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僕がまだ鼻水垂らしたクソガキだったころ、世界中の奇人変人を集めたテレビ番組がよく放送されてました。 世界一身長が高い人や低い人、針の上に寝っころがったり剣を飲み込むとか、危険な特技の持ち主・・・。 なんか知らんが凄い人たちを集めた、まあどうでもいい番組なんですが。 子供だった僕は彼ら一人ひとりが登場するたびにいちいちビックリしていたもんです。 その日も、そんなビックリ人間番組を家族で楽しく見ていました。 お行儀の悪いクソガキの僕は寝っころがって肩肘ついて。 その時登場したのが「世界一バストの美しい女性」!!! ・・・な、なんだってえっ!! まだ毛も生えていないウブなクソガキの僕はそれだけでビックリです。 画面の中では水着姿の金髪美女が微笑んでいる。み、見たい!世界一美しいおっぱい! 司会者が言いました。 「さあ、それではご覧いただきましょう、世界一美しいバストです!どうぞ!!」 美女がハラリ・・・水着の紐をほどく・・・ いきなり 僕の目の前に座り込み 無言でタンスの整理を始める 母親 み、見えない・・・テレビが・・・全然見えない・・・司会者が大袈裟に感嘆の声をあげます。 「いやあ〜キレイだ!美しい!いいですねえ〜!!」 み、見たい・・・どうしても見たい。しかし、いまここで身体を起こしてテレビを見ると、 美女のおっぱいを見たがる、物凄くスケベなクソガキだと親に思われてしまう。それは避けたい。 というより、そもそも親の動きがあからさますぎて気まずいじゃないか。これでは動くに動けない。 そんなことを考えながら悶々としているうちに「世界一バストの美しい女性」は画面から去り、 それと同時に母親のタンス整理も終ったのでした。 大人になった僕が、ヘンテコな映画や音楽や本を好むようになってしまったのは、 たぶんこの時の哀しい出来事がトラウマになっているからに違いありません。 まあ僕の話はどうでもいいんですが、世の中にはヘンテコなものが好きって人も結構いるんじゃないかと。 で、いわゆる「普通」の感覚からすると悪趣味極まりないものをひたすら追い求めた、 ヘンテコ好きの親玉が、澁澤龍彦という男です。 マルキ・ド・サド著『悪徳の栄え』の翻訳で猥褻罪に問われ(罰金7万円) 名を上げた彼はその後も精力的にヤバい本の翻訳やエッセイ、そして小説の執筆に取り組み、 膨大な数の著作を世に残しました。僕もさすがに全部は読んでません。 三島由紀夫と仲が良かったのは有名ですが、あの土方巽とも親交があったのだとか。 そして彼がどれだけヘンテコ好きかというと・・・彼の著書のタイトルだけでもわかります。 『毒薬の手帖』 『秘密結社の手帖』 『黒魔術の手帖』 『世界悪女物語』 『東西不思議物語』 『妖人奇人館』 『異端の肖像』 『幻想の画廊から』 『幻想博物誌』 『悪魔の中世』 などなど。彼が好んで書いたのは中世ヨーロッパの裏歴史が多いですが、黒魔術の方法とか 怪しげな毒薬の作り方、錬金術・・・とにかくやたらと詳しい。 そんなことを知っていても生きていく上では何の役にも立ちません。無駄知識です。 せいぜい『黒死館殺人事件』を読む時に多少利用できる程度でしょうか。 そもそも『黒死館』自体、読まなくても全然生きていけます。 そんな無駄情報ばかり紹介してくれる澁澤の著作の中には世界中のビックリ人間も大集合!! 狂王ルードヴィヒ二世や妖僧ラスプーチン、預言者ノストラダムス、 メアリ・スチュアートにエリザベス女王、マリー・アントワネット などの今では超有名な奇人変人はもちろん、 自分の若さと美貌を保つために600人以上の若い女を殺して、 その血の風呂に浸かっていたエルゼベエト・バートリや 村の子供たちを多数さらってきては惨殺し、快楽にふけっていたジル・ド・レエの話などを読むと ビックリどころではありません。僕らが普段耳にする犯罪とか、そういうレベルじゃないですなこりゃ。 まあ、彼ら真のビックリ人間のことを知らなくても生きてはいけます。 そんなヘンテコ好きの澁澤龍彦が映画について書いたエッセイもありまして、 ヘンテコ好きだからきっとヘンテコな映画についてばかり書いているんだろう・・・と思って読んでみた。 