◆京都生まれの気ままな遁世僧、「今様つれづれ草」。◆

心に移りゆくよしなしごと、仏教・親鸞・梵唄聲明・我が故郷京都…、拙き日暮らしに写真を添えて綴る“公開備忘録”

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2年ほど前だったと記憶するが、観月ありさ主演の『おひとりさま』という連続ドラマがあった。
観月扮する30歳独身の高校教師は、
職場以外は煩わしい人間関係から解放される一人暮らしを謳歌していた。

そんな生活の中で、自分よりも随分若い、大学出たての非常勤講師の指導係をすることなる。
ナヨッとした年下のやさ男に、彼女はイラッとしながらも教育のノウハウを教えるのだが、
いつしか自宅マンションの空いている部屋に一切関係は持たないという前提で“下宿”をさせる。

男女の関係はないながらも、やはり男女の駆け引きのような人間関係が展開し、
いつしかお互いが惹かれ合い、結末はめでたしめでたしで終わる、
今時の若い世代を反映したドラマだった。

所謂、“独身貴族”のことを「おひとりさま」というのだと、このドラマで初めて知った私である。
「おひとりさま」の行く末は、どうやら“無縁”へと繋がるのだろうか?!

イメージ 1

さて…、思いつくままに書き付けた《2011/2/11(金) 午後 2:55》の更新記事『無縁。』であるが、
思ったよりも多くコメントを頂いた。

頂いたコメントの一々を読ませてもらう中で、
人は孤独を好んでいてもやはり何処かで人の温もりを求める存在であり、
重要なのは独りではなく、常に誰かと繋がっているという気持ちを持つことが大切である…
総じてそういう見解が多かったように思う。
その他、戦後文化の変容や教育や政治の在り方に言及するものも多かった。
また、当世の企業に見られる“労働の使い捨て”にも触れられていた。

或いは、拙ブログをいつも覗いて下さる同門の先達、
nazuna師が同じテーマで書かれた記事をトラバして下さった。

その記事中の一節は圧巻であった。
少しく引用しておきたい。


   なんでも、孤独死し身寄りのないものが沢山増えているそうな。
   それがどうした?と言いたい。
   そんなことを大上段に「無縁社会」などという頭を疑う。
   NHKというメディアが賞をもらって調子に乗っているそうな。
   島田某という似非宗教学者がさっそく商売をしているもんな。

   要するにそのことは、
   〇狢里僚萢に困るということ
   △修譴砲箸發覆辰童綮亘に公共のコストがかかるということ
   モノのように処理されていく「死」に対して何らかの畏れを感じている、
    ということではないのか?

    銑△里海箸蓮∨椰涌奮阿かかわることになるから「問題」になってきたのでしょう。
   なら、ちっとも「無縁」じゃないじゃないか・有縁だ。


ややもすれば痛烈な内容ではあるが、完全“無縁”はあり得ないのは確かなようだ。
それこそ、“無縁”は何も現代社会だけの病理では決してない。

時代小説の主人公“木枯らし紋次郎”は上州新田郡三日月村出身の無宿者だ。
無宿者とは人別帳(現代でいう戸籍)に記載されない者のことである。
彼はひたすらに「あっしには、かかわりのねェことで…」を繰り返し、
積極的な人との繋がりを持とうとはしない。
ただひたすら、目的のない旅から旅への渡世人生である。

親鸞の時代に至っては、墓に葬られる者は極めて稀であった。
今も京都に地名として残る、西の鳥部野、東の蓮台野といえば、
そこは死体を遺棄するための場所なのだった。
蓮台野を通る千本通という広い道路の名前の由来は、
“無縁仏”の卒塔婆が千本立っていたという故実にちなむ。
近世・中世の人々は、我々の想像を遙かに超えた社会で暮らしていた。

もっとも紋次郎の“無縁”は、孤独としての無縁に加えて、
権力からの垣根を越えたところに存在する“無縁”でもあろう。



それにしても、前回にも書き付けたことではあるが、
NHKがセンセーショナル(?!)に取り上げた、
自身の私生活をネット中継する男女に言及するコメントも見受けられた。
確かに、衝撃的というか、現代人の新たな“生態系”を見たような気持ちになったのはいうまでもない。

私が思うのは、こういうツールが結局あの状態で終始していたら、
それこそ問題なのである。

あのツールが更に深まった時、リアルな出会いへと発展してほしいと思う。
実際の友人としての付き合いが開始されたならば、
そのツールはそれなりに社会貢献していると愚考するのだが…。

駄文でも触れた「ムラ社会」に関しても、頂いたコメントに見受けられたことは、
それがソフトな繋がりとして、
「自主性と、良い意味での無責任で回るつながりが、今こそ必要な時代であるように思います」
とあったのは、私には印象的だった。



