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百頭女。百の頭をもつ女。 書店で目にしたとき、見世物小屋的なそのタイトルにギョッとして思わず手に取ってしまいました。 もちろん『恐怖奇形人間』のような禍々しい世界を覗き見たいという、しょうもない好奇心からです。 で、パラパラとめくってみた・・・速攻でレジへ。 この『百頭女』は、ドイツ出身でその後フランスに帰化したシュルレアリスム画家 マックス・エルンストが1929年に発表したコラージュ・ロマン、「絵画による小説」です。 どういうことかというと、ページごとに絵が一枚、その下に短い一文が添えてある、 要は一種の絵本なのですが、実はこの絵が凄い。 エルンストは画家なので当然自分でも絵を描く(これがまた奇妙な絵)のだけど、 この『百頭女』ではコラージュ、つまり19世紀の古本や科学書なんかに載っていた 作者名もわからないような無数の挿絵を切ったり貼ったりして全く新しい絵を作っているのですよ。 21世紀の現代ではコラージュ作品など珍しくもないし、 ネット上にはアイコラとか、アホみたいなものもゴロゴロしているわけですが このコラージュという技法を発案したのがエルンストなんだとか。凄い人です。 そんで絵画小説『百頭女』は・・・これがまた実に奇々怪々で悪夢のようなコラージュ作品がズラリ。 小説と呼ぶからには物語があるような気もするのだけど、添えてある文章もよくわからん。 一応、百頭女と怪鳥ロプロプが世界を駆け巡る(暴動や戦火、荒れ狂う海から土の中まで!)話のようですが・・・ 例えばこんな感じ。 無原罪の宿り。 百頭女がおごそかな袖をひろげる。 みんなサタナスに感謝しよう、彼があっぱれ 私たちに示そうと望んだ共感をよろこびとしよう。 両眼のない眼、百頭女は秘密を守る。 こんなのが全部で147枚(もっと不気味なのもたくさん)、9章からなる『百頭女』ですが、 その意味するところは・・・ ハッキリ言ってよくわかりません。シュルレアリスムだからといって片付けてしまえばそれまでだけど。 百頭女。百の頭をもつ女。 その名のとおり、様々に姿を変えて世界のあらゆる場所に現れる百頭女。 誰しもが百頭女であり、同時に誰でもない存在・百頭女。 よくわからないんだけど、なんだか惹きつけられてしまうのです。 そして気が付くとこの本をジィ〜ッと眺めて、ページをめくっている自分が! 何度も。何度も。繰り返し読みふける・・・。 いつの間にか百頭女の世界にどっぷり浸っていました。 惑乱、私の妹、百頭女。
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一言メッセージを見たときから「おっ、これはもしや!」と思ってました。
エルンストは彼女が二冊ほど持ってるんですけど、僕も衝撃的でしたよ!
小説なのか絵画なのか、でもただの絵画でもなく、、
実はなかうさんが百頭男であることは内緒にしておきますね。
2008/7/16(水) 午前 7:52 [ mas*yan*197* ]
どこでだったか忘れましたけれど、この人の絵は何度も
見ています。展覧会に行ったような気も・・
そのときは色つきの油やリトが多かったから気づかなかったけれど
う〜んかなりディープな世界ですね。
ブニュエルやダリとも仲良しだったんですよね。
2008/7/17(木) 午前 0:42
あっぱれ 百頭女。
こういう絵とか言葉には思わず見惚れてしまいます。
この本ほしいぃぃ。
頭が百あろうが千あろうが、はたまたゼロであろうが、
この際すべて同等の意味なんでせう。
頭無しのミミヅクとしては1個ぐらい欲しいものですが。。。
2008/7/17(木) 午後 5:29
まさやんさん、さすがに鋭いなあ。
しかしエルンストを持っている彼女もなかなかのツワモノとみた!もう1冊は『慈善週間』?
小説か絵画か・・・物語があるかどうかもサッパリわかりませんが、全体を通してみると「時間の流れ」は感じるんですよね。不思議。
僕は百頭男であり、百頭男ではありません。秘密を守らないと両眼をふさぎますぞ!ケケケ。
どうでもいいけど「百頭男」だと途端に神秘性が無くなりますね。不思議。
2008/7/17(木) 午後 10:12
カルさん、展覧会に行った(?)とはさすがです。
エルンストが自分の筆で描いた作品も妙ですよね。僕も生で見てみたい。
『百頭女』は挿絵のコラージュなので、彼本来のタッチではもちろんないのですが、なんとなく統一感もあったり・・・
ディープというか暗黒って感じです。
そうそう、彼はブニュエルの『黄金時代』に俳優として出演しているそうです。観てみたい。
2008/7/17(木) 午後 10:18
ミミヅクさん、百頭女は百であり無である・・・
実はフランス語の「百頭女」の発音は「無頭女」と一緒なんだとか。あっぱれ!
あっこの本は普通に文庫で出ているので、簡単に入手できますよ!
創作のおともに是非どうぞ。
かつては画集っぽく大きいサイズのが出ていたみたいで、それも魅力的ではあるんですが。
2008/7/17(木) 午後 10:28
私もこの本、欲しい!
暗黒や悪夢好きなので。。。
147枚もあるんですね〜。観るのが楽しみです。
2008/7/18(金) 午前 3:02
かりおかさんも是非どうぞ!これで2冊目のお買い上げ!
暗黒&悪夢好き人間にとって河出文庫は宝の山に見えます。片っ端から読破したい。
『百頭女』はこれだけのボリュームで税抜960円也。高いか安いかは買った人次第。
2008/7/18(金) 午後 9:50
ぬあぁぁぁ〜オモシロソ〜
960円は安い!記事読んでて、すんごくお高い本なんだろーなーと思ってたので。びっくらこきました。
不思議な絵だなー。コラージュって良いね。
2008/7/20(日) 午後 5:58
面白いのでミヤコさんも是非買ってください。これで勝手に3冊目!
河出文庫よ表彰してくれ!
コラージュって単なるパロディとか風刺っぽく捉えられがちだけど、実はすんごくセンスが問われるんだなあ、と改めて感じた次第です。
2008/7/22(火) 午前 1:37
ダリだのキリコだのこの時代の人たちってすごいなぁ。
茨城のオイラですらシュールって普通に使いますもん。
まぁ厳密な意味であってるかどうかは別としてですが。
これ文庫サイズなんですね。いいなー欲しいなー
2008/8/11(月) 午後 10:30 [ リコ ]
エルンストって日本ではそれほど有名でもないけど、
ダリだのキリコだのと並び称される存在なんですね。
シュールってよくわかんないけど使いますね。日本語だと「超」か。
そうなるとその辺のギャルも使ってますね。
この本は文庫です。簡単に手に入ります。買いましょう!
2008/8/13(水) 午後 9:40
エルンストもルイス・キャロルの「スナーク狩り」の絵を描いてませんでしたっけ?
私もこの文庫は手に入れますっ。
2008/8/17(日) 午前 0:40
はいはい、また1冊お買い上げ!我ながら素晴らしいセールスマンっぷりです。
で、ルイス・キャロルの『スナーク狩り』ですが、調べてみたら確かにエルンストが挿絵を描いたみたいですね。全然知りませんでした。しかしそれは是非とも見てみたい。というか『スナーク狩り』を読んだことないのですが、メチャメチャ面白そうじゃないですか!これはどうしても読んでみたいリストに入れときます。
2008/8/17(日) 午前 3:50