偽りに満ちていたアマゾン大火災報道 : 今年のアマゾンの森林火災は実際には平年以下の平凡なものであることが判明した上に、「気候変動のための扇動」に利用されていた可能性も2019年8月26日の米フォーブスより扇動と誤りの結果がアマゾンでの森林火災については、最近大きな話題となっていましたが、私も以下の記事で少しふれました。
当時、報道を見ていますと、
・アマゾンの火災の発生数が、前年同期比で83%増加した
とか、あるいは、フランスのマクロン大統領の以下のようなツイートばかりが取り上げられていました。
このマクロン大統領の報道を見た時に、実は、
「ん?」
と思ったのです。
ちょっと無駄な話となるのですけれど、植物というものは、常に酸素を生み出ているわけではなく、人間と同じように「酸素を消費する」ものでもありまして、実質的には、「植物によって地球の酸素が純粋に増えることはないのでは?」と思ったのです。
これを知ったのは、私はメダカを何年も飼っているのですが、その中で知ったことでした。水の中に入れる「水草」というものがありまして、この「水の中の植物」は、「日中は、光合成で酸素を作るけれど、夜になると、酸素を消費する」のです。そのことをずいぶん前に知ったのでした。
ですので、大量の水草を入れたままで水を循環させていない場合、「夜になると酸欠になってしまうことがある」のです。かつては、それで、水中のエビやメダカなどが死んでしまうこともありました。
植物というものは、本当に不思議で、
「太陽が出ている間は、植物は、炭素を消費して、酸素を放出してくれる」
という「人間と真逆の生態」を持つのに、
「太陽が沈んで、暗闇になると、植物は、酸素を吸って炭素を放出する」
ということで、「植物は、光のない場所では人間と同じ生態になる」のです。
このことは、蛇足でしたが、そのようなことを知っていたために、アマゾンの熱帯雨林に大量の植物があっても、それが純粋に地球の酸素の供給源となり続けるわけはないよなあと、マクロン大統領のツイートを見て思ったのでした(このことから、おそらく、地球の酸素の供給源は植物ではないと私は思っています)。
それと共に、アマゾンの火災が例年より激しいことは報道されていても、比較のグラフをなかなか見つけることができないでいました。
そうしましたら、8月26日のアメリカの経済誌フォーブスの冒頭の記事の中に、今のアマゾンの森林火災の「平年との比較」がありました。
過去 20年間のアマゾンでの森林か火災の発生件数の推移は以下のようになっていました。
今年 2019年のアマゾンでの森林火災の発生件数は、過去 20年間では、上から 10番目ということになっていまして、実に平均的な年であることがわかります。2002年から 2007年ころのほうが、はるかに今年よりひどい規模の真森林火災が起きていたこともわかります。
しかし、では、なぜ今回のような騒ぎになったのか。
今年 7月のシベリアの火災は、現実として、シベリアとしては過去 1万年で最大規模のものだったのに、国際社会ではほとんど話題になりませんでした。
現在アフリカで発生している大規模火災もほとんど話題になりません。
フォーブスは、そこに焦点を当てて、とても素晴らしい記事を掲載していました。
わりと長いものですので、そろそろご紹介したいと思います。
Why Everything They Say About The Amazon, Including That It's The 'Lungs Of The World,' Is Wrong
Forbes 2019/08/26 「アマゾンの熱帯雨林は世界の肺」であるという概念を含めて、アマゾンの森林火災について彼らが言っていることのすべてが誤りである理由ブラジルの森林火災の増加は、先週、国際的な怒りの嵐を巻き起こした。世界中の有名人たち、環境保護主義者たち、あるいは各国の政治的指導者たちは、世界最大のアマゾンの熱帯雨林を破壊したとして、ブラジルのボルソナーロ大統領を非難し、そして、彼らは、アマゾンは「世界の肺だ」と主張した。
マドンナやジェイデン・スミスなどの歌手や俳優たちは、数千万人が見ているソーシャルメディアで写真を共有した。俳優のレオナルド・ディカプリオは、「地球の肺が炎に包まれている」と述べた。
サッカーのスター選手であるクリスティアーノ・ロナウドは、「アマゾンの熱帯雨林は世界の酸素の 20%以上を生産しているのです」とツイートした。フランスのマクロン大統領もまた、「私たちの地球の酸素の 20%を生成するアマゾンの熱帯雨林、つまり地球の肺が燃えています」とツイートした。
しかし、それらのソーシャルネットで共有されていた写真は、実際にはアマゾンでの森林火災の写真ではなく、そもそも、その写真はアマゾンの場所のものでもなかった。ロナウドがツイッターで共有した写真は 2013年にアマゾンから遠く離れたブラジル南部で撮影されたものだった。
ディカブリオとマクロン大統領がツイッターで共有した写真は 20年以上前の写真だ。マドンナとジェイデン・スミスが共有した写真は 30年以上前のものだ。
他の有名人の中には、南米でさえない、米モンタナ州やインドやスウェーデンでの森林火災の写真を共有している者たちもいた。