ところで、拙寺の門徒衆の9割方が、自動車関連就職に伴って、
全国から三河へ移住して来た人々である。

郷里から仏壇ごと移転してきて、西本願寺の寺院を探し当てて来られた方や、
親族の葬儀が縁となって檀家となられた家が多い。

従って、地域ひとまとまりで拙寺と縁があるといえば、
拙寺が所在する集落と近隣の集落のみといっても過言ではない。

新しく縁ができた家の大半が、“点”と“点”との繋がりでしかないのである。
今、「無縁社会」というキーワードをして、思い立ったことがあった。

現状では寺という“点”と、檀家一軒ずつの“点”という縦の繋がりしかなく、
檀家同士の横の繋がりは、全く希薄そのものなのである。
それ故に、拙寺で勤まる法要に多くの人が集まっても、
隣に座り合わせた人同士の会話があまり聞こえてこない。

ごく一部を除いて、同じ寺の檀家という仲間的な繋がりができておらず、
全く他人同士の集まりでしかなかったのである。

そうした分裂状態を解消させることこそが、現代に在っては寺の役割ではないか。
仏となった“亡者”にばかりにしか全く目がいかず、
今ここにこうして本堂に集う人同士の縁結びをせずに来たことに対して、私は猛省するばかりだ。
自身のこれからの課題としたい。



是く駄文を書き付けて、自身の「灯台もと暗し」に気付いた次第である…。















【関連記事】
■無縁。

■写真■
滋賀県大津市の三井寺にて、2004年11月24日撮影。

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閉じる コメント(12)

このネット社会の急速な拡大は、知らない人同士をつなぐことができるという新たなコミュニケーションツールとして、ある意味とても重要な役割を果たしていると思います。
が、反面、ネットでの繋がりに頼り切って、本当の繋がりを保つことができない人間を作り上げているのかもしれませんね。。。

2011/2/14(月) 午後 10:02 YORK 返信する

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Ren'ohさんのお話の一つ一つにいつも感心しております。今日のお話で門徒の方々の9割が豊田関連ということにビックリしております。
ただそのことだけにこのコメントを書いてしまいました。失礼!

2011/2/14(月) 午後 10:12 丸くまん丸 返信する

うちの近所の方が「神様は生きてる人間のためにいるから大事にするけど、仏さんは死んだ人のためのもんだから…(どうでもいい)」と言うのを何度か聞きました。
そうじゃない、仏さんも生きてる人のためにあるのに!と内心歯がゆく思ってましたが、現実のお寺と檀家という関係を思うとそう感じてしまうのは仕方ないことなのかもしれません。
檀家との在り方にRen'ohさんのように悩んだり様々に葛藤したりされているお坊様がどれだけいらっしゃるのか…。私が知らないだけで思いの外たくさんいらっしゃるのかもしれないけれど。

無縁社会というのは、否応なしに支えられ関わりながら生きているのが現実なのに、それが見えないくらい私たちの目が闇に包まれているってことなのかなとも思いました。

2011/2/15(火) 午前 11:38 麻阿 返信する

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一般的によく独身で亡くなった人のことを「独身を貫いて」と表現されますが、
例えば「初志を貫く」みたいに本人の強い意志でそうなった方もるでしょうが、ぼんやりしていて
独身だったり、結婚したいのにできなかった人の方が多いのではないかと思いますので、
その表現が好きになれません。 わたしは両親と妹の4人家族で幸せな家庭は1度経験している
ので10代の頃から結婚には興味がなく現在の独身に至ります。
友だちの数は多くないですが、長年親しくしてくれる人が何人かいますので無縁の気はしません。
親元は遠く、東京でずっと1人暮らしをしていますが、寂しいと感じるより、1人の楽しい時間の
邪魔をしないで〜と思った回数の方が断然多いわたしです(笑) ← 誰に対しても!

2011/2/15(火) 午後 1:15 貝 ぬ し 返信する

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YORKさん、こんばんは。かの、エジプトの政変もフェィスブックというネットワークが引き起こしたんですよねェ。
ネットの繋がりに頼りすぎるという、極端な面が現れるのも、現代社会の一つの類型ですね。学校なんかではどんな教育がなされているのでしょう…。

2011/2/16(水) 午前 1:12 Rev.Ren'oh 返信する

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丸くまん丸さん、こんばんは。駄文をそのように評して頂き、恐縮の極みであります(汗)。
拙寺の法要日程も、トヨタカレンダーに依っている状況です(笑)。

