無題
神は多くの恵みで報われた(5)
次女はその日の夕方、手術室に入った。
私は、ICUの外の廊下で椅子にかけ、ヒルティの『眠られぬ夜のために』を読みながら、ひとり待ち続けた。
1時間が過ぎ、2時間が過ぎても娘は戻ってこなかった。
妻と息子から、何度も問い合わせのメールが来たが、「まだ待っている」と答えるしかなかった。
4〜5人のスタッフが取り巻いたベッドが、手術室の方からやって来た。
椅子から立ち上がってベッドに寝ている人を確かめると、娘ではなかった。
次のベッドも、その次のベッドも違っていた。
何かあったのではないかと不安がよぎる。何かあったのなら連絡があるはずだと、不安を打ち消す。
見慣れた背の高い、スキンヘッドの執刀医が付き添ったベッドがついに現われ、近づいてきた。
「無事おわりました。
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