澁澤龍彦『スクリーンの夢魔』(絶版!) 表紙からしていかにも・・・な『アンダルシアの犬』ですな。ブニュエルの作品はかなりお気に入りみたいです。 ベルイマンも好きみたい。いいぞいいぞ。アントニオーニは嫌いなのか。ほうほう。 その他『カリガリ博士』とかパゾリーニの『テオレマ』とか ドラキュラ映画(『吸血鬼ノスフェラトゥ』も!)とかサド映画とか 期待を裏切らない作品選択で、例によっていらん知識をフル活用しながらとうとうと述べておられる。 『エクソシスト』や『バーバレラ』についての著述も興味深いし、 個人的には元祖(?)エクソシスト映画『尼僧ヨアンナ』とか『顔のない眼』なんかにも チラっと触れていたのが嬉しかったです。 当ブログとダブっている作品も結構あるので、澁澤にはとても共感してしまいましたが、
「世界一美しいバスト」を親をはねのけてまで見る勇気もなかった僕の知識や文章力は 到底、彼の足元にも及びません・・・でも、それでも生きてはいけます。一応。 |

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「世界悪女伝説」だけ持ってます。
バートリさん、えげつな。。。と思った中学生の僕チン。
そうですか!もしかしてお母様はなかうさんに、本当に「世界一〜の美しい女性」は誰かを教えてくれていたのかも。。
僕は幼少の頃「世界一バストの大きい女性」を直視して逆にトラウマになった、、、かも知れません笑
そういえば文藝別冊の三島特集の中で稲垣足穂について三島と対談してました。
あの黒縁眼鏡、僕も欲しいです。
2008/7/24(木) 午後 0:02 [ mas*yan*197* ]
5冊持ってました。確かに無駄情報ですね〜。最近、娘が引っ張り出して読んでます。絵を描くのでモチーフになるのでしょうか?
私の場合は、唐十郎や野田秀樹のお芝居をよく観てたので、澁澤ネタが多く難しい戯曲だったので、理解したくて読んでました〜。種村季広までは読めなかったですが。。。こういう話しかしてない頃もあったなーと懐かしいです。
澁澤さんというと、大好きな四谷シモンの人形が浮かびます。シモンに関節人形を紹介したのは澁澤さんの文章ですね!
うちの主人も11PMとか観てるとお母さんが横にきて一緒に観るので、何も言わず睨み続けたそうですよ(笑)早く寝ろ!って念じながら。全く無視だったようですが!
2008/7/24(木) 午後 5:05
お母様の行動、気持ちはわかるが面白すぎる!
あ、そういえば私、中学生の頃内容を知らないまま題名に魅かれて
「時計じかけのオレンジ」を父親(彼も有名なタイトルだけ知っていて
中身を知らなかった)と2人で観に行って結構かたまったという過去があります。
しかもその時、次回上映の予告編でかなりハードなHシーンがあり、座高の高い
前の席の男性の頭をよけてスクリーンを覗き込みたいのをガマンした記憶も。
2008/7/28(月) 午前 1:37
まさやんさん、中学生にバートリの話はキツいっすね。
まさやんさんのその後の人格形成にも少なからず影響が・・・!?
なんだって!「世界一バストの美しい女性」とは・・・そ、そうだったのかぁっ!
・・・って物凄く凹みました・・・なぜだろう・・・
バストは大きけりゃいいってもんじゃないですね。あまりにもデカすぎるのもちょっと・・・。
そういや最近、巨大なバストで一斗缶を叩き潰す女性をネットで見たけど、強烈でした。
三島との対談は読んだことないけど、そうですか稲垣足穂か・・・不思議な文章が良いです。
澁澤はなんつうか伊達男ですね。「書斎派ダンディ」なんて言われてたし。
2008/7/30(水) 午後 10:14
かりおかさん、娘さんが澁澤を・・・!
床に変なサークルを書いたり、妙な呪文とか唱えだしたら要注意です!黒魔術ですぞ!
そうか〜かりおかさんはやはり舞台絡みなのですね。澁澤は暗黒世界への門を開いてくれる導師みたいな存在で、種村季広も同様のイメージですが、僕も読んでません。それにしてもそんな話ばかりしていたなんて、つくづく変態集団・・・じゃなくて羨ましい仲間たちです!