2011/2/16(水) 午前 1:14 Rev.Ren'oh 返信する

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麻阿さん、こんばんは。そちら方面、京都並みに迷信俗信がはびこっている様子ですねェ…。なかなかキョーレツな使い分けです(苦笑)。そう、寺院の現状は亡者の供養が一番収入に繋がるのですよ。本山でもそうです。大半が大谷本廟の収入に寄りかかっている状態です。何もそれを完全否定する気は全くありませんが、やはり車の両輪の如くいきたいものですね…。
京都の寺も、まだ観光寺院の方が案外、生きている者のために貢献しているのかも知れません…。
現実と非現実の境界が曖昧になっているのが現代社会の病理だと思います。「無縁」もその中の一様相なのかも知れません。

2011/2/16(水) 午前 1:19 Rev.Ren'oh 返信する

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貝ぬしさん、こんばんは。独身を貫いて…って、確かにおかしな表現ですねェ。改めて気付かされました。マスコミ関連に勤めていた頃、障害者の表現を「障害を持つ」から「障害がある」と変えるよう、常に上からのお達しがありました。要するに、好きこのんで“持っている”訳ではないからです。それと同じことでしょうね。
貴女が一人でいることの楽しさは、とても解るような気がします。私には兄弟がいないので、一人でいることが苦にならずに育ったからです。だから自分のテリトリーを侵害されるのはキライです(笑)。貴女のコメントを読ませて頂いて、それこそ「無縁」とは無縁のようですね(お粗末)

2011/2/16(水) 午前 1:25 Rev.Ren'oh 返信する

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Ren'ohさま、改めて読ませていただきました。

横の繋がり・・・こうした田舎にはことさらですが、頑固ですね。
私みたいなよそ者が画策しても、全く動きません。^^

ですが、例えばこのブログの世界でも、繋がっているようで否で、
ある日突然プツリ、ですもの。

私は結婚の経験はありますが、独りでもう30年余。
兄姉はいますが、一人っ子と思ったら自由になれました。

自分の最期のあり方をきちんと考えておけば、
無縁を格好よく生きられるかしら。
家から一歩出れば、無縁では決してないのですからね。。ぽち!

2011/2/28(月) 午後 1:53 寧々房(neinei-bo) 返信する

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寧々房さん、こんばんは。御無沙汰ばかりにて申し訳ありません。
駄文にポチッ!と恐縮です…(^^)ゞ。
全く仰る通りですね。田舎のスクラムは独特のものがあります。ただ、外からの人間の流入が激しい地域だと、それに迎合しなければならなかったりするケースもありますが…。
ブログ繋がりも5年も続けるとそれなりに人間関係はできていますが、プツッ!というのも沢山ありました。ブログはネットなるが故の、世の習い…と思ってはおりますが。
独りで過ごされて30余年…ですか。貴台が仏をこしらえられる理由が、私なりにですが何となく感じられました。解ったようなことを言ってはおりますが、私には兄弟がおりませんので、独り…というキーワードは不即不離な存在です。

2011/3/1(火) 午前 1:32 Rev.Ren'oh 返信する

「無縁」を考えるには、先ずは反意後の「縁」を考えなければならないと思います。縁というのは、不思議なものです。ちょっとしたことで確かに「縁」は生まれます。私は、技術者で物理現象を追求するものなのですが、縁には何か神様の力が働いていると思えることが良くあります。例えば、息子の下宿一つとっても、息子が下宿する場所を私は、南禅寺の紅葉を写真撮影するため半年前に通っているのです。その時、息子が京都に下宿するならこのあたりと虫の知らせが教えてくれました。親鸞や木枯らし紋次郎を例に取って、昔も無縁はあったとのこと。でも、現在の縁は、昔よりかなり希薄だと思います。なぜなら、現在の縁は、インターネットの様なものを介しての縁。昔は、親鸞や紋次郎が無縁といっても、人に何かを乞うにしても必ずフェイスツーフェイスですから。

2012/1/30(月) 午後 7:56 旅の途中 返信する

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旅の途中さん、こんにちは。古記事にコメント頂き恐縮です…。
こうして文明を突き詰めて生きている我々であっても、どうにもならないことがある…そこに神性を感ずるということでしょうか。京都知恩院の浄土門主と湯川博士の対談が興味深いですね。
確かに、中世などは“対面”と“手紙”しかツールがありませんでしたから、現代とは様子が違います。強いて言うならば、昔の無縁の人々は、そこをまたそのように生きるすべを持ち合わせていたのでしょう。そして、何よりも現代の孤独感は山野に一人たたずむ姿ではなく、都会の雑踏の中に一人ぽつんと立たされる姿ですね…。

2012/1/31(火) 午後 3:22 Rev.Ren'oh 返信する

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