その後、米 CNN とニューヨークタイムズは、このアマゾンの森林火災に関しての写真やその他の誤ちについて報じた。ニューヨークタイムズは、「これらの南米の火災は、気候変動によるものではない」と述べた。
しかし、この両方の報道メディアは、アマゾンが「世界の肺」であるということに関しては、その主張を続けた。CNNは、「アマゾンの熱帯雨林は、今日でも地球の酸素の重要な供給源だ」と述べている。ニューヨークタイムズもまた、「アマゾンは、しばしば地球の肺と呼ばれる。この広大な森林が酸素を放出し、地球温暖化の主な原因である二酸化炭素を貯蔵している」と記した。
この「世界の肺」の主張に対して、世界有数のアマゾンの森林の研究者の一人であるダン・ネプスタード(Dan Nepstad)氏が、「肺」の主張について、どのようなことを言うのかに注目が集まった。ネプスタード氏は、気候変動に関する最新の政府間パネル(IPCC)報告書の主執筆者でもある。
ネプスタード氏は、こう述べた。
「あれはでたらめです」
そして、このように続けた。
「この主張の背後に科学は存在しません。確かに、アマゾンは大量の酸素を生成しますが、植物の呼吸を通じて、同じ量の酸素を消費しているのです。大気の洗浄はしても、純粋に酸素を生成する場ではありません」
植物は、呼吸を利用して、土壌の栄養分をエネルギーに変換する。彼らは光合成を使用して、光を化学エネルギーに変換し、後で呼吸に使用できるようにしている。
また、ニューヨーク・タイムズは、以下のようにも記している。
「熱帯雨林が大幅に失われ、回復できない場合は、その地域はサバンナ(乾性の草原)となる。サバンナは、炭素をあまり貯蔵しないため、地球の「肺容量」が減少する」
これも、ネプスタード氏は、「真実ではありません」と述べる。
「アマゾンは大量の酸素を生産しますが、大豆農場や牧草地の牧草も同じです」
しかし、この「肺」の神話は、アマゾンの火災に関して明らかとなったことの氷山の一角にすぎない。
CNNは、「このアマゾンの森林火災は、記録的な速さで燃える火災となっている」とし、そして、CNN の気象解説者は、「アマゾンの現在の火災は、過去 2万年前例がないものだ」と主張した。
しかし、これもまた過ちで、ネプスター氏によると、2019年のアマゾンでの火災件数は、確かに昨年 2018年よりも 80%多いが、過去 10年の平均と比べると、もわずか 7%多いだけだという。
以下は、過去 20年間のアマゾンでの森林火災の件数の推移だ。
ブラジルには、アマゾンの現地で 10年近くに渡って、報告を続けている環境ジャーナリストの人たちがいるが、しかし、今回のアマゾンの森林火災を報道しているほとんどは、アマゾンから離れたサンパウロやリオデジャネイロといった都市部から報道を伝えている。どちらも、アマゾンの熱帯雨林までは、4000キロ離れており、飛行機で 4時間かかる。
アマゾンの現地で活動している環境ジャーナリストたちは、「現在、アマゾンで起こっていることは、過去と比べて例外的なことではありません」と述べる。
その中の一人は以下のように言う。
「これまで、世界中の人々はアマゾンでの火災に興味がなかったのです。Google で過去の検索をおこなうと、わかります。かつて、アマゾンの火災がもっと悲惨な時もありましたが、誰も関心を持ちませんでした。それが、今年だけ世界中でヒステリーのような状況となっているのです」
ブラジルでの山火事が増加しているのは確かだが、しかし、アマゾンという場所に限定すれば、そこで火災が増加している証拠は存在していない。
その人物は、さらに次のように語った。
「私たちを、最も傷つけたのは、たとえば、ニューヨークタイムズに、地上生物の多様性の高い場所の地面が焼き焦げている写真が掲載されていたことなどでした。今のアマゾンにはそんな光景は存在しません」
アマゾンの森林火災は、通常、森林の樹冠によって隠され、干ばつの年にのみ確認できる火災が増加する。そのため、今年のアマゾンの森林火災が過去数年より多いかどうかは実際にはわからないが、専門家たちは、「ここ数年より多いということはないはずだ」と述べる。
メディアでは、まるでアマゾン森林が消失寸前のようなイメージを抱かせる写真が掲載されているが、80%は完全に残っている。アマゾンの熱帯雨林の半分は、ブラジル連邦法の下で厳密に森林破壊から保護されている。
実際には、2000年代に入り、ブラジルでは劇的に森林伐採が「減少」しているが、このことについて触れたメディアはほぼない。
ブラジルの森林破壊は、 2004年から 2012年にかけて 70%減少した。それ以降は、緩やかに増加しているが、それれでも、2004年のピークの 4分の1にとどまっている。
専門家によれば、アマゾンの火災の真の脅威は、干ばつの年に偶発的に発生する火災だという。
アマゾンの環境ジャーナリストは以下のように述べる。
「フランスのマクロン大統領のツイートは、ブラジル大統領の支持基盤に影響を与えました。ブラジルでは、マクロン大統領への怒りの声が上がっています。そして、ブラジルの人たちは、なぜ今年のアマゾンの火災だけが、海外からこれほどの同情を得ているのかを知りたいと思っています」
