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気がつけば、9月も下旬に差しかかろうとしています。
ここ最近、月日が経つのが物凄く早いです
これって、年のせいですよね
日常は、相変わらずです。
旦那さんは働いておらず
私自身も変わらず、チマチマと小説を書いております。
先日書き終えたお話が、私の中では物凄いヒット
同じように、『ムーンライトノベルズ』さんにも、頑張って掲載しています。
先日、掲載を終えたのは、『桜貝眠る君の傍で』という作品です。
この作品は、以前、こちらのブログで掲載させて頂きました短編、『夏祭り』を大幅に改稿し、
中編として仕上げた作品です。
冒頭部分は、こんな感じです
今年の梅雨は雨が少なかった。
それは 野中(のなか) 陽(よう) 太(た) の住む日本海沿岸部の村に限ったことではなく全国規模の話で、早くから水不足が懸念されていた。 枯渇する湖や川に追い討ちをかけるように、都心部では七夕の頃から連日猛暑日が続いている。 ワイシャツの背中を汗で濡らしハンカチで滴り落ちる汗を拭うサラリーマンの姿は、東北沿岸部の鄙びた村に住む小学生の陽太には画面の中という以上に遠い存在だ。 冬には雪で閉ざされる村は海からの風に真夏でも比較的涼しく、日常の動作で汗だくになることはない。 都心部から直線距離にすれば、さほど遠くない村は、古くから避暑地として栄えていた。 景気の低迷の影響が全くないとは言い難いが、それでもプライベート・ビーチ付の別荘は未だに人気があり、夏の間は普段は閑散としている村もそれなりの賑わいをみせる。 陽太の家は村に一軒しかない食料品店を営んでおり、幾つかの別荘の管理も任されていた。 だから友人達と遊び終えて帰宅した家の前に、淡い草色地に多色と金箔で花模様が柄付けされた絽の訪問着を着た透かし模様の入った日傘を差す女性の姿を見て、別荘の住人が避暑に訪れたのだとすぐに理解した。 村には着物を普段着にする女性などいない。 「陽太、ちょうどいいところに帰ってきた!」 陽太に気付いた父親が、大きく手招きをする。 少し足を速め近付いた陽太に、父親が身体を女性の方へと向け口を開く。 「岬の南側にある別荘の持ち主の藤村さんだ。息子さんと夏休みの間、住むことになった」 「藤村です。宜しくね」 父親の紹介に、漆黒の髪を結い上げた女性がフワリとした笑みを浮かべた。 着物を着ているせいで落ち着いて見えるが、その面差しは若く清楚で品があった。 新雪を思わせるような白く透明な肌に浮かぶ琥珀色の瞳はくっきりとした二重に縁取られ、薄桃色の唇は艶がありながらも上品で綺麗な弧を描いていた。 「ほら、ちゃんとご挨拶しろ!」 テレビ画面の中の女優さんのようだなと、見惚れていた陽太の頭を父親が小突く。 「野中陽太です」 慌てて頭を下げての挨拶に、目の前の女性の美しい相貌に更なる笑みが広がった。 「陽太君ね。中学生?」 「小学校六年です」 「まあ、大きいわね。うちの子と同い年とは思えないわ」 うちの子という言葉に、陽太は驚きに目を見開いた。 目の前の女性は、少女と呼んでもおかしくないくらい愛らしく若々しかった。 とても自分と同じ年の子供がいるとは思えない。 脳裏に母親の姿を思い浮かべる。 夏痩せなどとはまるで無縁の豊満な肉体は、陽太が知る限り一度も痩せたことはない。 「嘘だ……」 呆然としながらの呟きに気付いていない様子の女性が半身を捻る。 その仕草に初めて、陽太は女性の背後に隠れるようにして立つ少女の存在に気付いた。 「仲良くして頂戴ね」 「こんにちは。 藤村(ふじむら) 蒼生(あおい) です」 女性に背を押されるようにして前へ出た少女が、はにかみながらも小さな笑みを浮かべ言葉を綴る。 陽太より頭一つ小さな少女は、女性の肌の白さを上回る真っ白な肌をしていた。 麦藁帽子の下から伸びた髪は栗色の煌きを見せ、見上げる琥珀色の瞳は長い睫毛に縁取られていた。 桜貝を思わせるような肉厚の薄い唇は淡いピンクで、全体的に色素が薄い。 先日テレビで見たアルビノという先天的にメラニンの欠乏した遺伝子疾患の少女を、不意に思いだした。 その少女と決定的に違うのは、目の前の少女が目を瞠るほど美しい面差しをしているということだ。 気付いた瞬間、真夏の陽射しを浴びたように両頬がカッと熱くなった。 直視していることになぜか恥ずかしさを覚え、腹を立てたように思い切り視線を逸らす。 「こら、陽太!」 挨拶に答えることなく顔を背けた陽太を諌めるように、父親が名前を呼んだ。 間髪いれず大きな手が頭を 叩(はた) く。 「仲良くしなくちゃだめだろう!」 「女と仲良くなんか出来るかよ!」 叩かれた頭を両手で押えながら、隣に立つ父親を睨み上げる。 「ばか! 蒼生ちゃんは男の子だ!」 「男!?」 慌てた様子の父親の言葉に声音が引っくり返る。 驚きに視線を少女へと戻す。 白い肌も細い手足も長い睫毛も面差しも、どこからどう見ても少女にしか見えない。 信じられない思いに、少女の股間へと手を伸ばす。 「やっ!」 短い悲鳴と共に身を引いた少女の身体には、確かに自分と同性である存在がしっかりとあった。 それは幽霊を目の当たりにしたような衝撃を陽太に与えた。 経験したことのない驚きに仰け反り、悲鳴が上がりそうになった陽太の後頭部を外部からの衝撃が襲う。 「何するんだ!」 父親の怒声の中、目の前に星が飛んだ。 興味を持たれた方は、宜しくお願い致します
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