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日本三大奇書

何故かは知らないけど、人々はある物事や人物などについて
その代表的なモノを「三大○○」とか呼んでありがたがる傾向にありますな。
「世界三大珍味」とか「世界三大美女」とか「世界三大がっかり」とか…
「四大○○」ってのも聞くけど、数でいえば「三大○○」のほうが圧倒的に多いような気がします。

何故でしょうか?

どうでもいいです。

どうでもいいんですけど、今日は「日本探偵小説三大奇書」について、ありがたがってみようと思います。
探偵小説という言葉は現代ではあまり耳にしませんが、推理小説のことを昔はそう呼んでいたそうな。
個人的には、推理小説の類はそれほど好きでもなく、したがってたくさん読んでいるわけでもないのですが。
「奇書」って言われるとなんか気になります。
「三大奇書」というくらいだから、そりゃあもう相当ヘンテコな小説なのでしょう。
なのでしょう…って読んでないみたいですけど、実は読みました。
ひとつはずいぶん昔に読んでいたのだけど、残りの二つを最近やっと読み終えたのです。

いやあ、どれもヘンテコでした。

で、その三大ヘンテコ探偵小説とは…

夢野久作 『ドグラ・マグラ』
小栗虫太郎『黒死館殺人事件』
中井英夫 『虚無への供物』

この三作が「三大奇書」なんだそうです。誰が決めたのかは知りませんが。

『ドグラ・マグラ』


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「胎児よ 胎児よ 何故踊る 母親の心がわかって 恐ろしいのか」

<あらすじ>
ある日、精神病院の独房で目が覚めた青年。自分は何者なのか?何故ここにいるのか?
まったく記憶がない。なんか知らんが隣の房からは美少女に呼びかけられる。
やがて現れた博士から知らされた事実。かつて起きた凄惨な事件。とある教授の壮大な実験と自殺。
狂人の解放治療とは何か?教授は何故自殺したのか?
事件に関わっているらしい呉一郎とは何者か?モヨコという名のあの美少女は誰?
自分は呉一郎なのか?自分は殺人犯なのか…?

「本書を読破した者は、必ず一度は精神に異常を来す」との凄まじいキャッチコピーで有名な本作ですが、
僕自身は幸いなことに未だ異常を来たしておりません。
いや、もしかしたら…気付かないうちに…

まあどうでもいいです。

舞台が精神病院で主人公が心因性記憶喪失かつ狂人ってだけですでに混乱しそうですが、
小説の途中で挿入される膨大な数(ページ数)の論文やら新聞記事(もちろん創作だけど)、
果てはチャカポコチャカポコうるさい「キチガイ地獄外道祭文」が延々と続くに至っては
思わず催眠術にかかりそうになってしまいましたが、
それを乗り越えた後半はもう、異様な作品世界にどっぷりとのめり込みました。
別の意味で催眠術にかけられたような…読了後もモヤモヤ〜っとしたものが残ります。

ちなみに当ブログの映画記事の一発目が映画版『ドグラ・マグラ』でしたが、
今となってはどうでもいいです。



『黒死館殺人事件』


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<あらすじ>
呪われた血族・降矢木一族のために建てられた「黒死館」と呼ばれる郊外の不気味な洋館。
ある日、黒死館に住む謎の弦楽四重奏団のうちの一人が奇怪な死を遂げた!
早速、黒死館に乗り込んで事件を捜査する探偵(実は弁護士)法水鱗太郎とその仲間たち!
しかし館内で次々と起こる、そりゃあり得ないだろっ的な惨劇!そして歩き回る自動人形!
この連続事件は、かつて自殺した当主の呪いなのか?犯人は実在するのか?
古代・中世西洋史から神秘思想・占星術・異端神学・宗教学・文学・哲学・物理学・医学・薬学・
紋章学・音響学・心理学・犯罪学・暗号学などを駆使した法水の驚異的な推理が爆発する!

「三大奇書」の中でもこの作品が一番、読むのがしんどかったです。
不気味な洋館が舞台の殺人事件、といえばまあ推理小説にありきたりの設定ですが、
この『黒死館殺人事件』を「奇書」たらしめている最大の要因は、
なんといっても主人公・法水鱗太郎の異常なまでの衒学趣味的な推理方法にあります。

普通、事件が起こると、捜査する側は指紋や遺留品・凶器やら現実的な証拠を基に
被害者の人間関係やら、容疑者となる人間の動機やらアリバイやらを探っていくわけですが、
この法水ときたら!そんなものは適当にあしらっておいて

「ところで誰それの何ちゃらという本にはこう書いてある。うんたらかんたら…」

と、延々と何ページも神秘思想やら占星術やら(以下略)について自分の博識をひけらかすのです。
困ったことに物語中のほとんどがそういったウンチクで占められています。
しかもそのウンチクが事件にどう関係するのかサッパリわからないのは僕だけでしょうか?

まったくついていけません。

しかしいちいち考え込むことをやめて、法水のKYっぷりを楽しむことにして読み進めると
意外と面白かったりして。こんな読み方は邪道でしょうか?




