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◆京都生まれの気ままな遁世僧、今様つれづれ草◆ 別館。 【ランダム更新】

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11月のことば。

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■写真■ 京都市左京区大原にて、2015年11月3日撮影。



去る10月も末の20日とはいえ、ややもすれば蒸し暑ささえ感じられた。
久しく江州の寺院で厳修される報恩講の御縁を頂き、出講させて頂いた。
 
思えば私は、江州各所で布教使としての御育てに与った。
駆け出し布教使の頃だったから、20年ほど前のことである。
その後の私は、聲明の研鑽に重きを置くようになったが、
正直なところ布教も聲明も、中途半端な状況と言わざるを得ない………。
そのような私ではあるが、この日に御縁を頂いた寺院では、
江州ならではのアットホームな空気の中で法話をさせて頂いた。
今は長浜市に編入されている、琵琶湖の最北端に位置する、旧伊香郡西浅井町の、
門徒戸数10余軒で護持されている寺院だった。
 
寺は湖西線の高い高架橋が南北に貫くすぐ下の集落内に位置しているが、
かつてはすぐ近くの山の中腹に所在したそうだ。
400年前に織田信長の焼討ちに遭い、現在地に移転したのだという。
その歴史を遡れば、本願寺第8世・蓮如上人の教化により開かれたそうだ。

この寺は小さな集落の中にある、昔ながらの念仏道場である。
本堂はトタン屋根になっているが、元は藁葺き屋根なのだった。
この本堂は、江州や北陸の真宗寺院に分布する、所謂、道場造の御堂である。
道場造の御堂は、民家が仏殿に発展していく過渡期を示す、
真宗寺院の原初的形態を今に伝える様式である。
内陣も本尊を安置する須弥壇と両脇壇が並列に配置され、
内陣背後の後堂(うしろどう)と後門(ごうもん)が設えられていない。
 
午前2席、午後1席の法話をさせて頂くも、
今時のホワイトボードを背にして話すものではなかった。
まさに蓮如上人が奨励した平座による、
畳に座して参詣の門徒衆と同じ視線の高さで話せたのは、まことに貴重な経験なのだった。
この度は報恩講にて、宗祖の生涯を中心に話させて頂く。
御讚題には、『御傳鈔』上巻第二段、第六段、下巻第六段を頂く。
午後席の終わりには、本願寺派の作法に則り『御文』5帖目第11通「御正忌章」拝読にて閉じた。
いくつになっても拙き取次しか敵わぬが、何よりも聴聞の門徒衆に導かれて話せた次第である。
 
午前2席終わって、正午から御斎の接待にも与った。
昔ながらの「お講」という呼び名の昼食で、本堂の外陣に机を並べて門徒衆とともに料理を頂く。
少量の地酒(銘柄「竹生島」)も頂いた。

古来より江州では訛って呼ばれて来た、「ほんこーさん(報恩講)」に久しく遇わせて頂いた。
いつまでもこの形が継承されて行ってほしいと、切に思いつつ駄文を記し置く………。


願共諸衆生
値遇弥陀尊





2017.01.01修正

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