げていないので分かりにくい。 10x 60x 奥殿 ガラス砥石とともにおかりしたもの。筋があるのでよけて研いだ。研ぎ感は別の奥殿と似た感触。 黒い砥汁で研ぎ面に曇りがでてくる。 10x 60x 感想 ガラス砥石の難しさは平面管理にあるように思う。吸水による変化が結構あるのでどの状態で平面だしをするかがポイントとなる。吸水時間を決めた上で安定して平面出しをすることができればもっと結果は良くなるだろう。実際使い始めで水をかけた状態からスタートして一度平面出しをして一通り面をなぞってとぎ、顕微鏡観察後(5−10分後?)にさわると、もう面が変わっている状況。借りた時点で若干の亀甲模様がでてる。 これまで使ってみた高番手の砥石はいずれも似たような特性がある。エビ12000、超セラ5000、極妙20000など。高番手でありながら気泡率を確保できる製法があれば面白いのではないかと思いました。
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10x スケール1目盛り100μm撮影視野いっぱいでよこ約2.3mm 10x 縦方向は少し切れて約1.65mm 60x スケール1目盛り10μm 横 約380μm 縦 約275μm 20x 横約1.1mm 縦 約780μm 100x 横約225μm 縦約150μm 丸い視野で写っているものはこのスケールです。四角い視野のスケールは以前に投稿済み。
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友人家族の包丁研ぎ依頼がありました。(時間が無くて写真がありません。) 木屋の菜切りとステンの三徳でした。木屋のほうは、販売時のものとおもわれる切刃の傷が残った状態でしたが、さすがにしっかりしています。切刃も含めてぴしっと研ぎたかったのですが、なかなか手強そうなので刃先中心の研ぎにしました。元は鍛接痕がどこだか見えない状態でしたが、それらは見える形に研ぎました。 ステンの三徳はご自身でとがれていて、刃線が歪みまな板にあたらないくぼみができていたので、刃線を整えるところからです。 使用/試用砥石 C120、GC240、C700 ベスター1200、焼結ダイヤ1000、スエヒロデバド龍極妙面2000、6000 柔らかい鋼材なのでぴしっと研ぐのが難しいです。仕上げ砥で刃先がまるまるので、表1200裏6000というのを試したのですが、今ひとつすっきりしませんでした。メラミンでのカエリ除去もしましたが、まだとり切れていないところがあります。そこで、表をダイヤ1000でとぎ、裏を平行研ぎに近い形で6000で研ぎそのカエリをメラミンでとって対処しました。顕微鏡で見ると刃先にカエリの微妙なちぎれ痕が見られますが、これで使ってもらいます。梱包材が切れるのは確認しました。 やはり柔らかいステン素材は研ぎにくいです。
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仁淀の小鮎さんから沢山砥石をおかりして、感じたこと等を書いてみます。 天然砥石もいろいろ触ってみるとある程度の特徴的な傾向が見えてきます。 天然砥石は研磨剤としての素材はケイ素(実際にはSiO2)が基本となると思います。ですので、残る 砥石の要素としては、砥粒のサイズ、砥石の硬さが大きなものになるでしょう。一般的に仕上げ砥石に分類されるものであれば、砥粒のサイズは極端に異なるものではないと思います。幅はあると思いますが、人造砥石でいえば4000から6000番程度かと思います。ならばみな同じかというとそうでもなく、仕上がりには幅があります。 硬さが大きな要素ではありますが、硬さとはなにかというと、粒の硬さというよりは砥粒がどの程度脱落しやすいか(しにくいか)という意味が強いでしょう。硬いものはなかなか砥粒が脱落しない、つまり泥がでないということになり、脱落しやすいものはよく泥がでるので遊離砥粒も十分に供給されるので研ぎやすく、研ぐスピードも高い。しかしながら、つねに砥粒が供給される状況なので研がれている面の傷の大きさはもともとの砥粒サイズに近いものになります。 硬い砥石は、なかなか砥粒が脱落しないので、生じた泥を保ちながら研ぐ場合は遊離砥粒が破砕していきどんどん細かくなっていき、結果的に高い番手で研いだのとにたような効果が生まれます。ただ細かくなるのは遊離砥粒成分と考えられ、もともと細かい砥粒を固めた人造砥石とは特性が異なります。 また硬い砥石で脱落が少ない場合で表面を別の砥石(人造/天然)ですりあわせると、砥粒の角が研磨され結果的に平面度の高い状態が出来ます。これを定盤として、別の細かい砥粒を組み合わせて研げば鏡面度の高い状態が作れます。 一方で、名倉を用いて粗めの砥粒を付加して研げばミクロには梨子地の様子になり見た目には曇った状態になります。 砥石によってこの硬さのバランスがあり、研ぎかたもあわせて仕上がりが変わってきます。同じ天然砥石をつかっても研ぎかたや刃物の違いによって仕上がりがかわってくるのは上記のことをベースに考察できるとおもいます。 また、砥石によってはベースの砥粒いがいにも別の粒がまざっていることもあり、それが研ぎ味にも影響してくるようです。顕微鏡で見ると少し大きめの黒い粒や鉄?の茶色い成分などもあります。 これらが泥(研磨剤)のなかに混ざり込むことによって仕上がりに影響します。 曇るか傷がつくか鏡面になるかというのは研ぐ面積の違いによって研磨面にかかる圧力が極端にかわることも影響します。剃刀なのか、包丁なのか、鉋なのかでも随分と印象はかわります。 もちろん細かくいえば沢山の傾向はあり、たとえば研ぎ汁が少ない割に黒い研ぎ汁でよく研げるものもあったり、妙に突っ張るものがあったりします。 いろいろ試してみた結果、研ぎ面の仕上がりの傾向はつかめてきましたが、実際刃物を研ぐというかんてんからいうと重要なところの考察が必要です。それは刃先の挙動です。 本当に知りたいのは、化粧研ぎを目標としているなら上記のことで良いのかもしれませんが、切れ味に着目するなら、刃先の挙動が気になります。これについてはこれまでの観察で見えてきていることはありますがまだ整理が不十分です。 要素としては、鋼の種類、熱処理の違い、刃角の違い、研ぎかた(表と裏の割合)、研ぐ方向、圧力などかなりパラメータが多く、個別の要素の違いを議論するだけの材料が足りていません。 鋼の種類によって特性が異なるのは当然ですが、熱処理によってもかなり幅があるので、手元にある刃物がどのような熱処理で作られたものなのかは決定的なことがわかりません。組織を観察することでみえることもありますがそれ以外にも見えない要素は多いです。 単純に分類すれば、刃先がこぼれるパターンとカエリになるパターンがあります。ほどよくカエリがおちて研ぎやすいのもあれば、細かい砥石でとぐと刃先にカエリがまとわりつくようなものもあります。 また刃先の挙動として、刃線が揺れやすいもの、ぎざぎざになるもの、上下に暴れるもの(のこのアサリのようなイメージ)などあります。これらの挙動も研ぎかたで調整できるものもありますが、鋼/熱処理由来でなかなか克服できないものもあります。刃物の種類によっていろいろなフィードバックをうけて使い方にあわせた特性が実現されていると思います。これらのことは引き続き調べていこうと思います。 改めて、貴重な砥石を貸していただいた仁淀の小鮎さんに感謝したいと思います。
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