四谷シモンって名前しか知りません。さすがはかりおかさん、そっち方面に強いですね!しかし関節人形か・・・澁澤の文章も読んでないし、どんなものか気になりますね。
あ、かりおかさんの旦那様も似たような経験がおありで・・・つうか大抵の男子は通る道ですね。僕の場合「11PM」や「トゥナイト」は居間から離れた部屋にあった古いテレビでこっそり・・・ていうのがパターンだったかな。
2008/7/30(水) 午後 10:27
SHIROMIさん、まったくウチの母親の行動ときたら、わかりやすすぎて困ります。
逆にコッチが気を遣いすぎて疲れちゃいますねえ。子供心に「あ、エッチな話はウチではタブーなんだ」って思いながら、その後もなんとなくそんな話題は避けて成長してしまいました。で、出来上がったのが今の僕です。
しかしSHIROMIさんも気まずい経験をお持ちでなによりです。たしかに『時計じかけ〜』は父娘で観る映画じゃないですね!お父様も固まったんだろうなあ。しかもハードなHシーンの予告編ってなんの映画だったのか気になります。
2008/7/30(水) 午後 10:37
『時計じかけ〜』とは大変でしたねぇ(滝汗)父娘が映画館で着席したとき周りの人たちがちびりそうになっていませんでしたか?
久しぶりにおもわず澁澤ワールドに浸ってしましました。
て、すっかり中身忘れてるし^^;)
10冊以上はあるかも〜。
それにしても、無駄、、、いや無駄知識ではありませぬ。
この世界なしには生きれないイキモノもいるのでしゅ。(誰?)
ていうか、古今東西、こんな怪物や幻想世界を創り上げた人たちや
奇人変人が山ほどいるって方がやっぱすごいかも。
2008/7/31(木) 午前 0:39
『時計じかけ〜』、僕が周りに座っていた客だったら映画そっちのけで二人を観察してそう。
SHIROMIさん、どうでしたか?
で、やはりミミヅクさんも澁澤ワールドの住人でしたか・・・て、中身忘れてるとは!
再度熟読すべし。
まあ、無駄知識ですが。あ、ミミヅクさんにとっては死活問題なのですね。
再度熟読すべし。
しかし人類の歴史というのは奥が深いとつくづく感じますね。
ホンモノの奇人変人のスケールのデカさはハンパないです。
現代人が見習わなきゃならないトコロもあるかも。ないかも。
2008/8/1(金) 午後 10:21
はは・・そんなトラウマ?がおありだったのですね(笑)
でもお母様も必死だったのでしょう。
それにしても私ってすごいコワガリだけれどこういう世界に惹かれもします。
そうそう。今度四谷シモンさん系でかなり有名な球体関節人形の先生とコラボする予定。
2008/8/2(土) 午前 1:08
なかうさん、ミミヅクさんにまで父娘の迂闊な映画鑑賞に注目いただき恐縮です。
たしかに、今自分がその映画館にいたら、絶対に注目しますよね!
でもその時は、始まる前はそんな映画だと知らないからのほほんとしてたし
終わった後は、初めて体験するようなアレックスたちの毒に侵されて
まわりを観察する余裕など女子校に通うローティーンにはありませんでした・・・。
2008/8/2(土) 午前 2:00
カルさん、そうです。妙な抑圧を受けたせいでこんな変態野郎に育ってしまいました。
何故そこまで隠そうとするのか?
澁澤ですが、バートリやジル・ド・レエの話などは文章だけでも戦慄もんなのに、これが映像だったらカルさんは卒倒すること間違いなしです。
お!球体関節人形とお花のコラボですか・・・ちょいと不気味・・・人形ってちょっと怖いです。
2008/8/9(土) 午前 4:10
SHIROMIさん、返答いただきどうもです。
しかし僕だったら、オッサンが女子高生を連れているという風にしか見ないかも。
このロリコン野郎が!って思ってそう・・・あっすみません!
でもまさか父娘で『時計じかけ〜』を観るなんて想像もしないですからね。
まあその時の強烈な体験があったからこそ現在のSHIROMIさんがあるということで。
2008/8/9(土) 午前 4:19
『スクリーンの夢魔』欲しい!この記事は前のエルンストから来たんでしょうか。『アンダルシアの犬』ええですなぁ。
それから昔のTVのスペシャルものってすごく楽しかったです。どっきりカメラとか今やったら大変ですけどね。
あとは家族揃って金曜ロードショーやらゴールデン洋画劇場を観るのが好きでした。なつかしいなぁ。
あ、なかうさんって変態なんですか?
2008/8/11(月) 午後 10:55 [ リコ ]
いやだなあ、僕が変態なワケないじゃないですか。
この記事は別にエルンストに関連付けて書いたわけではありませんが、『百頭女』の巻末には当然のように澁澤が解説文を寄せていたりするもんだから困ったもんです。
昔のTVはおおらかというか、現在よりも制約が少なくて面白かったですね。
まあメチャクチャだけど、パワーはありました。
家族そろってTVを観るなんて、最近の家庭ではあるんでしょうか?よくわかりません。
2008/8/13(水) 午後 9:46