「メディアの狂乱は気にしませんが、メディアの報道がブラジル政府に過剰な反応を起こさせてしまったことは考えます」
ブラジルでは、小規模な農家は、畑に計画的に火を放つことで、害虫を駆除するという伝統があり、その正当な理由があることもまた忘れられている。
ブラジルのある環境ジャーナリストは次のように言う。
「このメディアの狂乱や、世界的な有名人たちの反応などは、もしかすると、先進国の都市部に住むエリートたちが持つロマンティックな反資本主義に起因しているのかもしれません」
このアマゾンの火災への反応がこのような状況になった理由として、他には政治的な動機があるかもしれない。
ブラジルの農民たちは、EU への輸出を拡大したいと考えているが、フランスのマクロン大統領は、フランス農務省はブラジルの食品をフランス国内に輸入することを望んでいないという。
今回の件には、気候変動、森林破壊、状況の広範囲にわたる誤解を招く報道などの問題が数多くあるにもかかわらず、ブラジルの環境ジャーナリストたちは希望を捨てていない。アマゾンの今回の緊急事態でも、ブラジルの保護当局は、ブラジルの農民たちとの関係を修復し、より実用的な解決策を模索するよう導くべきであると語った。
「ブラジルの GDP の 25%は農業と関係しており、ブラジルが不況を乗り越えられたのは、それが理由です」とも言った。
また、彼らは、「アリアンダ・ダ・テラ(Aliança da Terra)」を支援することが、アマゾンの火災に関して最もよい手段だと述べる。
アリアンダ・ダ・テラは、主に先住民、および農民 600人からなるボランティアで構成される火災検知および火災予防のネットワークだ。
「アリアンダ・ダ・テラは、年間 200万ドル(2億2000万円)の予算で、火災を抑制し、アマゾンの焼失を食い止めることができるのです。600人のボランティアたちは、アメリカで消防士による一流の訓練を受けています」
メディアは今回のアマゾンの報道で熱狂とヒステリーに包まれてしまったが、ブラジルには彼らのように、現実的に森林火災と対峙している人たちがいる。欧米の報道は、このようなことを踏まえ、将来に向けて報道を改善していく必要があるだろう。
ここまでです。
なお、記事の最初のほうで、「アマゾンの火災の写真だとして、著名人たちがツイッターなどで共有した写真」で、実際はそうではなかったものは、たとえば、以下のようなものです。
下は、フランスのマクロン大統領や、俳優のレオナルド・ディカプリオさんたちが共有した写真で、これは、20年以上前の火災の写真だそうです。
そんなわけで、現在、アマゾンで起きている森林火災は、平年と同じほどの件数か、あるいは平年より発生件数が低いということがわかりました。
何らかの思惑か、あるいは勘違いによって、熱狂的な報道となってしまったようですが、しかし、私は、上の記事の中にありました、
> 先進国の都市部に住むエリートたちが持つロマンティックな反資本主義に起因している
という言葉に何となく納得しました。
それと共に感じるのが、
「私たち現在の人間が、地球の自然に対して持っている《罪悪感》」
ですね。
今は、これがとても多く利用されます。
地球温暖化なんていう概念も、この「私たち人間が自然に対して持つ罪悪感」が最大に利用されているものだと思います。「私たち人間の工業化が、この地球をダメにしてしまった」と、大勢の人が内面的に考えていて、おそらく、それはもう潜在意識レベルにまでなっている。
まあしかし、そういう側面はあるかもしれないですけれど、あまりにも「原罪」として、そのようなことを抱え込んでしまうと「いろいろなことに騙されやすくなる」という部分はあるように思います。人為的な理由による地球温暖化説のように。
先ほどリンクしました過去記事や、以下の記事など、確かに、地球は「終末」に向かっているようです。
ですので、冷静に事実やデータだけを見ていくという態度は重要だと思いますし、そして、その上で、それでも、こういう終末的な現実と、個人個人の「罪悪感」や「原罪の感覚の共有」をリンクさせてはいけないと私は思います。
なぜなら、それは、私たちそれぞれが内面に持つ「人間の価値という概念」をさらに低めてしまうことでもあり、状況はむしろどんどん悪くなると思うからです。
地球の人類がこれから滅びていこうとしている最大の理由は、工業化による地球の自然の破壊という側面だけではないことを今は確信しています。
これからも、今回のような「ウソ」は、さらに世の中から多く噴出してきて、そのたびに、私たちは騙されそうになると思いますが、しかし、何が報道されようと、伝えられようとも、私たち人類は、堂々と自信を持って生きて、そして、適切な時には堂々と滅亡していけばそれでいいのだと思います。
同じ滅亡するにしても、原罪ばかりを背負って消滅していくよりは、自信と確信を持って生きる中で消えていったほうが未来のためにはいいはずなのです。 ※コメント※ >私たち人類は、堂々と自信を持って生きて、そして、適切な時には堂々と滅亡していけばそれでいい
たしかに!!人間が仕出かした残虐も暴虐も、宇宙の摂理からするとかわいい些細なものなのかも・・・
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