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私は大西教諭が嫌いだ。
奴は全てを見透かしたつもりでいる。 いつも仏頂面で何様のつもりだ。 おそらく大西教諭も私が嫌いだろう。 奴は全てを見透かしたつもりでいる。 いつも仏頂面で何様のつもりだ。 おそらく大西教諭も私の事を嫌っているに違いない。 仏頂面のまま、私と眼を合わそうともしない、その態度で全てが伝わる。 大西教諭は東京大学卒だ。 おそらく京都大学卒の私を蔑(さげす)んでいるに違いない。学部の違いにより偏差値は私の方が高かったというのに、本当に馬鹿な奴だ。 仏頂面が本当に鼻につく。 大西教諭は次の5月中旬で、42歳になる。 私の9歳年上だ。 私は大西教諭が私の兄より4歳も年上だという事実を受け止められずにいる。 おそらく大西教諭は、自分が私の兄より4歳も年上だという事に満足感を得ているだろう。単に私の兄より年上なだけであって、所詮は私の父よりも年下のくせに。本当に馬鹿な奴だ。 奴の仏頂面を崩してやりたい。 2015年4月2日午前8時9分。 私は職員室で100円均一で買った刃渡り30センチの万能包丁で大西教諭の左胸を刺した。 なるべく金をかけず、奴をなるたけ侮辱した形で、殺してやりたかったのだ。 万能包丁が梱包されていた紙の台紙を見せつけながら刺したので、奴が仏頂面を崩して泣きわめき、包丁の万能さについて言及しなければ、私の勝ちだ。 たとえ指摘されたとしても、この万能包丁が百円均一で売られている物であるとは気付くまい。その点を見落として息絶えた場合も、私の勝ちだ。私が負ける事はないだろう。 奴の仏頂面を切り崩してやるのだ。 鳴り響く悲鳴と飛び交う怒号の中、心臓部を深く刺された大西教諭は、仏頂面を崩して、 私に初めて笑みを見せてこう言った。 「あなたのクラスの多川憲正君...いじめにあっていますよ...あなたが守ってあげて下さいね...」 私は奴の仏頂面を崩せたが、 負けだ、負けだ、負けだ、負けだ、負けだ。 負けだ、負けだ、負けだ、負けだ。 負けだ。 喧(やかま)しいパトカーと救急車のサイレンの音に包まれて、私は思案した。 私は大西教諭が嫌いだった。 何故だ? 何故だった!? 何故だったんだ!!? 大西ライオンは好きなのに。 |

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