『虚無への供物』


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<あらすじ>
歴代の人物がことごとく変死を遂げているという、呪われた一族・氷沼家。
その氷沼家で事件が発生!一族の一人が、風呂場で死んだのだ。
現場は完全な密室で、死因については心臓発作によるものだと判明するが、
遺体に残る妖しげな鞭の痕…これは事故に見せかけた殺人ではないのか?
現場に居合わせた主人公や探偵好きのシャンソン歌手らによる推理合戦が始まった!
しかし彼らの推理も虚しく、密室の中の犠牲者は増え続けるのだった…

「三大奇書」の中ではこれが一番読みやすかったです。

はじめのほうで書いたけど個人的に推理小説をそれほど好きでない理由は、
この手のものが密室トリックなどの「ゲーム的」な要素に重点を置くあまり、
罪を犯す心理などの人間の内的要素が軽んじられる傾向がしばしば見受けられたりするからです。
例えば、僕は日本の探偵小説の祖ともいわれる江戸川乱歩の作品は好きです。
しかし明智小五郎が犯人のトリックを鮮やかに解決したりする様子はパズルゲーム感覚で
めちゃめちゃ面白かったりもするけれど、それでもどうも違和感を拭えません。

人殺しをゲームのように扱ってよいものか?

まあエンターテイメントにそこまで目くじらを立てなくてもよいのかもしれませんが、
この『虚無への供物』はそんな僕の違和感をスッキリ解消してくれました。
基本的に密室トリックに挑む主人公たちの推理で進行する物語なのですが、結末は…
むむむっと唸らされました。

この作品は推理小説であるにもかかわらず、推理小説であることを拒否するスタイルをとっています。
著者いわく「反推理小説=アンチ・ミステリー」だそうです。その辺が「奇書」たる所以なんでしょうか。
推理小説好きの人にはボロクソに言われるかもしれません。でも、面白かった!



異常、いや以上「日本探偵小説三大奇書」でした!
興味がある方はご一読をオススメします。いやしません。ヘンテコですから。

ありがたやありがたや。

閉じる コメント(8)

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ドグラマグラしか読んだことないっすね。
法水鱗太郎。。。高校生の頃「法月倫太郎」って作家の本を読んでましたけど、何か関係あるんでしょうかね?
しかし・・・濃そうですね!
あんまり読む気起こりません。。

2008/6/23(月) 午前 0:34 [ mas*yan*197* ]

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そういや法月倫太郎って作家いますね。読んだことありませんが、たしかに名前は似てる!
『黒死館』からとったのかなあ。
ちなみに漫画家の安野モヨコは『ドグラマグラ』の「モヨコ」からとったってどっかで読んだような。
『黒死館』は濃い、といえば濃いかなあ。ウンチクだらけで脱線しまくりです。どこまで本当なのやら。
澁澤龍彦が好きそうな小説だなあ、と思って読んでいたら、解説が澁澤でした!

2008/6/24(火) 午前 0:43 なかう

学生の頃、周囲が「ドグラ・マグラ」が好きな人ばかりだったので、焦って読んでました。本を引っ張り出してみてみたら、「胎児の夢」というところに興味があったのか、やたら線が引っ張ってあって驚きです。あと、テント劇団「風の旅団」の呉一郎と言う名の俳優が大好きだったなーとか思い出しました(笑)
映画は桂枝雀しか覚えてないです。あまりにも忘れっぽいから、映画のブログを始めたんだっけな〜とあらためて思う今日この頃。。。
他の2冊も面白そうだけど、読みにくそうですね〜。読破したんですね、なかうさん!凄いな〜。澁澤好きな友人に読んだか聞いてみようかな。。。

2008/6/24(火) 午後 7:24 かりおか

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周囲が『ドグラマグラ』好きな人ばかりって、ど、どんな変態集団ですかっ!!
いやぁ実に羨ましい限りです。
あっ「胎児の夢」ってのはかなり重要なキーワードですよね。線を引きたくなるのもわかりますが…昔、人に本を貸して戻ってきたらやたら線が引いてあってビックリしたことを思い出しました。
呉一郎って名前の俳優もいたんですね〜。知りませんでしたが、あからさますぎる!
そうそう映画は枝雀師匠の怪演が光ります。面白いけど少し物足りなさも感じる作品でした。
『虚無への供物』は全然読みやすいですよ。『黒死館』は難儀ですけど。寝る前に読むと2、3ページで熟睡です。
澁澤いわく本質的に審美的な作家・小栗虫太郎は夢野久作のような田舎者とは人間の出来が違うのだとか。解説は面白いなあ。

2008/6/25(水) 午後 1:44 なかう

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奇書・・・三大奇書・・・日本探偵小説三大奇書。
ものすげー読みたくなりますね。メモしとこ。
読み易いっちゅー「虚無への供物」から行ってみます←弱気

2008/6/29(日) 午前 7:28 MIYA

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ぐほっ。オイラ『ドグラ・マグラ』しか読んだことないです。
虫太郎さんの本はおもしろそうですけど、読むのがしんどそうなのでどっかの美女がすっぽんぽんで添寝しながら読んでくれないかなーって思ってしまいました。
スカラカチャカポコ

2008/6/30(月) 午後 2:50 [ リコ ]

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ミヤコさん、やはり「奇書」という呼び名には惹かれます。しかも「三大」!
とはいっても、個人的に『虚無』はそれほど奇妙には感じませんでした。
相当ヒネクレてはいますが。
キテレツ度でいえば『ドグラ・マグラ』がダントツです、やはり。

2008/6/30(月) 午後 4:31 なかう

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イチ号さん、ここのコメントをみると僕を含めて5人中4人が『ドグラ・マグラ』を読んでいます。ということは日本人の8割が読んでいる計算に!まさに国民的大ベストセラー!
・・・てなことにはなりませんね。やっぱり。
『黒死館』は面白いといえば面白いけど、一番面白いのは「虫太郎」っていう著者の名前だったりします。何故に虫?
すっぽんぽんの美女が添寝しながら読んでくれたりすると間違いなく虫太郎はどうでもよくなってしまうのでよくないです。いや、すごくイイです。
チャカポコチャカポコ、チャチャラカチャカポコ。

2008/6/30(月) 午後 4:48 なかう


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